何らかの原因で住宅に雨水が侵入すると、住宅は内装のみでなく壁や床の内部までダメージを受けてしまいます。
特に深刻な雨漏りは住宅内装を劣化・汚損させる恐れがあるのです。
そこでここでは、雨漏りが原因の内装工事の施工内容や必要な費用相場についてまとめました。
雨漏りに困っているまたは雨漏りの可能性を感じるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
雨漏りが住宅の内装に与えるダメージ
住宅の内部は雨を含む水分に強い作りではありません。
本来であれば、屋根や外壁などの住宅の外回りが住宅内部への雨水の侵入を防ぐ役割を持つためです。
ここでは、内装工事が必要になる雨漏りによるダメージについて説明します。
室内のクロスに雨染みや浮き・剥がれが起こる
代表的な雨漏りの症状に、クロスへの染みがあります。
雨水に色はついていませんが、水で濡れたクロスは貼り付け時の糊や埃の影響を受けて、薄茶色になり目立ちます。
この染みは、表面から拭いたり擦ったりしても完全に落とすことが難しいものです。
壁や床の内部にカビが発生する
雨漏りをした箇所は長期間湿気が残り、カビが繁殖しやすい状態に陥ります。
一度発生したカビは完全に根絶やしにすることが難しく、カビが発生した箇所の建材を入れ替えるか、防カビ剤を浸透させてカビの活動を抑える対策をとるしかありません。
そのため、初めからカビが発生しにくい状態を維持することが大切です。
石膏ボードが崩れる
建物の内装に使われることが多い石膏ボードは、安全性・耐火性・コスト面が優れているなどの特徴を持ちます。
住宅のみでなくオフィスや映画館でも活用されているものの、水漏れに弱いというデメリットがあります。
石膏ボードは水を吸いやすい特性のせいで、雨漏りにより崩れてしまうリスクが存在するのです。
床に水が染み込み腐る
雨漏りした雨水が床に染み込むと、カビ・害虫の繁殖につながります。
また、床が浮き上がって危険な状態になったり、畳が腐ったりする可能性もあるでしょう。
雨漏りにより床がダメージを受けることは、住宅の安全性に関わる深刻な問題だと考えるべきです。
代表的な雨漏りの原因
雨漏りはさまざまな原因により起こります。
内装工事の施工内容を考える前に、雨漏りの原因を特定して必要な修繕工事を行うことが大切です。
- 屋根の板金が曲がる・破損する
- 窓のサッシが劣化する
- 屋根材がズレる・割れる
- ベランダの防水層が劣化する
- 外壁が劣化・ひび割れする
- 外壁のコーキングが劣化する
雨漏りの原因を特定するためには、信頼できる業者に雨漏り調査を依頼する必要があります。
雨漏り工事は対応が遅れるほど被害が拡大する可能性が高くなるため、雨漏りの兆候を感じた時には可能な限り早く調査と工事を実施するべきです。
雨漏りでダメージを受けた内装工事の具体例と費用相場
次に、雨漏りでダメージを受けた内装を補修するための施工内容や費用相場についてまとめました。
雨漏りが原因の内装工事は、ダメージの状況や導入する建材により大きく費用が異なります。
例えば、壁紙クロスを張り替えるのみの作業で工事が完了する場合には、壁を撤去するなどの大規模な修繕作業が必要なく、コストも抑えられると考えてください。
雨漏りした壁・天井の修繕
雨漏りの代表的な兆候として、クロスへの雨染みがあります。
クロスのみの張り替えは1平方メートルあたり数千円〜数万円で済みます。
しかし、雨漏りがクロスまで浸透したということは、すでに天井板や下地も濡れてしまっていると考えましょう。
そのため、補修内容によって以下の費用が掛かります。
補修内容 | 費用 |
---|---|
天井板の張り替え | 約8万円〜20万円 |
下地の張り替え | 約5万円〜20万円 |
クロスの張り替え | 約4万円〜15万円 |
雨漏りした床の修繕
雨漏りした床の修繕は、床の張り替え方法によって費用が異なります。
張り替え方法 | 修繕費用 |
