天井の雨漏りに対処しないと、建物の劣化や健康被害につながる可能性があります。
本記事では、天井の雨漏り修理にかかる費用相場や応急処置の方法、必要な道具について詳しく解説します。
雨漏りのトラブルに直面した際に役立つ内容となっているため、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
雨漏りすると天井の張替えや修理が必要
天井に雨漏りが発生すると、見た目の問題だけでなく、構造的な問題にまで発展する恐れがあります。
雨漏りを放置すると、天井材が水分を吸収することで変形や膨張が起こり、見た目が悪くなるだけでなく、崩落の危険性も高まります。
また、湿気によってカビやダニが発生しやすくなり、アレルギーや呼吸器系の疾患のリスクも高まるのです。
さらに深刻なのは、木材の腐食です。
住宅の構造材が水分を吸収し続けると、徐々に腐食が進み、最悪の場合は建物の強度自体が低下してしまいます。
電気配線に水分が触れると、漏電や火災のリスクも高まるのです。
このように、雨漏りは見た目の問題だけでなく、健康被害や建物の安全性にも関わる重大な問題です。
そのため、雨漏りを発見したら、応急処置をした上で、専門業者に修理を依頼しましょう。
天井の雨漏り修理の費用相場
天井の張替えや修理が必要になった際の費用相場は、以下の通りです。
修理内容 | 費用相場 |
---|---|
べニア合板貼り | 5万円〜 |
天井材のカバー | 5万円〜 |
クロスの張替え | 3万円〜 |
石膏ボードの張替え | 3万円〜 |
穴の補修 | 2万円〜 |
下地補強 | 2万円〜 |
上記の費用は、建物の構造や使用する材料、修理業者によっても大きく変動します。
また、雨漏りの早期発見・早期修理ができれば、費用を抑えることができる場合が多いです。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
天井の雨漏りが起こる原因
天井の雨漏りは、様々な原因によって発生します。
主な原因を、以下で解説します。
屋根材の劣化
屋根材の劣化は、雨漏りの最も一般的な原因の一つです。
特に、以下のような状態が問題となります。
状態 | 詳細 |
---|---|
瓦のひび割れや破損 | 経年劣化や地震、台風などの自然災害によって、瓦にひび割れや破損が生じることがある これらの隙間から雨水が侵入し、天井に雨漏りを引き起こす |
スレートの劣化 | スレート屋根は10年〜15年程度で表面が劣化し始め、防水性能が低下する 表面のコケや藻の発生も、水分を保持するため劣化を早める原因となる |
棟板金や谷樋の劣化 | 屋根の棟部分や谷部分の板金が劣化すると、雨水が侵入しやすくなる 特に谷樋は落ち葉などが溜まりやすく、適切な清掃とメンテナンスが重要 |
釘穴の緩み | 屋根材を固定する釘の穴が経年劣化で緩んだり、釘自体が浮き上がったりすると、そこから雨水が侵入する |
上記のような屋根材の劣化は、定期的な点検でいち早く発見し、対処することが大切です。
屋上防水材の劣化
屋上やバルコニーなどの防水層の劣化も、雨漏りの重要な原因です。
状態 | 詳細 |
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防水層の経年劣化 | 防水層は紫外線や気温変化によって徐々に劣化し、亀裂や剥がれが生じる |
防水層の膨れ | 防水層の下に水分が入り込むと、膨れが生じる この膨れが破裂すると、雨水が侵入する原因となる |
ドレンの詰まり | 屋上の排水口(ドレン)が落ち葉や泥などで詰まると、雨水が滞留し、防水層の弱い部分から侵入する可能性が高まる |
屋上防水は、定期的なメンテナンスをしましょう。
特に、防水層の上に設置された設備機器の周りなど、複雑な形状の部分は注意が必要です。
シーリング材の劣化
建物の様々な部分に使用されているシーリング材(コーキング材)の劣化も、雨漏りの原因となります。
状態 | 詳細 |
---|---|
窓枠周りのシーリング | 窓枠と外壁の接合部に使用されているシーリング材が劣化すると、雨水が侵入しやすくなる 特に南側や西側など、直射日光を受ける部分は劣化が早まる |
外壁のシーリング | 外壁の目地や継ぎ目に使用されているシーリング材も、経年劣化により亀裂や剥がれが生じる 外壁の素材の膨張・収縮によってシーリング材に負荷がかかり、劣化が進む |
配管貫通部のシーリング | 配管や換気扇などが外壁を貫通している部分のシーリングが劣化すると、そこから雨水が侵入する |
シーリング材の耐用年数は、使用される素材や環境によって異なりますが、一般的に5年〜10年程度と言われています。
天井の雨漏りの応急処置で必要なもの
雨漏りを発見したら、専門業者に修理を依頼する前に、応急処置をすることが重要です。
以下に、応急処置に必要な主な道具や材料を紹介します。
コーキング材
コーキング材(シーリング材)は、隙間を埋めて防水する際に使用します。
種類 | 概要 |
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シリコンコーキング | 柔軟性があり、水回りの補修に適している 耐久性が高く、カビにも強いため、屋外の応急処置に適している 透明タイプや白色タイプなど色も選べる |
