ALCパネルとは?外壁材の特徴やメリット・デメリットについて
ALCパネルはモルタルなどと同様に建物の外壁材としてよく使われる建材の一つです。
軽量でありながら強度が高く、断熱性や遮音性などの機能性にも優れています。
そこで、この記事ではALCパネルの基礎知識やメリット・デメリット、さらには費用相場やメンテナンスについても紹介します。
ALCパネルについて興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
ALCパネルとは
まず、ALCとは「Autoclaved Lightweight Concrete」の略で、日本語では軽量気泡コンクリートを意味します。
この素材を板状に加工したものがALCパネルです。
ALCパネルの主成分は?
ALCパネルの主成分は、セメント・石灰・珪石・アルミニウム粉末などです。
高圧蒸気で硬化させることによって軽量化と強度を実現しています。
ALCパネルはどのような部分に使用されている?
戸建て住宅・ショッピングモール・ビル・東京都庁などの大型施設などの外壁材や床材などとして使用されています。
ALCパネルのメリット
住宅や大型施設でもよく使用されているALCパネルですが、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、ALCパネルの主なメリットを7つ紹介していきます。
ALCパネルの7つのメリット
- 軽い
- 耐久性が高い
- 燃えにくい
- 心地よい空間づくりができる
- 施工が簡単
- 環境に優しい
- 種類やサイズが多い
軽い
ALCパネルは一般的なコンクリートよりも非常に軽量な素材なので、建物の重量を減らすことができます。
外壁材の重量を減らすことによって建物の負担が減り、地震や災害に強い建物を実現することができます。
耐久性が高い
ALCパネルは非常に耐久性が高い素材です。
適切なメンテナンスを行えば60年以上使用することができます。
建物を長く大切に使いたいという方におすすめです。
燃えにくい
ALCパネル耐火性に優れた素材なので、もしも火災が起こっても燃え広がりにくいという特徴があります。
地震や災害が多い日本において、耐火性の高さは安全性の高さへとつながります。
心地よい空間づくりができる
ALCパネルは素材自体に空気を含んでいるため、断熱性や遮音性に優れています。
その結果、夏は涼しく冬は暖かい静かな快適空間を実現することができます。
施工が簡単
ALCパネルはカットや穴あけが簡単にできるなど、加工が簡単にできる素材です。
しかも軽量で扱いやすいため設置・運搬などにかかる労力も抑えられます。
施工が簡単にできるということは工期を短くし、人件費も削減することが可能です。
環境に優しい
ALCパネルは製造が比較的簡単で、二酸化炭素の排出量も抑えられるため、環境への影響も少ないです。
さらに、リサイクルできる素材なので環境に優しいサステナブルな建材として注目を集めています。
種類やサイズが多い
ALCパネルにはまず薄型と厚型があり、素材の厚みを選ぶことができます。
また、あらゆる形状やデザインのタイプが発売されているので、建物の雰囲気やサイズに合わせたものを選択できます。
ALCパネルのデメリット
ここでは、ALCパネルのデメリットを紹介します。メリットだけでなくデメリットも理解していきましょう。
ALCパネルの主なデメリットは以下の3つです。
ALCパネルの3つのデメリット
- 防水性が低い
- コーキング部分が多い
- コストがかかる
防水性が低い
ALCパネルは水分を吸収しやすいという特徴があるため、どうしても防水性が低くなってしまいます。
ただし、防水性が高い塗料を定期的に塗布することによって防水性を保つことが可能です。
ALCパネルを使用する際には、防水性が高い塗料を定期的に塗るようにしましょう。
コーキング部分が多い
ALCパネルは、いくつかのパネルを外壁に貼り付けるタイプの外壁材なので、どうしてもコーキング部分が増えてしまいます。
コーキングは外壁材よりも劣化が早くトラブルが起こりやすいです。
コーキングのひび割れや剥がれなどのトラブルが起こった際にはできるだけ早く補修を行いましょう。
コストがかかる
ALCパネルは、他の外壁材と比べて材料費が高い素材です。
そのため、新たに設置する際にはコストがかかってしまいます。
ただし、メンテナンスさえしっかりとすれば長く使うことができるため、トータル的にはコストパフォーマンスが良い素材です。
外壁材を選ぶ時は、初期費用だけでなくメンテナンス費用や耐用年数も考慮して選びましょう。
ALCパネルの歴史
ALCパネルは、古い歴史のある建築材料です。
ALCパネルの簡単な年表を紹介します。
<ALCパネルの歴史>
年代 | ALCパネルの歴史 |
---|---|
1920年代中頃 | スウェーデンで開発される |
1930年頃 | スウェーデンで工業生産が始まり、北ヨーロッパに普及する |
1992年 | 日本でALCの製造技術が導入され、日本で普及し始める |
このようにALCパネルには長い歴史があるということが分かります。
日本に伝わってきてからも長い間使われ続けているのは、その機能性や性質が日本の風土や環境に合っているからだと考えられます。
ALCパネルの耐用年数
ALCパネルの耐用年数は60年以上です。
他の外壁材と比べて非常に寿命が長いという特徴があります。
ただし、長く美しく使用するためには10年~15年おきにメンテナンスとして塗装をすることが大切です。
<外壁材の耐用年数>
外壁材 | 耐用年数 |
---|---|
ALCパネル | 60年以上 |
モルタル | 約30年 |
サイディング | 約40年 |
ALCパネルの劣化症状
ALCパネルは耐久性が高い素材ですが、劣化症状が現われた際には適切な補修を行うことが大切です。