---|---|
床全体を張り替える張り替え工法 | 6畳12万円〜 |
傷んでしまった床の上から新しい床を設置する重ね張り工法 | 9畳で10万円〜 |
ただし重ね張り工法の場合は、床の下地が確認できないため、根本的な床のダメージの改善が難しい可能性もあります。
また、雨漏り修繕と同時に床をフロアタイルやクッションフロアに変更する場合には、別途追加費用が必要です。
雨漏りの内装工事費を安く抑えるためのポイント
雨漏りの内装工事にかかる費用を少しでも安く抑えたいという方は、次のようなポイントを知っておいてください。
雨漏りの可能性を発見したらすぐに対応する
内装工事に限らず、雨漏りによる家のダメージは時間の経過とともに深刻化していきます。
早い段階で雨漏りに気がつき必要な工事を行えば、最低限の工事・費用で雨漏りを修繕できるでしょう。
日頃から家全体の様子をチェックすることを習慣化させ、雨漏りの兆候を見つけた時はすぐに雨漏り調査を実施しましょう。
定期点検を実施して雨漏りが起こらないようにする
普段から住まいの定期点検をすることで、雨漏りを未然に防げる可能性が高くなります。
例えば、外壁の隙間を埋めるコーキングやベランダの防水塗膜の劣化が確認されたタイミングで必要な補修を行えば、雨漏りが起こる前に問題を解決できると言えるでしょう。
住まいは定期的なチェックとメンテナンスにより、健康な状態を維持できます。
築年数が経過しているのなら同時にリフォームをするという手もある
すでに築年数が20年以上経過している住宅では、雨漏りの工事とともにリフォーム工事をすることで、別途リフォームにかかる費用を浮かせるという考え方もあります。
例えば、クロスの寿命は10年程度です。
築10年を過ぎた住宅で雨漏りが起こった時には、雨漏り工事と同時に天井と壁のクロスを張り替えるのも良いでしょう。
自然災害が原因の雨漏りは火災保険の対象になる可能性がある
台風やゲリラ豪雨など、自然災害が原因で発生した雨漏りは火災保険の対象になる可能性があります。
具体的には、暴風による瓦のズレ・雨樋の変形・飛来物による破損などが、火災保険が適用される被害の原因です。
雨漏りの原因が自然災害であることが分かっている場合には、加入している火災保険の会社に問い合わせてみるべきでしょう。
また、火災保険の時効は3年であり、時効を過ぎた被害は経年劣化として扱われる可能性が上がるため、早めに申請してください。
雨漏りが起きてしまった時にするべき応急処置
雨漏りが発生してしまった時には、その被害を最小限に抑えるための応急処置をしてください。
適切な対処をすれば、住宅が雨漏りにより受けるダメージを少なくできます。
広範囲への浸水を防ぐ
天井や屋根から水滴が滴っている状態の場合には、雨水をバケツなどで受け止め濡れた場所を拭いて広範囲が浸水してしまう状態を防ぎます。
ブルーシートで床を覆うのも良いでしょう。
家電・家具を移動させる
基本的に室内にあるものは水に弱く、特に家電は濡れることで故障・漏電する危険性があります。
雨漏りが起こっている箇所からは家電や家具を退避させて、コンセントも抜いておいてください。
万が一コンセントが濡れてしまった時には、コンセントが完全に乾くまで使ってはいけません。
床の畳・カーペットを外す
雨漏りの影響で床が濡れている場合は、畳やカーペットを床から上げて避難させます。
バケツを上に置いて水滴が落ちる状態を防いだとしても、バケツに落ちた水は想像以上に広範囲を濡らすものです。
湿気によるカビの発生を予防するためにも、敷物類は雨漏りをしている箇所から退避させるべきです。
雨漏りの原因と雨漏りの跡の両方を直すことが大切
住宅の内装までダメージを与えた雨漏りは、雨漏りの原因と形跡の両方を直す必要があります。
内装工事をしても雨漏りの原因が改善できなければ再発する
雨漏りが直っていなければ内装工事をして雨染みなどの問題を修繕しても、すぐに再発してしまいます。
