「屋根塗装や外壁塗装の保険にはどのような種類があるのだろうか?」
「保証が適用されるケースとされないケースが知りたい」
屋根塗装や外壁塗装に関して、保証があることは知っていても、保証の種類や適用条件については知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では屋根塗装・外壁塗装における保証の種類や、保証が適用されるケース・適用されないケースについて解説します。
保証内容を事前に把握することで、長い間安心して暮らせるでしょう。
Contents
屋根塗装・外壁塗装の保証
屋根塗装や外壁塗装の保証にはどのような種類があるのでしょうか?
具体的な保証は以下の3つです。
- 製品保証
- 施工保証
- メーカー保証
製品保証
製品保証とは、屋根塗装や外壁塗装に使用される塗料そのものの品質を保証する制度です。
塗料メーカーが提供するこの保証は、製品の品質に関する信頼の証といえます。
例えば、塗料缶を開封した時点で見つかる分離・凝固などの初期不良が発生した場合、メーカーは迅速に代替品を提供してくれるでしょう。
また、適切な方法で塗料を使用したにもかかわらず、塗膜に予期せぬ劣化や変色が生じた場合も製品保証の対象です。
製品保証は施工技術や環境要因ではなく、あくまで塗料自体の品質に対する保証であり、メーカーが自社製品に対して責任を持つという姿勢を示しています。
施工保証
施工保証とは、屋根塗装や外壁塗装を実施した業者が提供する保証制度です。
この保証は単なる塗料の品質ではなく、塗装工事の品質全体を対象としています。
具体的には下地処理や塗布量、乾燥時間の管理など、すべての工程が正しく行われたことを担保するものです。
万が一、施工上の問題で塗膜に不具合が生じた場合、施工業者が責任を持って補修を行います。
施工保証の期間は一律ではなく、使用した塗料のグレードや外壁・屋根の状態、環境条件によって変動します。
施工業者によっても保証内容や期間に差があるため、比較する際の目安にすると良いでしょう。
メーカー保証
メーカー保証とは、塗料メーカーが自社製品を使用した塗装工事に対して提供する保証制度です。
たとえば、塗膜の異常な変色や剥離などが起きた際、塗料の品質に起因する問題であれば、メーカーの責任として対処してくれる場合があります。
また、メーカー保証はメーカーが指定する施工方法に従った工事も保証の対象です。
塗料の下地処理や塗布方法、乾燥時間など、メーカーが定めた施工ガイドラインに従っているか確認してみましょう。
屋根塗装や外壁塗装においてメーカー保証が適用されるケースは限られていますが、適用される場合は施工保証と製品保証の両面から住宅を守る強力な要素となります。
屋根塗装・外壁塗装の保証期間
屋根塗装や外壁塗装の保証期間は、3年・5年・10年が一般的ですが、施工業者や使用される塗料のグレードによって大きく変わります。
保証期間は塗料の特性と密接に関連しており、一般的にシリコン系塗料では3年〜5年程度、より高耐久なフッ素系や無機系塗料では7年〜10年が目安とされています。
保証期間で注意すべきは、20年や30年といった長期保証を謳う業者の存在です。
長期保証は一見魅力的ですが、通常の塗料耐用年数を大幅に超える期間設定である場合、保証条件や適用範囲に厳しい制限が設けられていることがあります。
信頼できる業者は自社の施工品質に自信を持っており、適正な期間の保証を提供します。
過度に長い保証よりも、現実的な保証内容と期間を提示する業者を選ぶと良いでしょう。
屋根塗装・外壁塗装においてメーカー保証が少ない理由
ここでは屋根塗装や外壁塗装において、メーカー保証が適用されにくい3つの理由を解説します。
- 現場でのコントロールが難しい
- 技術力のばらつき
- 原因の特定が難しい
現場でのコントロールが難しい
屋根塗装や外壁塗装は、日差しの強さ・湿度・風の強さ・気温の変動など、常に変化する屋外環境の中で行われる作業です。
環境の変動が多い状況下では、塗料メーカーが理想とする施工条件を常に維持することは難しいでしょう。
さらに、全国各地で同時進行する何千もの現場において、施工技術者が塗料を正確に使用しているかを塗料メーカーが監視することは物理的に不可能です。
