樹脂系サイディングとは?メリット・デメリットや費用相場について
皆さんは樹脂系サイディングをご存じですか?
日本で主流になっているサイディングは窯業系もしくは金属系なので、詳しく知っているという方は少ないのではないでしょうか。
しかし、樹脂系サイディングは軽い・耐久性が高い・凍害に強いなど日本の環境に向いている外壁材です。
そこで、ここでは樹脂系サイディングの基礎知識やメリット・デメリット、さらには費用相場を紹介します。
また、樹脂系サイディング工事を依頼する業者を選ぶ際のポイントも紹介するので、樹脂系サイディングについて知りたい方、外壁リフォームをしたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
樹脂系サイディングとは
樹脂系サイディングとは塩化ビニル樹脂というプラスチックの一種を主成分とした外壁材です。
この素材は耐久性が非常に高いためメンテナンス不要です。
また、凍害や塩害に強いため、寒冷地や沿岸部での使用に適しています。
樹脂系サイディングの歴史
ここでは、樹脂系サイディングの歴史を簡単に紹介します。
年代 | 樹脂系サイディングの出来事 |
---|---|
1965年 | アメリカで製造が開始される |
1990年代 | 北米・カナダでシェアが拡大する |
1990年代後半 | 日本で普及し始める |
樹脂系サイディングは製造がスタートしてから50年以上、普及し始めてから30年以上経つ歴史のある外壁材だということが分かります。
樹脂系サイディングの日本での普及率
日本では1990年代後半から北海道などの寒冷地を中心に普及し始めました。
しかし、日本における樹脂系サイディングの普及率は全体の1%~2%とまだまだ低い状況です。
日本での普及率が低い理由は?
日本での樹脂系サイディングの普及率が低い理由は、施工できる業者が少ないからです。
樹脂系サイディングの施工ができる業者は年々増えてはきているものの、他のサイディングに比べるとまだまだ少ないです。
しかし、樹脂系サイディングの耐久性や機能性に注目している業者も多くいるため、これから増えていくことが予想できます。
樹脂系サイディングのメリット
ここでは、樹脂系サイディングの主なメリットを紹介します。
樹脂系サイディングの主なメリットは以下の5つです。
樹脂系サイディングの5つのメリット
- メンテナンスがほぼ必要ない
- 耐久性が高い
- 塩害・凍害に強い
- 軽い
- キズがつきにくく、割れにくい
メンテナンスがほぼ必要ない
樹脂系サイディングはメンテナンスがほぼ必要ないというメリットがあります。
他のサイディングはメンテナンスとして塗装が必要ですが、樹脂系サイディングの場合はサイディング自体に色が練り込まれているため再塗装の必要がありません。
また、他の外壁材で使用されているシーリングを使用しないため、シーリング補修などのメンテナンスも必要ありません。
そのため、約30年の長期保証がついている製品が多く存在します。
耐久性が高い
表からわかる通り、樹脂系サイディングは非常に耐久性が高く、他のサイディングよりも耐用年数が長く30年~40年もある外壁材です。
また、窯業系サイディングや金属サイディングが10年ごとに塗装メンテナンスが必要なのに対し、樹脂系サイディングはメンテナンスが必要ありません。
耐用年数が長く、しかもメンテナンスが必要ないため長期的に見るとコストパフォーマンスが良い素材です。
塩害・凍害に強い
樹脂系サイディングは凍害や塩害に非常に強い性質を持っているため、寒冷地や沿岸部での使用に適しています。
樹脂系サイディングが凍害・塩害に強い理由は?
