漆喰工事とは?特徴や費用相場、工事の流れについて
瓦屋根の漆喰は日本の伝統的な家屋に欠かせない要素の一つです。
漆喰には瓦屋根の隙間を埋め、雨漏りを防ぐという大切な役割があります。
また、日本家屋らしい美しい景観を保つという側面もあります。
ここでは、瓦屋根の漆喰工事についての基礎知識や、費用相場、工事の流れなどを解説します。
漆喰について基本的なことから知りたいという方、屋根リフォームを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
漆喰工事の基礎知識
まずは漆喰工事の基礎知識を紹介していきます。
漆喰とは
漆喰(しっくい)とは石灰を主成分とした自然素材から作られる素材で、屋根や壁に使用されています。
漆喰は1,500年ほど前に仏教伝来と同じ頃に大陸から日本に伝わってきた歴史のある技術です。
今でも伝統的な日本家屋だけでなく現代建築で注目されています。
漆喰の特徴
漆喰にはどのような特徴があるのでしょうか。
漆喰の主な3つの特徴
- 湿度調整ができる
- 防虫効果がある
- 見た目が美しい
湿度調整ができる
漆喰には湿度を調整するという特徴があります。
湿度が高いときは湿気を吸収し、逆に湿度が低いときは湿気を放出して室内環境を快適に保ちます。
防虫効果がある
漆喰には抗菌効果・防虫効果があります。
害虫の発生やカビの発生まで抑えることが可能です。
見た目が美しい
漆喰は自然な白が特徴的な素材です。
建物の景観を上品で美しい印象にしてくれます。
このような特徴がある漆喰は瓦屋根で使用されています。
では、瓦屋根のどこに漆喰が使われているのでしょうか。
漆喰は瓦屋根のどの部分で使われているの?
瓦屋根で漆喰を使用する部分は棟と軒先の2か所です。
下から屋根を見た時に棟と屋根材を繋ぐ白い部分がありますが、その部分が漆喰を使用している部分です。
瓦屋根の漆喰の役割
瓦屋根にとって欠かせない漆喰ですが、どのような役割があるのでしょうか。
ここでは、瓦屋根に漆喰を施す主な役割を3つ紹介します。
瓦屋根に漆喰を施す3つの役割
- 瓦を接着する
- 雨漏りを防ぐ
- 美観を保つ
瓦を接着する
漆喰は瓦のずれを防ぐ接着剤のような役割があります。
漆喰で瓦の隙間を漆喰で埋めることによって瓦がずれたり落下したりするのを防いでくれます。
雨漏りを防ぐ
漆喰の下には葺き土がありますが、漆喰が劣化すると葺き土がむき出しになってしまいます。
葺き土の防水効果は低いため、その状態を放置していると水分が屋根に侵入して雨漏りが起こってしまいます。
漆喰が劣化して葺き土が見えている場合は、早めに補修を行いましょう。
美観を保つ
漆喰には建物の美観を保つという役割もあります。
棟と屋根を繋ぐ部分に少しだけ見える白色は建物の印象を引き締めてくれます。
自然な風合いは日本家屋だけでなくデザイン性の高い住宅でも人気です。
このように漆喰は瓦屋根にとって重要な役割を担っています。
漆喰の劣化を放置しておくと、重大な屋根トラブルを引き起こすことがあるので早めの対処が必要です。
漆喰の劣化を放置したらどうなる?
漆喰の劣化を放置すると雨や風の影響を受けてどんどん屋根が傷んでいきます。
最初は漆喰のひび割れゆがみやから始まり、雨漏り、屋根倒壊とどんどん大きなトラブルに発展していきます。
漆喰の劣化症状を見つけたら早めに業者に修理を行ってもらいましょう。
漆喰の劣化サイン
漆喰に劣化症状が現われたら早めに補修工事をすることが大切です。
以下で漆喰劣化の主なサインを紹介するので、ご自宅の瓦屋根にこのような症状がないか確認してみましょう。
漆喰劣化の主なサイン
- 漆喰のひび割れ
- 漆喰の剥がれ・欠け
- 瓦のずれ・崩れ・外れ
- 雨漏り・屋根倒壊
ひび割れ:要観察
漆喰には湿度調節機能があるため、ひび割れが起こりやすいです。
概ね、設置から10年でひび割れが起こる素材だと思っておきましょう。
しかし、小さなひび割れであれば焦って補修する必要ないので、注意しながら観察を続けましょう。
ひび割れが大きい場合やひび割れた部分から下地が見える場合は補修が必要なので、業者に点検を依頼しましょう。
剥がれ・欠け:要注意
漆喰のひび割れを放置していると、漆喰が剥がれたり欠けたりしてきます。
この状態になった時は、下地にまで影響が出てくる可能性が高いので一度業者による点検を受けましょう。
瓦のずれ・崩れ・外れ:至急補修が必要
漆喰の剥がれ・欠けを放置しておくと次に、瓦のずれ・崩れ・外れが起こります。
この状態になった時は漆喰だけでなく下地も劣化が進んでいる可能性が高いので、漆喰工事だけでなく下地工事も必要です。
できるだけ早く業者に補修を依頼しましょう。
