陸屋根とは?メリット・デメリットや費用相場、メンテナンスについて

陸屋根(ウレタン防水・シート防水・FRP・アスファルト防水)

フラット屋根とも呼ばれる陸屋根は、そのモダンな外観と実用性で近年注目を集めています。

都市部や商業ビルなどで見ることが多い屋根の形式ですが、最近は一般の住宅でも見る機会が増えました。

そこで、ここでは陸屋根の設置を検討している方、屋根リフォームを検討している方向けに、陸屋根の基礎知識、メンテナンスの方法、費用相場、さらにはメリット・デメリットを紹介します。

陸屋根とは

陸屋根(ウレタン防水・シート防水・FRP・アスファルト防水)とは

陸屋根(りくやね・ろくやね)とはフラット屋根とも呼ばれる匂配のない平面の屋根のことを示します。

一般的に屋上と呼ばれる部分のことです。

この屋根は木造住宅には不向きで、鉄筋コンクリートの建物に向いていると言われています。

そのため、鉄筋コンクリートの構造を持つマンション・ビル・商業施設に多いです。

陸屋根の構造

一般住宅ではあまり見られない陸屋根ですが、一体どのような構造になっているのでしょうか。

ここでは、陸屋根の構造を解説します。

3構造でできている

陸屋根は基本的に以下の3層構造でできています。

床層 ・陸屋根の基盤となる部分
・コンクリート製が多い
防水層 ・建物に水が浸入するのを防ぐ
・3構造の中で最も重要な部分
断熱層 ・建物の温度調節を助ける
・冬は暖かく、夏は涼しく保つ

陸屋根は基盤となる「床層」、防水機能をつかさどる「防水層」、建物の断熱効果を高める「断熱層」の3層構造で出来ています。

この3層は全て大切ですが、最も重要なのが「防水層」です。

雨漏りを起こしやすい陸屋根の防水性を高めて、劣化を防ぐ重要な役割を担っています。

わずかに傾斜がある

陸屋根のわずかな傾斜

床屋根は平たんな形状ですが、わずかに傾斜があります。

その理由は、傾斜をつけることによって水を排水溝に流しやすくするためです。

ただし、わずかに傾斜があるとはいえ一般的な屋根と比べると水が溜まりやすいので、防水工事を行うことが重要です。

木造住宅には少ない

木造住宅には少ない

陸屋根はそもそも鉄筋コンクリート造の建物に多い屋根で、基本的に木造建築には向いていません。

その理由は、鉄筋コンクリート造の建物と木造建築では屋根の目的が違うからです。

建築方法屋根の役割
木造建築雨風をよける
鉄筋コンクリート建物を支える枠組みの一部

木造建築の場合、屋根は建物を支えるための設備ではなく、雨風をよけるという役割があります。

一方、鉄筋コンクリートの場合、屋根自体も建物を支える構造体の一部なので、陸屋根は建物にとって欠かせない部分です。

このように、木造建築と鉄筋コンクリートの建築では屋根の目的が違います。

雨風をしのぐという目的で屋根を設置している木造建築では、雨水が溜まりにくい傾斜のある屋根を設置するというのが一般的です。

しかし、最近はそのスタイリッシュな外観などが人気で陸屋根の木造建築が増えています。

陸屋根には防水工事が不可欠

陸屋根には防水工事が不可欠

陸屋根は傾斜がない屋根なので雨水が溜まりやすい構造になっています。

そのため、雨漏りを防ぐための特殊な防水工事が不可欠です。

陸屋根の劣化を防ぐためには、メンテナンスとして定期的に防水工事を行いましょう。

陸屋根の種類

陸屋根はその目的や建物のスタイルによっていくつかの種類に分類されます。

陸屋根の主な3つの種類

  • 一般的な陸屋根
  • 緑化屋根
  • アクセス可能な屋根

一般的な陸屋根

一般的な陸屋根

一般的な陸屋根とは、簡単に言うと、屋上のことです。

商業ビルやマンション、一般住宅で多く見られます。

緑化屋根

緑化屋根

緑化屋根とは、植物を植えている屋上のことです。

都市の緑化や断熱効果向上のために設置されています。

アクセス可能な屋根

アクセス可能な屋根

アクセス可能な屋根とは、人が行き来できるように設計された屋根のことです。

屋上庭園、カフェ、公園などとして利用されています。

陸屋根のメンテナンスの種類とその費用相場

陸屋根のメンテナンスは他の屋根と違って防水工事を行います。

ここでは、主な防水工事を3種類紹介していきます。

防水工事の種類費用相場
シート防水6,500円/㎡~8,500円/㎡
ウレタン防水7,500円/㎡~11,000円/㎡
アスファルト防水7,000円/㎡~10,000円/㎡

