屋根カバー工法とは?特徴や費用相場、施工の流れについて

屋根カバー工法の家

屋根の大がかりなリフォーム工事といえば「葺き替え工事」と「屋根カバー工法」の2つです。
どちらも新しい屋根を設置する工事ですが、その方法や工期や費用などさまざまな違いがあります。

そこで「屋根カバー工法の基礎知識」や「屋根カバー工法のメリット・デメリット」など解説します。
みなさんが気になる屋根カバー工法の費用相場についてもご紹介するので、屋根リフォームを検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

Contents

屋根カバー工法の基礎知識

まず、屋根カバー工法を理解する上で、同じく屋根リフォーム工事として知られている「葺き替え工事」との違いを見ていきましょう。

屋根カバー工法とは

屋根カバー工法とは

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根を設置する工事のことです。

古い屋根を解体・撤去しないので費用や工期を抑えることができます。

塗装工事よりも長持ちで、葺き替え工事よりも安いということで人気のある工法です。

ただし、屋根カバー工法は既存の屋根の種類・屋根の傷み具合によって施工できないことがあるので注意が必要です。

葺き替え工事とは

葺き替え工事とは

屋根の新設工事には「葺き替え工事」という方法もあります。

葺き替え工事とは、簡単に言うと古い屋根を取り払って新しい屋根を取りつける工事のことです。

葺き替え工事と屋根カバー工法の大きな違いは、「既存の屋根を撤去するかしないか」という点にあります。

葺き替え工事屋根カバー工法
古い屋根を撤去して新しい屋根を設置する古い屋根の上に新しい屋根を設置する

屋根カバー工事と葺き替え工事の主な違い?

葺き替え工事屋根カバー工法
・費用がかかる
・工期がかかる
・屋根全体をリフレッシュできる
・建物の耐震性を下げない
・費用を抑えられる
・工期を抑えられる
・屋根下地を直せない
・建物の耐震性を下げる可能性がある

葺き替え工事は、屋根の撤去作業が含まれるため屋根カバー工法に比べて費用や工期がかかりますが、耐震性を下げずに屋根全体をリフレッシュできるという点でおすすめです。

屋根カバー工法は、屋根撤去をしない分費用・工期を抑えることが可能ですが、既存の屋根を取り外さないため屋根の重量が増加し、耐震性が下がる可能性もあります。

屋根の工事方法を選ぶ際にはそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で、お住いの状態に合った方法を選ぶことが大切です。

屋根工事方法の選び方

屋根工事方法の選び方

屋根工事には代表的な2つの方法(「屋根カバー工法」「葺き替え工事」)がありますが、どのように工事方法を選べば良いのでしょうか。

次に屋根工事方法の選び方についてご紹介します。

屋根リフォームの工事方法を決めるポイント

まず、工事方法を決める際には以下の点に注目しましょう。

屋根リフォームの工事方法を決めるポイント

  • 現在ついている屋根材の種類を把握
  • 現在ついている屋根の痛み具合を確認
  • 屋根工事にかけられる費用を考える

屋根材の種類を把握する

まずは今付いている屋根材の種類に注目しましょう。

屋根材の種類によっては屋根カバー工法での施工ができません。

軽い金属屋根は適用できることが多いですが、重さがある瓦屋根のような屋根材は適用できないことが多いです。

そのため、屋根材の種類に合った工事方法を選びましょう。

屋根の傷み具合を確認する

屋根の傷み具合

屋根工事を選ぶ際には、屋根下地の状態も確認しましょう。

屋根下地まで傷んでいる場合は、下地から修理する必要があるため葺き替え工事の方が向いています。

屋根下地の傷み具合を素人が見分けるのは難しいので、業者に点検を依頼しましょう。

屋根工事にかけられる費用を考える

屋根工事にかけられる費用

工事費用を抑えたいのなら屋根カバー工法がおすすめです。

屋根撤去作業が無い分、葺き替え工事よりも費用を抑えることができます。

工事方法を選ぶ際には上記のポイントに注目しましょう。

屋根材の種類・屋根下地の状態など素人が判断できないポイントも多いので、プロの方に相談するのがおすすめです。

屋根カバー工法が向いているケース・向いていないケース

屋根カバー工法が向いているケース・向いていないケース

屋根リフォームの工事方法を選ぶ際にはあなたがどちらのケースに当てはまるかを確認することが大切です。

まずは、あなたがどちらのケースに当てはまるかを確認していきましょう。

屋根カバー工法が向いているケース屋根カバー工法が向いていないケース
・リフォーム費用を抑えたい
・リフォーム工期を短くしたい
・既存の屋根材がスレート屋根・金属屋根・アスファルトシングル製など軽い屋根材
・既存の屋根下地が傷んでいない
・既存の屋根にアスベストが含まれている
・すでに1度カバー工法を施工している
・既存の屋根材が瓦屋根
・既存の屋根下地が傷んでいる
・太陽光パネルを取り付ける予定がある