こういった現場管理の難しさから、塗料メーカーとしては「この塗料は〇年持ちます」という保証を全国の施工現場に一律で提供できないのが現状です。
技術力のばらつき
屋根塗装や外壁塗装の現場では、数十年の経験を持つベテラン職人から入職間もない若手まで、職人の技量に大きな差があります。
こうした技術力の差は、同じ塗料を使用した場合でも最終的な仕上がりや耐久性に明確な違いをもたらすでしょう。
例えば、下地処理の丁寧さや適切な塗布量の管理、重ね塗りのタイミングなど、細部にわたる作業手順は職人の経験と判断に委ねられています。
作業工程のいずれかが不適切であれば、塗膜の密着性や耐候性に悪影響を及ぼすことがあります。
塗料メーカーが高品質な製品を開発しても、製品を扱う職人の技量にばらつきがある以上、施工後の品質を保証することは困難なため、メーカーは保証の提供を控えているのです。
原因の特定が難しい
屋根塗装や外壁塗装で塗膜に問題が発生した場合、原因を明確に特定することは困難です。
塗料メーカーは製品を出荷した後、全国各地の現場で実際にどのように塗料が使用されているかを直接観察できません。
そのため、塗膜に不具合が生じた際に塗料自体の問題なのか、施工プロセスの不備によるものなのか、予期せぬ気象条件の影響なのかを区別できないのです。
このように原因の特定が難しい状況では、責任の所在が曖昧になるリスクがあるため、メーカーとしても一律の保証を提供することは難しいでしょう。
屋根塗装・外壁塗装で保証が適用されるケース
ここからは屋根塗装や外壁塗装において、保証が適用されるケースを4つ紹介します。
- 色褪せ
- チョーキング現象
- 塗膜剥がれ
- ひび割れ
色褪せ
塗装完了から間もない時期に色褪せが目立ち始めた場合は、塗料の品質問題や施工不良の可能性が高く、業者の保証範囲内として対応してもらえることが多いでしょう。
色褪せは見た目の問題だけではなく、塗膜が紫外線などの外部要因によって劣化し始めている重要なサインです。
色素が失われていく過程で塗膜の防水性や耐候性も徐々に低下していき、そのまま放置すれば最終的に塗膜のひび割れや剥離といった深刻な問題に発展します。
色褪せが広範囲に及んでいる場合は、全体の再塗装が必要になることもあるため、施工業者へ早めに点検を依頼するようにしましょう。
チョーキング現象
チョーキング現象とは、塗膜が徐々に劣化することで表面が粉状になり、手で触れると白い粉が付着する状態を指します。
塗膜表面が紫外線や風雨などの影響で徐々に分解され、塗料に含まれる顔料が粉状になって浮き出てくるという仕組みです。
通常、チョーキング現象は塗装後ある程度の年数を経て自然に発生しますが、塗料の品質不良や不適切な施工技術によって早期に発生することがあります。
塗装完了から短期間でチョーキング現象が発生した場合、施工不良が原因である可能性が高く、保証の対象となる場合があるでしょう。
塗膜剥がれ
屋根塗装や外壁塗装において塗膜が剥がれてきた場合、時期によって保証適用の可否が異なります。
施工完了から大体3年以内に塗膜が剥がれた場合は、施工技術の不備または塗料品質の問題と判断されることが一般的です。
一方、塗装から10年以上経って塗膜が剥がれた場合は、保証の適用外となるケースが多いでしょう。
一般的な塗料の耐用年数が約10年程度とされており、この期間を超えると自然な劣化プロセスの一環と見なされるためです。
また、高品質な塗料を使用していても、紫外線・風雨・気温変化などの環境要因によって塗膜は徐々に劣化していき、最終的には剥がれていくという点は頭に入れておく必要があります。
ひび割れ
屋根や外壁のひび割れは多くの場合、経年劣化によって発生しますが、施工完了から間もない時期にひび割れが発生した際は、施工上の問題が疑われるため保証の対象となるでしょう。
しかし、すべてのひび割れが保証対象となるわけではありません。
塗料の下地処理や塗装間隔に関するミスによって発生したひび割れは、施工不良を証明することが難しいため、保証対象外となる可能性もあります。
屋根塗装・外壁塗装で保証が適用されないケース