ウレタンコーキング | 伸縮性に優れ、建物の動きに対応できる 屋根や外壁の接合部など、動きが大きい部分の補修に適している |
変成シリコンコーキング | シリコンとウレタンの特性を併せ持つ高性能コーキング材 接着力が高く、様々な素材に使用できる |
雨漏りの応急処置には、防水性の高いタイプを選ぶことが重要です。
また、使用する場所や材質に適したコーキング材を選ぶようにしましょう。
コーキングガン
コーキング材を使用するために必要な道具です。
種類 | 概要 |
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手動式コーキングガン | 一般的な家庭用で、手動でレバーを引いてコーキング材を押し出すタイプ |
電動式コーキングガン | レバーを引く必要がなく、ボタン一つでコーキング材を押し出せるタイプ 長時間の作業や大量のコーキング材を使用する場合に便利 |
初心者の方は、扱いやすい手動式のコーキングガンを使いましょう。
ブルーシート
雨漏りの応急処置として、屋根や外壁を覆うために使用します。
薄手のものから厚手のものまで様々ありますが、耐久性を考慮すると、#2000〜#3000(約0.2mm〜0.3mmの厚さ)程度のものが適しています。
また、ブルーシートは余裕を持って大きめのサイズを選ぶのがおすすめです。
防水テープ
小さな亀裂や隙間を塞ぐための強力な粘着テープです。
種類 | 概要 |
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ブチルテープ | 粘着力が強く、様々な素材に接着する 水に強く、耐候性も高いため、屋外での応急処置に適している |
アルミテープ | 熱反射効果があり、屋根の応急処置に適している 耐熱性・耐候性に優れている |
防水自己融着テープ | 巻きつけるだけで自己融着する特殊なテープで、パイプや配管の水漏れ修理に適している |
使用する場所や状況に応じて、適切なテープを選びましょう。
防水伸縮シート
柔軟性があり、複雑な形状の部分にも対応できる防水シートです。
屋根の形に合わせて変形するので、取り付けしやすいです。
天井の雨漏りの応急処置方法
雨漏りを発見したら、専門業者に修理を依頼する前に、以下の応急処置をしましょう。
雨水を拭き取る
まず、天井や床に溜まった雨水を拭き取ります。
【用意するもの】
バケツ、雑巾、タオル、ゴム手袋
【手順】
- 雨漏りしている部分の真下にバケツを置いて、落ちてくる雨水を受けます
- 天井や壁に染みた水分を、雑巾やタオルでできるだけ拭き取ります
- 床に水が溜まっている場合は、すぐに拭き取り、乾燥させます
【注意点】
電気機器の近くで雨漏りしている場合は、感電の危険があるため、まず電源を切ってから作業を行ってください。
天井材が水を吸って膨らんでいる場合は、崩落の危険があるため、その部分の真下には立たないようにしましょう。
屋根の原因箇所をブルーシートなどで覆う
雨漏りの原因が屋根にある場合は、ブルーシートで覆って雨水の侵入を防ぎます。
【用意するもの】
ブルーシート、ロープ、重り(レンガや土嚢など)、ハサミ、軍手
【手順】
- 雨が止んでいる時に作業を行います。屋根が濡れていると滑りやすく危険です
- 雨漏りしている範囲より大きめのブルーシートを用意します
- ブルーシートを屋根の上に広げ、棟を越えて反対側にもかぶせると効果的です
- シートの端にロープを通し、軒先に引っ掛けるか、重りで固定します
- シートが風で飛ばされないよう、複数の場所をしっかりと固定します
【注意点】
屋根に上ることは危険を伴います。
安全に自信がない場合は、無理せずに専門業者に依頼しましょう。
また、強風時はブルーシートが飛ばされる恐れがあるため、作業を控えてください。
ブルーシートはあくまで一時的な応急処置です。
早めに専門業者による修理を行いましょう。
コーキング補修する
雨漏りの原因が特定できる場合は、コーキング材で隙間を埋めて応急処置ができます。
【用意するもの】
コーキング材、コーキングガン、マスキングテープ、へら、古布
【手順】
- 補修する部分の汚れや古いコーキング材を取り除き、よく乾燥させます
- マスキングテープで周囲を保護し、綺麗に仕上げるための準備をします
- コーキングガンにコーキング材をセットし、ノズルをカットします
- 隙間に沿って均一にコーキング材を充填します
- 充填後すぐに、濡らしたへらや指で表面を整えます
- コーキング材が乾く前にマスキングテープを剥がします
【注意点】
コーキング材は種類によって乾燥時間や特性が異なります
使用する箇所に適したものを選びましょう
気温や湿度によって乾燥時間は変わります。
そのため、完全に乾くまでは水に触れないようにしてください。
また、深い隙間や大きな穴は、一度に充填せず、数回に分けて少しずつ充填するのがおすすめです。
急処置する際の注意点
雨漏りの応急処置をする際は、以下の点に注意しましょう。
応急処置はあくまで一時的な対策です。
根本的な解決には、専門業者による適切な修理が必要となります。
高所からの転落