- 撥水性が高く水を吸収しにくいため、凍結によるひび割れが起こりにくいから
- サビに強いため、潮風にさらされてもサビが発生しにくいから
このように厳しい条件下でも耐水性や防錆性をメンテナンスなしでも保つことができるため、東北や北海道で重宝されています。
軽い
樹脂系サイディングを非常に軽い素材で、その重さは窯業サイディングの10分の1程度です。
そのため、建物への負担を少なくし、耐震性を向上させることができます。
重ね張りにもおすすめです。
キズがつきにくく、割れにくい
樹脂系サイディングは丈夫な素材なので、キズがつきにくく、割れにくいです。
しかも軽量なので地震や大きな災害の際にも有利に働きます。
樹脂系サイディングのデメリット
ここでは樹脂系サイディングのデメリットを紹介します。
主なデメリットは以下の3つです。
樹脂系サイディングの3つのデメリット
- 施工できる業者が少ない
- 色やデザインのバリエーションが少ない
- コストが高い
施工できる業者数が少ない
樹脂系サイディングの日本での設置率は少しずつ上がってきていますが、それでも多いというわけではありません。
そのため、樹脂系サイディングの施工ができる業者が限られています。
実際に樹脂系サイディングを設置するとなると、業者を探すことから始める必要があると思っておきましょう。
色やデザインのバリエーションが少ない
樹脂系サイディングは他の外壁材と比べて色やデザインのバリエーションが少ないです。
しかし、樹脂系サイディング独特のデザインが好きな方も多く、流行りすたりがないという魅力もあります。
コストが高い
樹脂系サイディングは外壁材自体の値段が高いため、初期費用が高くなってしまいます。
外壁サイディングの費用相場
外壁の種類 | 費用相場 |
---|---|
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~20,000円/㎡ |
金属系サイディング | 3,000円/㎡~15,000円/㎡ |
窯業系サイディング | 4,000円/㎡~6,000円/㎡ |
木材系サイディング | 8,000円/㎡~10,000円/㎡ |
樹脂系サイディングの費用相場は9,000円/㎡~20,000円/㎡と、他のサイディングよりも初期費用が高いです。
しかし、樹脂系サイディングは塗装メンテナンスが不要なので、初期費用とメンテナンス費用を考慮すると最もお得な外壁材だと言えます。
サイディングを選ぶ際には、初期費用だけでなくメンテナンス費用にも注目しましょう。
樹脂系サイディングの耐用年数
上記でも述べた通り、樹脂系サイディングの耐用年数は30年~40年と長く、他のサイディングと比較しても、耐用年数が長い外壁材です。
以下に、樹脂系サイディングとその他のサイディングの耐用年数を纏めてます。
<サイディングの耐用年数>
外壁の種類 | 耐用年数 |
---|---|
樹脂系サイディング | 30年~40年 |
金属系サイディング | 20年~40年 |
窯業系サイディング | 20年~40年 |
木材系サイディング | 15年~30年 |
樹脂系サイディング工事の費用相場
樹脂系サイディングは他のサイディングに比べて工事費用が高いという特徴があります。
しかし、メンテナンス費用がかからないため、トータルで考えるとお得な外壁材だと言えます。
また、樹脂系サイディングは基本的にメンテナンスが必要ない外壁材ですが、外壁の劣化が進んでいる場合や下地まで傷んでいる場合は、全体リフォームを行うことがあります。
全体リフォームとしてよく行われるのが「張り替え」と「重ね張り」の2つです。
ここでは、樹脂系サイディング工事の「張り替えリフォーム」と「重ね張りリフォーム」それぞれの特徴や費用相場を紹介します。
樹脂系サイディング工事の張り替え
張り替えとは、既存の外壁を解体・撤去して新しい外壁を設置するリフォームの方法です。
外壁の劣化が進んでいる場合や外壁下地まで傷んでいる場合に行います。
既存の外壁の解体・撤去作業が必要なので、重ね張りよりも費用がかかります。
樹脂系サイディング工事の費用相場
樹脂系サイディングの張り替えにかかる費用相場は2,800円/㎡~4,000円/㎡です。
一般的な一戸建ての場合、160万円~260万円程度かかります。
他のサイディングと比べて工事にかかる費用は高いです。
日本で最も設置率が高い窯業系サイディングに張り替えるよりも、工事費用が4割程度高くなると思っておきましょう。
樹脂系サイディング工事の重ね張り
重ね張りとは、既存の外壁の上から新しい外壁を設置するリフォームの方法です。
