長年家を所有していると、屋根の塗装剥がれなどの問題に直面する事があります。
塗装が剥がれるということは、本来の機能を有していないことになるので、放置することで深刻なトラブルに発展する事もあります。
ここでは、屋根塗装が剥がれる原因や、塗装剥がれを放置することでのリスク、補修する際の方法や修理費用などを解説します。
Contents
屋根塗装が剥がれるとはどのような状態?
屋根塗装剥がれとは、屋根材の表面に塗ってある塗装の膜が剥がれている状態のことを指します。
具体的な症状としては、屋根の表面が以下のような状態になります。
- 塗膜が浮き上がり、白濁したような状態になる
- 塗膜が粉をふいたような状態になり、パリパリ割れている
- 塗膜が反り上がり剥がれて、内面の屋根材が見えている
塗装が剥がれると、塗料が本来有している屋根材への保護機能などが無くなることになります。
屋根塗装が発生しない屋根材もある
一般的なスレート屋根や、ガルバリウム鋼板屋根、トタン屋根などのほとんどの屋根には塗装が施されています。
しかしながら、粘土屋根のみ表面塗装する必要がなく、屋根塗装の概念がありません。
逆にいうと、粘土屋根以外の屋根のほとんどは塗装が必要なので、塗装剥がれのリスクがあると認識しておきましょう。
屋根塗装が剥がれる原因
屋根塗装が剥がれる原因としては、以下のようなものがあります。
経年劣化による剥がれ
屋根や塗料の材質にも異なりますが、一般的に屋根塗料の耐用年数は10年程度と言われています。
耐用年数近くなると、徐々に経年劣化がはじまり塗膜の接着力が低下して下地から塗料が浮き上がり屋根材と塗料の間に隙間ができてしまいます。
その隙間に水が入り込むことにより、錆やカビなどが発生するので、更に屋根材を劣化させる事に繋がります。
施工不良による剥がれ
経年劣化以外にも、施工不良によっても屋根塗料は剥がれる事があります。
施工不良の例としては、以下のようなケースがあります。
| 施工不良の例 | 症状 |
|---|---|
| 下地の処理不足 | 下地に塗料を塗る前に、ゴミ、錆、油汚れなどが残る事で剥がれやすい状態になる |
| 塗料の乾燥不足 | 塗料の乾燥が不十分だと、下地から塗料が浮き上がりやすくなる |
| 塗料の湿布不良 | 塗る塗料の量が少なすぎると、正常に塗料が下地に張り付かず浮き上がる |
施工後1ヶ月〜2ヶ月以内に塗装の剥がれなどが発生した場合には、施工不良の可能性が高いので、品質保証期間などについてもよく確認しておきましょう。
材質の相性不良による剥がれ
屋根材の材質によっては、塗装との相性が悪く剥がれやすい場合や適さないこともあります。
特に、コンクリートやスレートなどの多孔質な材質の屋根材などは、塗膜の吸収率が高く塗膜が定着しにくいので塗膜が剥がれやすい特徴があります。
このような屋根材に無理に塗装を施すと、塗膜が剥がれやすくなるので強引に塗装を施すのではなく、材質等を見直すとよいかもしれません。
屋根塗装剥がれを放置するとどうなる

一度発生した塗装剥がれは、自然に直ることはないので放置することでより深刻な状態になることが考えられます。
屋根材の劣化を加速させる恐れあり
屋根塗装が剥がれることで、屋根材に直接紫外線や雨風が当たることになります。
これにより劣化が加速することになるので、サビや腐食を発生させます。
サビや腐食は、物理的に屋根を損傷させるので、屋根としての耐久面も大きく低下させることに繋がります。
雨漏りのリスクが増大
塗装剥がれにより屋根が損傷すると、その場所から徐々に雨水が侵入します。
雨漏りが発生することで、室内まで雨水が侵入して天井のシミや家電などへの被害も発生する可能性があります。
また、雨漏りが発生するとカビやダニも発生するリスクが高くなるので、住居への被害とともに居住者への健康面でも被害が出ることになります。
家の外観を損なう
屋根塗装の剥がれを放置すると、前述のように錆やカビなどで屋根材の劣化を進めることに繋がります。
また、塗料が劣化すると本来の色味ではなく色褪せた状態になるので家の見た目を大きく損なうことになります。
塗料本来の色よりも艶がなくなるので、築年数以上に古い建物に見られます。
そのため、家の価値自体も低く査定されることもあります。
修理に関連する費用が高額になる
屋根塗装の剥がれを放置することで、前述のように劣化が進んでいくので被害が少しずつ拡大していきます。
最終的には大掛かりな工事などが必要になり、その場合には仮住まいの確保など本来屋根の修理に必要ない余分な費用も発生することになります。
屋根の塗装剥がれを修理する方法と費用

屋根の塗装剥がれを修理するには、大きく分けて「部分修理」「全体塗装」「カバー工法・葺き替え」の3つの方法があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