向いているケース

屋根カバー工法が向いているのは既存の屋根材がスレート屋根・金属屋根・アスファルトシングル屋根などの軽い屋根材で、屋根下地が傷んでいないケースです。

これらの屋根材は軽いため上に新しい屋根を設置しても家の負担になりません。

また、古い屋根を解体・撤去しないので、アスベストを含む屋根材がついている建物にも向いています。

屋根カバー工法は、できるだけ費用を抑えて気軽にリフォームしたいという方におすすめです。

向いていないケース

屋根カバー工法が向いていないケースは、既存の屋根が瓦屋根の場合や既にカバー工法を行っている場合や屋根下地が傷んでいる場合です。

屋根カバー工法をすると屋根が重たくなるため既に重さがある屋根では施工できません。

また、太陽光パネルは重さがあるため、いつか設置したいと考えている人も屋根カバー工法は不向きです。

さらに、既存の屋根下地が傷んでいる場合は既存の屋根を解体・撤去する必要があるので「葺き替え工事」を検討しましょう。

屋根カバー工法の耐用年数は?

屋根カバー工法の耐用年数

屋根カバー工法の耐用年数は20年~30年のため、メンテナンスは10年に1度を目安に行いましょう。

屋根カバー工法を既にしている屋根の上にさらに屋根を新設する工事は行わないことが多いので、少なくとも30年後には「葺き替え工事」をする可能性があることを視野に入れておくことも大切です。

屋根カバー工法の費用相場は?

屋根カバー工法の費用相場
(一般的な戸建て住宅:35坪~40坪)
130万円~160万円
(足場代込み)

屋根カバー工法の費用相場は一般的な戸建て住宅で130万円~160万円です。

内訳は工事代が110万円~130万円、足場代が15万円~25万円となっています。

ただし、設置する屋根材の種類・物価・屋根サイズによって費用は大きく変わります。

また、瓦屋根の葺き替え工事の費用相場は以下の通りです。

瓦屋根の葺き替え工事
(一般的な戸建て住宅:35坪~40坪)
180万円~300万円
(足場代込み)

屋根カバー工法と比べると費用が高めであることが分かります。

ただし、工事費・足場代については業者によって費用が大きく変わります。

仙臺屋根屋の屋根カバー工法の作業費用

工法・工事名称 1階の床面積
20坪/66㎡ 30坪/100㎡ 40坪/132㎡
屋根カバー工法 900,000円~ 1,170,000円~ 1,600,000円~
屋根カバー工法(断熱材有・スーパーガルテクト) 1,100,000円~ 1,490,000円~ 1,750,000円~

当社では、「無料診断・見積り」にて最適な屋根工事方法のご提案から施工費用までを寄り添ってご提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

屋根カバー工法の施工の流れ

屋根カバー工法は一体どのような流れで工事をするのでしょうか。
簡単にチェックしていきましょう。

  1. 足場設置
  2. 棟の撤去
  3. 防水シートを設置する
  4. 新しい屋根材を設置する
  5. 棟を設置する
  6. 棟にコーキングする
  7. 足場解体

一般的には、上記のような流れで工事を行います。

01 足場設置

まずは、屋根工事を行う際に必要な足場を設置します。
大がかりな屋根工事を行う場合には足場の設置が必須です。
足場を設置することで安全でスムーズに工事を行うことができます。
ちなみに足場設置には1~2日程度かかることが多いです。

屋根工事の足場設置

02 棟の撤去

既存の屋根に設置されている棟を撤去します。
棟とは棟板金(棟に取り付ける板金)と棟下地(棟板金の下に設置した下地)のことです。
雪止め(雪が多い地方に設置されている金具)が設置されている場合は、雪止めも取り外します。