外壁下地までは傷んでいない場合に行います。
既存の外壁の解体・撤去作業が必要ないので、張り替えよりも費用がかかりません。
樹脂系サイディング工事の費用相場
樹脂系サイディングの重ね張りにかかる費用相場は2,500円/㎡~3,200円/㎡です。
一般的な一戸建ての場合、130万円~200万円程度かかります。
その他のサイディングとの比較
外壁サイディングには樹脂系サイディングの他にもいくつかのサイディングの種類があります。
外壁の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~20,000円/㎡ | 30年~40年 | ・凍害/塩害に強い ・耐久性が高い ・メンテナンス不要 |
金属系サイディング | 3,000円/㎡~15,000円/㎡ | 20年~40年 | ・軽い ・断熱性が高い ・耐震性が高い |
窯業系サイディング | 4,000円/㎡~6,000円/㎡ | 20年~40年 | ・デザイン性が高い ・防火性が高い ・コストが安い |
木材系サイディング | 8,000円/㎡~10,000円/㎡ | 15年~30年 | ・耐震性が高い ・木の雰囲気が感じられる |
外壁材を選ぶ際は、お客様が外壁材に何を求めるかを考えてから選ぶようにしましょう。
どの種類を選べばよいか悩んでいる方は、下記で樹脂系サイディング以外の3つの外壁サイディングについて詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
金属系サイディング:耐震性・断熱性を重視したい人向き
金属系サイディングとは、ガルバリウム鋼鉄、アルミなどの合金を板状に加工した外壁材です。
費用相場は幅広く、3,000円~15,000円程度で、数年ごとに塗装メンテナンスが必要です。
非常に軽い素材なので、耐震性を重視したいという方は金属系サイディングが向いています。
また、金属系サイディングならではのデザインが好きという方にもおすすめです。
外壁の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
金属系サイディング | 3,000円/㎡~15,000円/㎡ | 20年~40年 | ・軽い ・断熱性が高い ・耐震性が高い |
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~20,000円/㎡ | 30年~40年 | ・凍害/塩害に強い ・耐久性が高い ・メンテナンス不要 |
窯業系サイディング:トータルバランスを重視したい人向き
窯業系サイディングとは、セメントと繊維質を主成分とした素材を焼き固めて板状にした外壁材です。
耐久性が高くコストも安いため、日本で最も人気があります。
トータルバランスが良いサイディングをお求めの方におすすめです。
外壁の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~20,000円/㎡ | 30年~40年 | ・凍害/塩害に強い ・耐久性が高い ・メンテナンス不要 |
窯業系サイディング | 4,000円/㎡~6,000円/㎡ | 20年~40年 | ・デザイン性が高い ・防火性が高い ・コストが安い |
木質系サイディング:木の暖かい雰囲気が好きな人向き
木質系サイディングとは、主な成分が木の外壁材です。
この外壁材は他の外壁材と比べて耐用年数が短く、メンテナンスにも手間がかかりますが、木本来のぬくもりを感じられるというメリットがあります。
ナチュラルな雰囲気が好きだという方におすすめです。
外壁の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
樹脂系サイディング | 9,000円/㎡~20,000円/㎡ | 30年~40年 | ・凍害/塩害に強い ・耐久性が高い ・メンテナンス不要 |
木材系サイディング | 8,000円/㎡~10,000円/㎡ | 15年~30年 | ・耐震性が高い ・木の雰囲気が感じられる |
樹脂系サイディングの主なメーカーとその人気商品
ここでは樹脂系サイディングの有名メーカーとその人気商品を紹介します。
どの外壁材を選べばよいか分からないという方は、参考にしてみてください。
- ゼオン化成「ゼオンサイディング」
- PLY-GEM「Mastic」
- 旭トステム「WALL-J」
- ゼオン化成「ゼオンサイディング」
- エポックス「永久美人」
この他にもさまざまな商品が発表されています。
商品によって特徴が違うので、機能性、デザイン、価格に注目して選びましょう。