一方で屋根塗装や外壁塗装において、保証が適用されないケースも存在します。
保証が適用されない例は以下の4点です。
- 火災や天災が起きた場合
- 管理不十分の場合
- 人為的損傷の場合
- 工事を受けた業者以外が補修していた場合
火災や天災が起きた場合
屋根塗装や外壁塗装において、火災・地震・台風・豪雨などの自然災害によって生じた塗装面の損傷は、ほとんどの場合保証の適用外となります。
自然災害は塗装工事の品質とは無関係に発生する不可抗力の事象であり、施工業者が責任を負うべき範囲を超えているためです。
例えば、台風で飛来物が外壁に衝突したことによる塗膜の損傷や、地震によって生じた外壁のひび割れは、塗装の品質や施工技術とは関係なく発生します。
こうした天災による損傷は、どれほど高品質な塗料や優れた施工技術を用いたとしても防ぎきれるものではありません。
このような自然災害による外壁や屋根の損傷に備えるためには、住宅総合保険や火災保険への加入が有効な対策となります。
多くの火災保険では、火災だけでなく風災・雹災・雪災などの自然災害による建物被害もカバーしています。
適切な保険に加入しておくことで、万が一の災害時に修繕費用負担を軽減できるでしょう。
管理不十分の場合
日常的な点検や早期発見・早期対処を怠った結果生じた損傷については、保証の適用外となるケースがほとんどです。
例えば、小さなひび割れや局所的な塗膜の浮きに気づいていながら放置した場合、そこから雨水が侵入して広範囲に被害が拡大する場合があります。
このように早期段階で対処すれば最小限に抑えられたはずの問題は、塗装業者の施工品質とは別の要因によるものと判断されます。
住宅の外装材は常に風雨や紫外線にさらされているため、定期的な点検が欠かせません。
とくに、強風や大雨の後には外壁や屋根の状態を確認して、少しでも異常を感じたら業者に連絡することが重要です。
人為的損傷の場合
屋根塗装や外壁塗装の保証において、人為的な要因によって生じた損傷は、ほぼすべてのケースで保証適用外となります。
塗装工事の品質とは無関係に発生する損傷は、施工業者の責任範囲を超えるものと判断されるためです。
人為的損傷の例としては、駐車や車庫入れ時の車両接触による外壁の傷やボールの衝突、自転車やベビーカーの接触などがあげられます。
また、日常的なメンテナンスにおいても、高圧洗浄機の不適切な使用や強すぎるブラシでのこすり洗い、化学薬品を含む洗剤の誤使用なども塗膜を傷める原因となるでしょう。
人為的損傷については、住宅総合保険などで対応できる場合もありますが、契約内容によって異なるため、保険加入時に確認しておくことをおすすめします。
工事を受けた業者以外が補修していた場合
屋根塗装や外壁塗装において、施工した業者以外の第三者が補修や修繕を行った場合、当初の保証は無効となるケースがあります。
理由として、保証は施工業者が自社の施工品質を担保するものであり、第三者による介入後は品質管理の一貫性が保てなくなるためです。
例えば、小さなひび割れが発生した際に自分で市販の補修材を使って直したり、別の業者に部分的な塗り直しを依頼したりした場合、元の施工業者による保証は適用されなくなります。
不具合や劣化のサインを発見した場合は、まず施工を担当した業者に連絡して状況を説明して、保証対象となるかどうかの判断を仰ぐことが望ましいでしょう。
たとえ小さな問題でも素人判断での補修は避けて、専門家の意見を求めることが長期的な建物保全につながります。
まとめ
屋根塗装や外壁塗装における保証の種類や、保証が適用されるケース・適用されないケースについて解説しました。
外壁塗装と屋根塗装の保証には、製品保証・施工保証・メーカー保証の3種類があります。保証が適用されるケースとしては、早期の色褪せやチョーキング現象、施工不良によるひび割れなどがあげられます。
一方で自然災害や管理不十分、人為的損傷の場合などは、一般的に保証対象外です。
外壁塗装や屋根塗装の保証期間は通常3年〜10年程度ですが、業者や塗料の種類によって異なります。
業者を選ぶ際は保証内容をしっかりと確認して、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。