部分塗装
屋根塗装の剥がれ箇所が一部分の際には、対象部分のみ塗装を塗り直します。
剥がれた部分の下地の補修から下塗り、上塗りと原状回復します。
部分塗装の費用としては、足場を組む必要がなければ5万円程度で塗装ができますが、足場が必要な場合には20万円程度の費用になります。
全体塗装
塗装の劣化や剥がれが広範囲になる場合には、屋根の全体を塗装し直す必要があります。
屋根全体を高圧洗浄でキレイに汚れを落とした後に、部分塗装同様に下地補修、下塗り、上塗りと屋根塗装を全体的に施します。
屋根材にヒビ割れなどが発見された際には、コーキング材などで補修をしてから塗装を重ねます。
全体塗装の費用相場としては、50万円〜100万円程度の費用が発生します。
カバー工法・葺き替え
屋根材が簡易的な補修では修理できないレベルの場合には、カバー工法や葺き替えを施すことで屋根を補強しなおします。
カバー工法
カバー工法とは、古い屋根材の上に新しい屋根材を張って被せる施工方法のことを指します。
古い屋根材を剥がす必要や処分する必要がないので、余計な手間や出費の必要がありません。
一般的なカバー工法としては、スレート屋根の上にガルバリウム鋼板などを被せる工事などがおこなわれます。
費用相場としては、100万円〜150万円程度の金額になります。
葺き替え
葺き替えとは、古い屋根材を全て取り外して新しい屋根材に張り替えることをさします。
カバー工法と異なり、古い屋根材を剥がして処分したり、下地から張り直すこともあるために費用的には高額になることが多くなります。
費用相場としては、150万円〜200万円程度の金額になります。
屋根塗装の剥がれを予防する3つの方法
屋根塗装の剥がれは、塗料の種類により耐久度が変わりますが、いずれかのタイミングで必ず発生します。
そのため、屋根を長持ちさせるためには、耐久性の高い材質の塗料を選定したり、地域に適した塗料を選択するほか定期的にメンテナンスを実施する必要があります。
耐久性の高い塗料を選ぶ
屋根は365日常に紫外線や雨風に晒されているので、劣化しやすい環境になります。
そのため、耐久性の高い材質の塗料を用いるのが好まれます。
一般的な塗料による耐久性の違いは以下のようになります。
アクリル塗料
従来主流であったアクリル塗料は、コストパフォーマンスに優れていますが耐久年数が5年〜8年程度と比較的短いので頻繁に塗り直す必要があるので、現在ではあまり使用されていません。
数年後に、大掛かりな塗替えをおこなうなどの繋ぎとして用いられます。
シリコン塗料
シリコン塗料は、費用対効果が高い塗料として人気が高い塗料のひとつです。
アクリル塗料に比べ特に防汚性に優れており、耐久性も10年〜15年程度見込むことができます。
フッ素塗料
フッ素塗料は、主成分にフッ素を含む合成樹脂塗料で、粘着性がありよく張り付き耐候性、耐久性、防汚性、不燃性に優れた塗料になります。
耐久年数は、15年〜20年と長いので近年注目されている塗料の一つです。
無機塗料
無機塗料は、主成分にセラミックやガラスのような無機物を使用した塗料になります。
塗料を製造する際に有機物の使用が限りなく少ないので、有機物をエサとして繁殖するカビなどが生えにくく、紫外線の影響もほとんど受けません。
そのため、劣化に強く耐久年数も20年〜30年と圧倒的な耐久力があります。
場所にあった適切な塗料を選ぶ
屋根塗装の剥がれを防ぐためには、地域的特性にあった塗料を選ぶ必要があります。
紫外線が強い地域では、耐UV性に優れた塗料を用いたり、海岸近くに住んでいる場合には塩害に強い塗料を選択するなどの使い分けが必要です。
場所にあった適切な塗料を使用することで屋根塗料の剥がれを予防することができます。
屋根塗装の専門業者による定期的メンテナンスを行う
基本的に屋根の塗装剥がれは高所での確認作業となるので、経験値が少ない方が行うと危険を伴う恐れがあるのでなかなかご自身で確認する事ができません。
そのため、3年〜5年周期で定期的に屋根塗装の専門業者にメンテナンスをお願いすると良いでしょう。
身体のメンテナンスと同様で、屋根のメンテナンスも定期的に行うことで塗装の剥がれやヒビ割れを早期に発見することができます。
軽症の段階で補修箇所を発見することで大規模な修繕をする必要がなくなり、補修金額を抑えることができるので、結果的に屋根の寿命を伸ばすことができます。
まとめ
屋根塗装が剥がれる原因や、塗装剥がれを放置することでのリスク、補修する際の方法や修理費用などを解説しました。
屋根塗装の剥がれを放置すると、屋根材を劣化させたり雨漏りの原因にもなります。
屋根は毎日家を守ってくれる大切な役目があるので、本来の機能を果たせるように定期的にメンテナンスをする必要があります。
屋根の塗装やメンテナンスは、高所作業になり非常に危険を伴うので、経験豊富な専門の業者に依頼すると安心です。