屋根工事の棟の撤去

03 防水シートを設置

棟と雪止めの取り外しができたら防水シートを設置します。
防水シートを設置することによって雨漏りを防ぎ屋根を長持ちさせることができます。
防水シートには20種類以上ありますが、種類によって品質はさまざまです。
費用だけでなく品質に注目して防水シートを選びましょう。

防水シート設置

04 新しい屋根材を設置

防水シートが設置できたら、次に新しい屋根材を設置していきます。
釘やビスで屋根材を固定する作業が多いです。

新しい屋根材を設置

05 棟を設置

新しい屋根材が設置できたら、次に棟を取り付けていきます。
上記02で取り外した古い棟ではなく、新しいものを設置していきます。

棟を設置

06 棟にコーキングする

新しい棟の設置が終わったらコーキング作業を行います。
コーキングをすることで、雨水の侵入を抑えて屋根や家を長持ちさせることができます。

棟のコーキング

07 足場解体

棟のコーキングが終わったら工事終了なので足場を解体していきます。
足場解体にも1日~2日程度かかることが多いです。

屋根工事終了時の足場解体

屋根カバー工法はこのような流れで工事を行います。
屋根カバー工法の工事期間は一般的に1週間程度で、葺き替え工事より2、3日工期が短くなるケースが多いです。

屋根カバー工法のメリット・デメリット

では、次に屋根カバー工法のメリット・デメリットをご紹介します。

屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法のメリットは以下の5つです。

屋根カバー工法の5大メリット

  • 費用が安い
  • 工事期間が短い
  • アスベストを含んだ屋根でも対応している
  • 防水性・断熱性・遮音性が高まる
  • ホコリ・騒音トラブルになることが少ない