屋根は傾斜があり、特に雨で濡れていると非常に滑りやすくなります。
高所からの転落は重大な怪我や最悪の場合、死亡事故につながるかもしれません。
そのため、作業する際は安全帯(ハーネス)や命綱を使用し、しっかりと固定してください。
また、滑り止め付きの靴を履き、転倒防止に努めましょう。
一人での作業は避け、必ず誰かに声をかけてから作業を始めてください。
自信がない場合は、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。
屋根材や雨樋の破損
応急処置の際に、誤って屋根材や雨樋を破損させてしまうケースがあります。
瓦やスレートなどの屋根材は、重みをかけると割れる可能性があります。
雨樋は樹脂製のものが多く、体重をかけると変形や破損する恐れがあるのです。
屋根材の上を歩く際は、できるだけ荷重を分散させるため、足場板やはしごを使用しましょう。
雨樋には体重をかけないよう注意し、必要に応じて補強材を使用してください。
作業前に屋根材や雨樋の状態を確認し、劣化が進んでいる場合は特に慎重に扱いましょう。
雨漏り原因箇所の特定間違い
雨漏りの原因を誤って特定し、間違った場所に応急処置をしてしまうケースがあります。
雨漏りの発生している場所と、実際に雨水が侵入している場所は異なることがあります。
水は傾斜に沿って流れるため、侵入箇所から離れた場所で雨漏りが発生することも珍しくありません。
屋根裏や壁の内部を可能な範囲で確認し、水の侵入経路を特定しましょう。
自分で判断できない場合は、専門業者による調査を依頼することをおすすめします。
業者による雨漏り原因箇所の調査方法
雨漏りの原因を正確に特定するために、専門業者はさまざまな調査方法を用います。
屋根裏の目視調査
屋根裏から雨漏りの痕跡を確認する基本的な調査方法です。
【調査内容】
- 屋根裏に入り、木材の変色や湿り気、カビの発生などを確認します
- 雨漏りの跡を辿って、侵入箇所を特定します
- 屋根材の腐食状況も確認します
屋根裏の目視調査のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | 直接雨漏りの痕跡を確認できるため、比較的正確に原因箇所を特定できる 特別な機材が不要で、コストを抑えられる |
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デメリット | 屋根裏スペースが狭い場合や、点検口がない場合は調査が困難 微細な雨水の侵入は発見しにくい場合がある |
散水調査
人工的に水をかけて雨漏りを再現する調査方法です。
【調査内容】
- 屋根や外壁に、ホースなどで部分的に水をかけます
- 内部で雨漏りが発生するかを確認し、原因箇所を特定します
- 少しずつ範囲を広げながら水をかけ、雨漏りが発生する箇所を絞り込みます
メリット | 実際の雨漏りを再現できるため、原因箇所を比較的正確に特定できる 天候に左右されず、調査が可能 |
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デメリット | 大量の水を使用するため、建物内部に更なるダメージを与える可能性がある 複数の原因がある場合、全ての原因を特定できないことがある |
紫外線投射発光調査
特殊な蛍光剤を用いた高度な調査方法です。
【調査内容】
- 蛍光剤を混ぜた水を屋根や外壁にかけます
- 内部に侵入した蛍光剤を、紫外線ライトで照らして発光させます
- 発光している箇所を確認し、水の侵入経路を特定します
メリット | 微細な水の侵入経路も可視化できるため、精度の高い調査が可能 複雑な構造でも、水の流れる経路を正確に追跡できる |
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デメリット | 特殊な機材や蛍光剤が必要なため、調査費用が高くなる すべての業者がこの調査方法に対応しているわけではない |
赤外線サーモグラフィー調査
温度差を利用して湿気のある部分を特定する調査方法です。
【調査内容】
- 赤外線サーモグラフィーカメラを用いて、壁や天井の表面温度を測定します
- 水分を含んでいる部分は周囲と温度差が生じるため、その差を可視化します
- 温度差のある部分を特定し、雨水の侵入箇所や経路を推測します
メリット | 非破壊で広範囲の調査が可能 目視では確認できない壁内部や天井内部の湿気も検出できる |
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デメリット | 環境温度や日射の影響を受けやすく、条件によっては正確な測定が困難 機材が高価なため、調査費用が高くなる傾向がある |
まとめ
本記事では、天井の雨漏り修理にかかる費用相場や応急処置の方法、必要な道具について詳しく解説しました。
雨漏りの早期発見・早期修理ができれば、修理費用を抑えられるでしょう。
また、天井の雨漏りが発生する原因は、様々です。
雨漏りを発見したら、無理のない範囲で今回紹介した応急処置をしてください。
その後、専門業者に雨漏りの原因箇所の調査や修理依頼をするのがおすすめです。
信頼できる業者を選ぶことで、適切な修理が行われ、雨漏りの再発を防ぐことができます。