雨漏りの内装工事を行う前には、雨漏りの原因の特定・工事を行い雨漏りが完全に直っていることを確認する必要があるのです。
特別なスキルと経験がなければ雨漏りの原因特定は困難であるため、プロに雨漏り調査・工事を任せてください。
雨漏り調査には、目視調査・散水調査・発光液調査など複数の種類が存在します。
雨漏りを止めても内装工事をしなければカビや見た目の問題が残る
雨漏りの原因を特定して雨漏り工事をすれば、内装工事は後回しで良い・しなくて良いと考える方もいるようです。
しかし、雨漏りの跡は雨漏り工事をしても良くなりません。
見た目の問題はもちろん、木材に残った湿気がカビや害虫を繁殖させる可能性があるのです。
雨漏り工事で雨漏りを直した後は、内装工事をして住まいの内装を元の状態に戻してください。
雨漏りが原因の内装工事の全体の流れ
雨漏りのせいで住宅の内装がダメージを受けた場合には、次のような流れで工事が進みます。
- 雨漏り調査
- 足場を組む
- 外壁・屋根の工事
- 内装工事
1.雨漏り調査
最初に、雨漏りの状態や原因を特定するための雨漏り調査を実施します。
雨漏り調査には複数の種類が存在し、場合によってはいくつかの調査をしなければ原因が特定できないこともあります。
どの調査も数時間〜1日程度で完了することが多いです。
2.足場を組む
工事箇所が屋根や高い場所の場合には、足場を組む必要があります。
足場の設置に必要な時間と費用は家のサイズ・形状により異なり、1日〜2日程度で完成します。
建物が平屋である場合・ベランダなどの工事では、足場が組まれないケースも存在します。
3.外壁・屋根の工事
特定された雨漏りの原因を直す工事を実施します。
雨漏り工事は内容によって必要な期間が異なります。
屋根の全体を塗装の塗り替えや外壁材の張り替えのような大掛かりな工事であれば、2週間以上の後期が必要になるでしょう。
4.内装工事
屋根や外壁の工事を完了させ、雨水が室内に侵入しないようにした状態で内装工事をスタートします。
通常は雨漏り工事完了後に数日間時間を空けて、完全に雨漏りがなくなったことを確認した後に内装工事を行います。
天井修理は部分修理の場合は2日程度、全体の修理では1〜2週間程度の工期が必要です。
雨漏り対策を行うべきタイミング
雨漏りの可能性があると感じている時には、可能な限り早く対策を実施するべきです。
特に梅雨・台風シーズンの日本では、頻繁に強い雨・長期間の雨に見舞われる可能性が高いため、梅雨前までに雨漏り調査・工事を実施すると良いでしょう。
また、台風シーズン後にも屋根診断などで住まいの状態を確認しておくと、台風で受けた被害を早期発見できます。
自然災害により被害を受けたことが明確であれば、火災保険請求が進めやすくなるのです。
自分で雨漏りを確認できているわけではないものの、何らかの不安を感じる時には調査を依頼すると良いでしょう。
DIYで雨漏りのダメージを修繕できるのか?
雨漏り工事をプロに任せて内装工事は自分で行いたいと考える方もいます。
クロスの張り替え・塗装による雨染みを隠すような作業なら、DIYで行うこともできるでしょう。
ただし、すでに湿ってしまった下地を放置すれば、時間の経過とともにカビの被害が広がる恐れがあります。
また、工具を揃えること・ケガがないように作業をすることには想像以上に多くの労力とコストがかかります。
雨漏りが原因の内装工事は、プロに任せた方が良いと言えるでしょう。
まとめ
雨漏りは住宅に大きなダメージを与える問題です。
雨漏り工事が遅れれば遅れるほど、住宅が劣化してしまうと考えてください。
雨漏りにより住まいの内装がダメージを受けた時には、雨漏り工事と内装工事の両方を実施することが大切です。
雨漏りの原因を特定して完全に修理した上で、水を含んでしまった建材や汚れたクロスなどを張り替えましょう。
自宅の天井や壁に雨染みなどの雨漏りの兆候を見つけた方は、可能な限り早い段階で雨漏り工事・内装工事を検討してください。