雨漏り・屋根倒壊:至急補修が必要
瓦のずれや崩れ、外れを放置しておくと最終的には雨漏りや屋根倒壊などの大きなトラブルへとつながってしまいます。
このような症状を見つけたらできるだけ早く業者に補修を依頼しましょう。
漆喰の劣化は徐々に進んでいきます。
小さなトラブルのうちに対処しておくことによって補修費用を下げることができるので、早めの対応が大切です。
漆喰の大きなひび割れ・剥がれ・欠けを見つけたら業者による点検を受けましょう。
漆喰のメンテナンスのタイミング
漆喰には定期的なメンテナンスが必要です。
ここでは、漆喰のメンテナンスのタイミングを見極めるポイントを2つ紹介します。
漆喰のメンテナンスのタイミング
- 漆喰の耐用年数
- 劣化の状態
漆喰の耐用年数
漆喰の耐用年数は10年~15年程度です。
瓦自体の耐用年数が50年程度と長いので、瓦屋根はメンテナンス不要だと思われることがあります。
しかし、瓦屋根に使用している他の素材は瓦に比べて耐用年数が短いので、瓦屋根にも定期的なメンテナンスが必要だと知っておきましょう。
劣化の状態
漆喰の劣化状態にも注目しましょう。
漆喰は設置環境によって劣化の進み具合が変わってきます。
大雨が多い地域、台風が多い地域などでは劣化が早いです。
上で紹介した劣化症状(大きなひび割れ・瓦の剥がれ・欠け)を見つけたら、業者による点検を受けましょう。
【種類別】漆喰工事の費用相場と施工の流れ
ここでは代表的な漆喰工事である「漆喰詰め直し工事」「棟瓦取り直し工事」について紹介します。
工事の内容や費用相場をチェックしていきましょう。
漆喰詰め直し工事
漆喰詰め直し工事とは、古い漆喰を取り除いてから新しい漆喰を詰め直す工事のことです。
漆喰や棟の劣化があまり進んでいない場合、軽いトラブルが起こっている場合に行います。
費用相場 | 6,000円/m〜 |
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施工の流れ |
①古い漆喰を取り除く ②周辺を清掃する ③新しい漆喰を詰め直す |
施工日数 | 1日~3日 |
対象となる症状 | 漆喰のひび割れ漆喰の剥がれ・欠け |
工事にかかる費用や工期は補修の程度によって変わります。
補修の面積が大きい場合や補修が難しい場合は費用が上がると思っておきましょう。
詳しくは業者の方に聞いてみるのがおすすめです。
棟瓦取り直し工事
漆喰取り直し工事とは、棟を解体して新しく組み立てる工事のことです。
棟が深刻なダメージを受けている場合に行います。
費用相場 | 45万円〜(10m程度の棟) |
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施工の流れ |
①古い棟を解体する ②周辺を清掃する ③新しい棟を設置する |
施工日数 | 3日〜 |
対象となる症状 | 瓦のずれ、崩れ、外れ棟のゆがみ雨漏り |
※棟瓦取り直し工事の方が漆喰詰め直し工事よりも規模が大きな工事です。
そのため、工期も少し長くなり、費用も高くなります。
基本的には足場が必要な工事ですが、業者によって考え方が違うので詳しくは業者の方に確認しましょう。
瓦屋根の主な漆喰工事は上で紹介したこの2種類です。
棟だけでなく屋根全体が傷んでいるは葺き直し工事、葺き替え工事など他の工事を行います。
詳しい工事方法については業者の方と話し合いましょう。
足場代が必要なことも
漆喰工事には足場設置が必要なこともあります。
足場とは屋根工事や外壁工事など高所作業を安全にスムーズに行うために設置する設備のことです。
足場設置が必要な場合は、上記で紹介した費用相場に加えて15万円~20万円程度の費用がかかると思っておきましょう。
足場が必要かどうかは見積もりの際に業者に確認しましょう。
漆喰工事で知っておくべきポイント
漆喰工事には工事前に知っておくべきポイントが2つあります。
ここでそのポイントを紹介するので漆喰工事を考えている人はぜひチェックしてみてください。
漆喰工事の2つのポイント
- 漆喰の重ね塗りはできない
- 漆喰以外の工事も可能
漆喰の重ね塗りはできない
漆喰の重ね塗りは技術的には可能ですが、あまりおすすめできない工事の方法です。
漆喰を重ね塗りすると「古い漆喰まで剥がれる」「分厚くなりすぎて雨漏りを起こしやすくなる」などのトラブルが起こりやすくなります。
また、屋根工事の悪徳業者は漆喰の重ね塗りをすすめてくることがあるので、重ね塗りを勧めてくる業者には注意が必要です。
漆喰以外の工事も可能
瓦屋根の棟を補修する工事の場合、漆喰工事以外の方法で補修することもできます。
耐震性や耐風性を上げるなら「冠一本乗せ工事」や「葺き替え」などの方法もおすすめです。