シート防水

シート防水工事
費用相場 6,500円/㎡~8,500円/㎡
耐用年数 10年~15年
施工方法 密着工法機械式固定法

シート防水とは、塩化ビニール製・ゴム製の防水シートを陸屋根に貼り付ける防水工事の方法です。

工事費用を抑え工期を短縮したいという方に向いています。

ただし、強風が多い地域ではシートが剥がれやすい、施工に高い技術が必要、などのデメリットもあります。

ウレタン防水

ウレタン防水工事
費用相場 7,500円/㎡~11,000円/㎡
耐用年数 10年~13年

ウレタン防水とは、陸屋根の表面にウレタン製の樹脂を塗布する防水工事です。

屋根の形状や広さを選ばず、費用対効果が高い工事なので最もポピュラーな方法です。

ただし、防水効果を継続させるためには5年おきに塗り替えをするのが推奨されています。

ウレタン防水の5年おきの塗装メンテンナンスの費用相場

5年おきの塗装に必要な費用は、1,500円/㎡~2,500円/㎡です。

一番上の塗装膜を塗るだけでメンテナンスができるので、費用をかなり抑えることができます。

アスファルト防水

アスファルト防水工事
費用相場 7,000円/㎡~10,000円/㎡
耐用年数 15年~25年

アスファルト防水とは、防水シートをアスファルトで貼り付ける防水工事です。

費用相場は他の防水工事と変わらないにもかかわらず、耐用年数が15年~25年と長いという特徴があります。

またメンテナンスもほぼ必要ないため、コストパフォーマンスが最も高い方法だと言えます。

しかし、重さがあり建物の負担となるため、一般住宅や小さな建物では施工されることはありません。

基本的に大型施設の屋上などで施工されることが多いです。

陸屋根のメリット

ここでは、陸屋根のメリットを紹介します。

陸屋根3つのメリット

  • 屋上になる
  • メンテンナンスが簡単にできる
  • 雪が落ちてこない

屋上になる

屋上になる陸屋根

陸屋根の最大のメリットは屋上が設置できるということです。

通常の屋根の場合、屋根の上は利用できませんが屋上にすることで庭園や休憩スペース、洗濯スペースなどとして利用できます。

自然が少ない都市部ではビルの屋上に緑を植えるなどして、町の緑化につながる空間を設けていることも多いです。

メンテナンスが簡単にできる

簡単なメンテナンスの陸屋根

陸屋根は平坦なので掃除がしやすくメンテナンスも簡単です。

一般的な屋根の場合、傾斜があり危険が多いので足場を設置するなど、工事が大がかりになります。

しかし、陸屋根は平たんで人が歩くことができるので簡単な掃除であれば自分でも可能です。

メンテナンスが簡単にできるのは陸屋根のメリットの一つです。

雪が落ちてこない

雪が落ちない陸屋根

陸屋根は平坦なので雪の落下の危険性が少ないです。

一般的な屋根は傾斜があるため、ある程度の積雪があると雪が地面に直接落下します。

しかし、陸屋根の場合は一気に地面に落下することはありません。

排水設備も備えているため、ゆっくりと溶けた雪を下に流すことが可能です。

陸屋根のデメリット

ここでは、陸屋根のデメリットを紹介します。

メリットだけでなくデメリットも理解していきましょう。

陸屋根3つのデメリット

  • 夏は暑くなりやすい
  • ロフトが設置しにくい
  • 雨漏りが発生しやすい

夏は暑くなりやすい

夏に暑くなりやすい陸屋根

陸屋根は太陽の直射日光を受ける面積や時間が長いため、夏は建物の温度が上がりやすくなります。

特に最上階は屋根の温度の影響を受けて、室内が蒸し暑くなることが多いです。

陸屋根を設置する場合は断熱材を使用する、反射板を設置するなどして熱の影響を軽減させる対策を行いましょう。

ロフトが設置しにくい

ロフトを設置しにくい陸屋根

一般的な屋根の場合、天井に屋根裏ができるためロフトを設けることができます。

しかし、陸屋根の場合は構造上屋根裏が設けられないので、ロフトを設置することができません。

ロフトを設置したい場合は、他の屋根を設置しましょう。

雨漏りが発生しやすい

雨漏りが発生しやすい陸屋根

陸屋根は平坦な屋根なのでどうしても雨水が溜まりやすくなってしまいます。

排水設備を設けても強い雨や長期間雨が続くと排水が追い付かず、水たまりが出来てしまいます。