費用が安い

屋根カバー工法は葺き替え工事に比べて費用を抑えられます。

その理由は古い屋根を撤去するという作業がないからです。

葺き替え工事は古い屋根を撤去してから新しい屋根を設置するため撤去作業が含まれますが、カバー工法では撤去作業が含まれないため撤去作業費がかかりません。

屋根カバー工法は費用を抑えながら屋根を新設したいという方におすすめの方法です。

屋根カバー工法は費用が安い

工事期間が短い

屋根カバー工法は葺き替え工事と比べて工期が短いという特徴があります。

その理由も屋根撤去作業をしないためです。

葺き替え工事では屋根撤去作業が含まれますが、カバー工法では屋根撤去作業が含まれないため、その分工期が短くなります。

屋根カバー工法は工事期間が短い

アスベストを含んだ屋根でも対応している

2004年以前に建てられたスレート系屋根材を使用している建物は屋根材にアスベストが含まれていることが多いです。

アスベストを含む屋根材を撤去するには大がかりで専門的な処分が必要なので費用もかさみます。

しかし、屋根カバー工法では既存の屋根を撤去しないため、費用を抑えつつ安全に屋根工事をすることが可能です。

屋根カバー工法でアスベストを含んだ屋根でも対応

防水性・断熱性・遮音性が高まる

屋根カバー工法で工事を行うと単純に屋根が2枚ついた状態になるため防水性・遮熱性・遮音性が高まります。

屋根が2枚ついているということは防水シートや断熱材も2層構造となるため、雨や暑さに強い建物になるということです。

遮音効果も高くなるので、雨風の音が気になるという方にも向いています。

屋根カバー工法により、防水性・断熱性・遮音性が高まる

ホコリ・騒音トラブルになることが少ない

屋根工事で起こりやすいご近所トラブルの原因の1つがホコリや騒音によるトラブルです。

ホコリや騒音の原因となる主な作業は屋根撤去作業なので、その作業がない屋根カバー工法ではトラブルが起こる可能性も低くなります。

屋根カバー工法によりホコリや騒音トラブルが少ない

屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法のデメリットは以下の4つです。

屋根カバー工法の4大デメリット

  • 耐震性が下がる可能性がある
  • 工事できない種類の屋根がある
  • 屋根内部まで傷んでいる場合は施工できない
  • 工事後のリフォーム費用が上がる

耐震性が下がる可能性がある

屋根カバー工法を行うと屋根が2枚になるため屋根全体の重量が増加します。

屋根が重くなると揺れに弱くなるため耐震性が下がる可能性もあります。

しかし、最近は軽い屋根材もたくさんあるので、軽い屋根材を選べば家の負担を減らすことができます。

耐震性に不安がある方は、軽い屋根材を選びましょう。

耐震性が下がる可能性

工事できない種類の屋根がある

瓦屋根のように重量がある屋根材を設置している建物では屋根カバー工法はできません。

屋根カバー工法での工事はしたくてもできない屋根材があるということを理解しておきましょう。

お住いの住宅で工事可能かどうか気になる方は一度専門家に相談するのがおすすめです。

屋根カバー工法で工事できない屋根の種類

屋根内部まで傷んでいる場合は施工できない

屋根カバー工法では古い屋根の上から新しい屋根を設置するため、既存の屋根下地が傷んでいる場合は工事ができません。

傷んでいる部分を放置して新しい屋根を設置すると、腐食が進んで屋根全体が脆くなってしまう危険性もあります。

屋根カバー工法は屋根下地の状態が良好でないと施工できないということを理解しておきましょう。

屋根内部まで傷んでいる状態

工事後のリフォーム費用が上がる

屋根カバー工法による工事を行った後に屋根リフォーム工事を行うと費用が高くなることが多いです。

屋根カバー工法した屋根の上にもう一度カバー工法を施工することはできないので、次に屋根を新設する際には葺き替え工事が必要になります。

次の葺き替え工事では2枚の屋根を撤去する必要があるため、撤去費用もかさむことが多いです。

カバー工法後の屋根リフォームは費用が高くなるということを知っておきましょう。

屋根リフォーム工事の費用が上がる

自分で屋根カバー工法をするのは簡単ではない

屋根工事は自分で行うのは控えましょう。

屋根工事は高所作業なので素人が行うのは大変危険です。

足場を設置して工事を行う作業に慣れたプロでも事故が起こることがあるくらい危険な工事だということを忘れないようにしましょう。

屋根カバー工法での工事はプロに依頼するのがおすすめです。

セルフで自分で屋根カバー工法する

屋根カバー工法はどの業者に依頼すればよい?

屋根カバー工法での工事は板金業者に依頼するのも一つです。

板金業者は板金加工のプロなので、金属屋根を設置する屋根カバー工法の技術も高いことが多いです。

お近くで信頼できる業者があれば一度点検を依頼してみましょう。

屋根カバー工法の業者

仙臺屋根屋の屋根カバー工法の施工実績

屋根カバー工法でよくあるご質問

屋根カバー工法とは何ですか?
屋根カバー工法は、既存の屋根に新しい屋根材を重ねて設置するリフォーム方法です。既存の屋根を撤去せずに施工するため、工期が短く、コストを抑えることができます。
どんな屋根にも適用できますか?
大部分の屋根に適用可能ですが、屋根の状態や材質によっては適さない場合もあります。事前に専門家による評価が必要です。
工事の期間はどのくらいですか?
工事の期間はプロジェクトにより異なりますが、屋根カバー工法は既存の屋根を撤去しないため、一般的な屋根の葺き替え工事に比べて短期間で完了します。
費用はどのくらいかかりますか?
費用は屋根の面積、使用する材料、屋根の状態によって異なりますが、既存の屋根を活用するため、全体的に葺き替え工事に比べてコストが抑えられる傾向があります。
屋根カバー工法のメリットは何ですか?
既存の屋根を撤去せずに施工するため、工事期間が短く、コストパフォーマンスに優れています。また、屋根の断熱性や耐久性を向上させることができます。
屋根カバー工法のデメリットは何ですか?
既存の屋根の状態が悪い場合、そのまま上から覆ってしまうと問題が解決せず、将来的に更なる修繕が必要になる場合があります。
保証はありますか?
施工業者や使用する材料によって保証内容は異なりますが、一般的には工事に対する保証が提供されます。ちなみに当社では工事後の保証期間を10年間としております。詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
施工に最適な時期はありますか?
屋根工事は天候に左右されますが、屋根カバー工法は比較的天候の影響を受けにくいため、年間を通して施工可能です。ただし、雨季や極端な気温の時期は避けることが推奨されます。
既存の屋根材を再利用できますか?
屋根カバー工法では基本的に新しい屋根材を使用しますが、既存の屋根が十分に良好な状態であれば、部分的に再利用することが可能な場合もあります。
施工後のメンテナンスはどうなりますか?
屋根カバー工法後も定期的な点検やメンテナンスが必要です。施工業者によるアフターサービスやメンテナンスプランの有無についても事前に確認しておくと安心です。

その他の屋根工事メニュー

この記事の監修者

株式会社菊地板金工業、代表取締役、菊地社長

菊地正秀

株式会社菊地板金工業 代表取締役

宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年

18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。