漆喰の補修工事を行う前に漆喰以外を使う他の方法についても確認しましょう。
漆喰工事を依頼する業者を選ぶ際のポイント
漆喰工事を依頼する場合、どのような業者に工事を依頼するかは大変重要なポイントです。
どの業者を選ぶかによって仕上がりの質や満足度が変わってきます。
ここでは工事を依頼する業者を選ぶ際のポイントを確認していきましょう。
業者選定4つのポイント
- 相見積もりを取ろう
- 実績を確認しよう
- 工事中の写真を見せてくれる業者を選ぼう
- アフターサービスを確認しよう
相見積もりを取ろう
リフォームを依頼する業者を選ぶ際には、複数の業者で相見積もりを取るようにしましょう。
複数の業者で見積もりを取ることによって工事費用の相場が分かり、悪徳業者に騙される可能性も低くなります。
また、複数の業者による見積もりや工事内容を比べることによって、ご自身が想定する予算や仕上がりの質に一番近い業者を選ぶことができます。
少し面倒かもしれませんが、少なくとも3社以上から見積もりを取るようにしましょう。
実績を確認しよう
リフォームを依頼する業者を選ぶ際には実績を確認しましょう。
実績が多い業者はあらゆる現場で対応してきたので技術力が高いことが多いです。
また、実績が多い業者は多くの人から選ばれた信頼できる業者だとも考えられます。
実績についてはホームページに掲載していることが多いので、まずはホームページをチェックしましょう。
工事中の写真を見せてくれる業者を選ぼう
リフォームを依頼する業者を選ぶ際には、工事中の様子を写真や動画などで見せてくれる業者を選ぶようにしましょう。
特に屋根工事の場合、直接目で見ることができないので工事の経過を確認することができません。
工事に自信がある業者であれば写真や動画を見せることを嫌がることはないので、一度見積もりの際に確認してみましょう。
アフターサービスを確認しよう
リフォームを依頼する業者を選ぶ際にはアフターサービスについても確認しましょう。
工事後のトラブルにすばやく対応してくれる業者を選ぶのがおすすめです。
定期点検を無料で行う業者なども多いので、見積もりの際にアフターサービスについても聞いてみましょう。
次に漆喰工事の費用を抑えるためのポイントを紹介します。
漆喰工事の費用を抑えるためのポイント
ここでは漆喰工事の費用を抑えるためのポイントを紹介します。
少しでもお得に工事をしたいと思っている方はぜひチェックしてみましょう。
火災保険の適用となる可能性がある
漆喰工事は火災保険が適用される可能性があります。
火災保険は基本的に自然災害による損害に対応しているので、台風や大雨などによる被害によって漆喰工事が必要になった場合は、保険の対象となることも多いです。
火災保険に加入している方は、一度工事前に保険会社に確認してみましょう。
補助金・助成金の対象となる可能性がある
漆喰工事は国や自治体による補助金・助成金の対象となることがあります。
それぞれの地域によって補助金や助成金は違うので、漆喰工事を受ける前に一度自治体に確認してみましょう。
仙臺屋根屋の漆喰工事施工実績
漆喰工事でよくあるご質問
- 漆喰工事とは何ですか?
- 漆喰工事は、建物の外壁や内壁に使用される伝統的な日本の仕上げ工法で、石灰を主成分とした材料を使用します。
- 漆喰工事のメリットは何ですか?
- 耐火性や防水性、調湿効果、抗菌効果があり、美しい光沢が特徴です。
- 漆喰工事のデメリットは何ですか?
- 施工に技術が必要で、コストが高くなることがあります。また、経年変化で割れやすいことがあります。
- 漆喰工事の費用はどのくらいかかりますか?
- 面積や施工条件によりますが、一般的には1平方メートルあたり5000円から15000円程度です。
- 漆喰のメンテナンスは必要ですか?
- 定期的な点検と、割れや剥がれが生じた場合の補修が必要です。
- 漆喰工事はどれくらいの期間で完成しますか?
- 建物の規模や施工箇所によりますが、一般的な住宅の場合は数日から1週間程度です。
- 漆喰の色は選べますか?
- 伝統的な白以外にも、現代ではカラーバリエーションが豊富に揃っています。
- 古い漆喰の補修は可能ですか?
- 可能です。部分的な補修や、全体の再施工も対応しています。
- 漆喰工事はDIYでできますか?
- 技術が必要なため、専門の職人に依頼することをおすすめします。
- 漆喰工事の施工前に準備しておくべきことはありますか?
- 壁面の清掃や下地の調整が必要です。また、施工環境が適切であることを確認してください。
その他の屋根工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。