屋根に水たまりができると雨漏りのリスクが上がるので注意が必要です。

定期的に排水設備の点検をして、水が流れやすいようにしておきましょう。

業者選びのポイント

陸屋根のメンテナンスを業者に依頼する場合は、信頼できる業者に依頼することが大切です。

陸屋根メンテナンスの業者選び3つのポイント

  • 防水工事の実績がある業者を選ぼう
  • 相見積もりを取ろう
  • コミュニケーションが取れる業者を選ぼう

防水工事の実績がある業者を選ぼう

防水工事実績のある業者

陸屋根の防水工事は雨漏りを防ぐ上で最も重要な作業です。

しかも、防水工事は高度な技術が必要なので、どの業者に依頼するかによって仕上がりの質が変わってきます。

やはり、実績が多い業者はあらゆる状況に応じた対応が上手です。

陸屋根の防水工事を行う場合は、その工事実績が多い業者を選びましょう。

相見積もりを取ろう

屋根工事の相見積り

工事を依頼する業者を選ぶ際には、複数の業者で相見積もりを取ることが重要です。

残念ながら屋根工事業者の中には、不当な額を請求する悪徳業者も含まれています。

悪徳業者に引っかからないためには、その工事の適正価格や施工の流れを知ることが大切です。

複数業者で相見積もりを取ることによって工事の適正な内容を把握し、悪徳業者に引っかかるリスクを減らしましょう。

コミュニケーションが取れる業者を選ぼう

屋根工事でコミュニケーションを取れる業者

屋根工事や住宅に関わるリフォームを依頼する業者を選ぶ際には、コミュニケーションが取れる業者を選ぶことが大切です。

工事前にはさまざまな内容の打ち合わせを行います。

その時にお客様の意志を伝えやすい業者を選ぶことによって、理想的な形で工事を行うことができるでしょう。

仙臺屋根屋の陸屋根工事施工実績

陸屋根工事でよくあるご質問

陸屋根工事とは何ですか?
陸屋根工事とは、建物の屋根が地面に接しているか、あるいは非常に低い位置にある屋根のことを指します。このタイプの屋根は、主に防水性と耐久性を高めるための工事が必要です。
陸屋根のメリットは何ですか?
陸屋根の最大のメリットは、屋上空間を庭園やレクリエーションスペースとして活用できる点です。また、断熱効果が高く、建物の冷暖房効率を向上させることができます。
陸屋根の防水工事にはどのような材料が使われますか?
防水工事には、アスファルト、シングル、合成ゴム、ビチューメンなどの様々な材料が使われます。材料選びは、屋根の形状や気候条件によって異なります。
陸屋根工事のメンテナンスはどのように行うべきですか?
定期的な点検と清掃が重要です。特に排水口の確認と清掃を定期的に行い、防水層の損傷がないかをチェックすることが推奨されます。
陸屋根工事のコストはどのくらいですか?
工事のコストは、使用する材料、屋根の面積、手間のかかり具合によって大きく異なります。詳細な見積もりを取ることが重要です。
陸屋根の防水層の耐用年数はどれくらいですか?
一般的に、良質な材料と施工であれば、10年から15年は持つとされています。しかし、定期的なメンテナンスによってさらに長持ちすることもあります。
陸屋根の施工時に考慮すべきポイントは?
施工時には、防水性と排水の良さを確保することが重要です。水はけの良い設計と適切な防水材の選定が必要です。
陸屋根での植物栽培は可能ですか?
可能ですが、栽培する植物の種類や重さ、水の管理など、多くの要因を考慮する必要があります。適切な設計と専門家のアドバイスが推奨されます。
陸屋根のリフォームを考えているが、どのように進めるべき?
現在の屋根の状態を正確に評価し、専門家と相談して最適なリフォーム計画を立てることが大切です。耐久性や美視性を向上させる選択肢を検討します。
陸屋根に適した植物は何ですか?
耐久性があり、少ないメンテナンスで済む植物が適しています。例えば、多肉植物や低木類が一般的です。

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この記事の監修者

株式会社菊地板金工業、代表取締役、菊地社長

菊地正秀

株式会社菊地板金工業 代表取締役

宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年

18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。