樹脂系サイディング工事を依頼する業者選びのポイント
外壁リフォームを行う際には業者選びが非常に重要です。
どのような業者に工事を依頼するかによって仕上がりや工事の満足度が変わってきます。
ここでは、樹脂系サイディング工事を依頼する業者選びのポイントを紹介します。
金属系サイディング工事業者選びの3つのポイント
- 実績が多い業者を選ぼう
- 自社施工業者を選ぼう
- 相見積もりを取ろう
樹脂系サイディングの実績が多い業者を選ぼう
樹脂系サイディングは日本でまだまだ普及していない外壁材です。
そのため、まだ施工実績がある業者は多くありません。
しかし、工事を依頼するならその工事を行ったことがある業者に依頼するのがおすすめです。
やはり施工実績がある業者の方が技術力や対応力が高いことが多いです。
樹脂系サイディング工事を依頼する場合は、樹脂系サイディング工事の実績がある業者を選びましょう。
自社施工業者を選ぼう
外壁リフォームを行う業者を選ぶ際には自社施工している業者を選びましょう。
外壁リフォームを行う業者は、ハウスメーカー、ホームセンター、工務店、外壁専門業者などさまざまです。
自社施工している業者(この場合は外壁専門業者)に依頼することによって、コストを削減でき、しかも自分たちで実際に施工する業者を選ぶことができます。
樹脂系サイディング工事を依頼する場合は、外壁専門業者に依頼するのがおすすめです。
相見積もりを取ろう
外壁リフォームを行う業者を選ぶ際には、複数の業者で相見積もりを取りましょう。
樹脂系サイディング工事の場合、施工できる業者が少ないため相見積もりを取るのは難しいかもしれませんが、それでも数社で見積もりを取ると安心です。
相見積もりを取ることによって、その工事の相場や一般的な流れを知ることができ、悪徳業者に騙される可能性が減ります。
しかもお客様の目的や予算に合った業者を選択することができます。
仙臺屋根屋の樹脂系サイディング工事施工実績
樹脂系サイディング工事でよくあるご質問
- 樹脂系サイディングとは何ですか?
- 樹脂系サイディングは、主にポリ塩化ビニル(PVC)などの合成樹脂を使用した外壁材です。耐候性や耐久性が高く、メンテナンスが比較的容易であることから人気があります。
- 樹脂系サイディングのメリットは何ですか?
- 樹脂系サイディングは軽量で取り付けが容易、多様なデザインや色が選べる、耐久性が高く長持ちする、メンテナンスが少なくて済む、などのメリットがあります。
- 樹脂系サイディングの寿命はどのくらいですか?
- 正しく設置されていれば、樹脂系サイディングの寿命は通常30年以上とされています。しかし、環境やメンテナンスの状況によって変わることがあります。
- 樹脂系サイディングの取り付け費用はどのくらいですか?
- 費用は材質やブランド、施工業者によって異なりますが、一般的には1平方メートルあたり数千円から数万円程度が相場です。
- 樹脂系サイディングは環境に優しいですか?
- 樹脂系サイディングはリサイクルが可能な材料を使用しているものもあり、環境負荷を低減することが期待されています。しかし、製造過程での化学物質の使用には注意が必要です。
- 樹脂系サイディングの色やデザインはカスタマイズ可能ですか?
- はい、多くのメーカーが様々な色やテクスチャ、パターンを提供しており、個々の建物に合わせてカスタマイズすることが可能です。
- 樹脂系サイディングのメンテナンス方法は?
- 定期的に汚れを洗い流し、必要に応じて専用のクリーナーで清掃することが推奨されます。傷やひび割れが見つかった場合は早めに修理することが重要です。
- 樹脂系サイディングを選ぶ際の注意点は?
- 耐火性や耐候性、色の保持性など、製品によって性能が異なるため、購入前に製品のスペックをよく確認し、必要に応じて専門家の意見を参考にすることが重要です。
- 樹脂系サイディングの設置に適した季節はありますか?
- 特に限定はありませんが、積雪や激しい雨が少ない、温度が穏やかな春や秋に作業を行うことが一般的です。
- 樹脂系サイディングを取り付ける際の施工時間はどれくらいかかりますか?
- 樹脂系サイディングの施工時間は、建物の大きさやサイディングの種類、現場の状況によって異なりますが、一般的には建物の規模にもよりますが、小さな家であれば数日から1週間程度、大きな建物では数週間かかることもあります。正確な施工時間は、施工前の見積もり時に業者が提供することが一般的です。
その他の外壁リフォーム工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。