ここでは、ALCパネルが劣化した時に現れる主な症状とその対処法を紹介します。
ALCパネルの主な劣化症状
- コケ・カビの発生
- チョーキング
- 塗膜の剥がれ
- コーキングのひび割れ
- ひび割れ
このようなの劣化症状が現われた際は、できるだけ早く補修を行いましょう。
コケ・カビ:高圧洗浄・業者による清掃
塗料が劣化して防水性が低下するとコケやカビが発生します。
特に日当たりが悪い部分、湿度が高い地域ではコケやカビが発生しやすいので注意が必要です。
このような症状が現われた場合は、自分で高圧洗浄を行うか、業者による清掃を依頼するのがおすすめです。
チョーキング:塗装
チョーキングとは、外壁に触れると白い粉が付くという現象のことです。
この症状が現われているということは塗料が劣化してきていることを意味します。
この状態を放置すると塗膜の剥がれやひどい場合は雨漏りが発生することもあるので、早めに塗装を行いましょう。
塗膜の剥がれ:塗装
塗装が劣化して防水性が低下すると、塗膜が剥がれたり膨れたりしてきます。
この状態を放置すると、外壁内部に水分が侵入して雨漏りが起こってしまう可能性があります。
この症状が現われたら早めに塗装を行いましょう。
コーキングのひび割れ:コーキング補修
コーキングとは外壁材のすき間を埋める素材のことです。
ALCパネルはコーキング部分が多いため、ひび割れは要注意が必要です。
この素材も外壁材と同様に経年劣化するため、ひび割れなどの劣化症状が現われた際には補修を行いましょう。
ひび割れ:補修
ひび割れは建物の揺れ、地震などの災害、外壁材の経年劣化によって起こります。
この症状を放置すると建物内部に水分が侵入して建物の構造自体が傷んでしまう可能性があるので、できるだけ早く補修を行いましょう。
ALCパネルの費用相場
外壁リフォームを検討する際に重要なコストとして、ここではALCパネルにかかる費用相場を紹介します。
まずは、他の外壁材の費用相場と耐用年数を比較してみましょう。
<他の外壁材との比較>
外壁材 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
ALCパネル | 7,000円/㎡〜 | 60年 |
窯業系サイディング | 4,000円/㎡~ | 40年 |
金属系サイディング | 5,000円/㎡~ | 30年 |
モルタル | 4,500円/㎡~ | 30年 |
上の表を見てわかる通り、ALCパネルの費用相場は1㎡あたり7,000円~で、他の外壁材よりも価格が高いことが分かります。
ただし、耐用年数が60年と非常に長いため、長期的に見るとお得な外壁材です。
外壁材を選ぶ際は費用だけでなく、メンテナンスや耐用年数も確認しましょう。
工事費用も必要!
上で紹介した費用相場には足場代や人件費などの工事費用が含まれていません。
実際に工事する場合は、足場代、人件費、諸経費などの費用がかかることを知っておきましょう。
工事費用を節約するためには、屋根塗装など他のリフォームと同時に行うのがおすすめです。
ALCパネルを設置する際の注意点
耐久性が高く寿命が長い歴史のあるALCパネルですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、ALCパネルを使用する際の注意点を3つ紹介します。
ALCパネル設置におけるの主な注意点
- 定期的なメンテナンスをする
- シーリング補修をする
- 防水性が高い塗料を選ぶ
定期的な塗装メンテナンスをしよう
ALCパネルは耐久性が高いため、適切に使用すれば60年以上使うことができます。
しかし、長い間機能性を保った状態で使用するには、定期的な塗装メンテナンスが必要です。
塗装によって外壁の機能性や防水性が維持されるため、塗装が劣化する前に定期的に塗り替えを行うことが大切です。
ただし、塗料によって耐用年数が違うので、塗装をした際には塗布した塗料の耐用年数を確認しておきましょう。
シーリング補修をしよう
ALCパネルは比較的シーリング部分が多い外壁材です。
シーリング部分は外壁材の部分よりも劣化しやすいため、定期的に点検をする必要があります。
シーリング部分の劣化を放置すると雨漏りなどの重大なトラブルへとつながってしまうことがあるので、早めに補修を行うことが大切です。
防水性が高い塗料を選ぼう
ALCパネルは防水性が低い素材です。
そのため、防水性の高い塗料を塗布することによって水や湿気から守る必要があります。
ALCパネルに塗布する塗料を選ぶ際には、防水性に注目しましょう。
ALCパネル工事を依頼する業者の選び方
住宅のリフォームを行う際にはどのような業者に工事を依頼するかがとても重要なポイントとなります。
ここでは、ALCパネル工事を行う際の業者選びのポイントを紹介していきます。
ALCパネル工事業者選びの3つのポイント
- 複数の業者で相見積もりを取る
- 実績や工事内容を確認する
- 評判や口コミを確認する
複数の業者で相見積もりを取ろう
ALCパネル工事を依頼する際には、複数の業者で相見積もりを取ることが大切です。
複数の業者で相見積もりを取ることによって、工事の適正価格や流れを知ることができます。
お客様の目的や予算に最も近い業者を選ぶことによって満足度が高い工事を受けることができます。
実績や工事内容を確認しよう
工事を依頼する業者を選ぶ際にはその業者の実績や今まで行ってきた工事内容を確認しましょう。
ALCパネル工事を行いたい場合は、ALCパネル工事の実績が多い業者を選ぶと安心です。
実績が多い業者に依頼すれば、その材料の知識や技術力が高いことが多いため、質の高い工事をうけることができます。
評判や口コミを確認しよう
工事を依頼する業者を選ぶ際には、周囲からの評判や口コミが良い業者を選びましょう。
実際に工事を受けたことがあるクライアントからの評価や口コミは大変参考になります。
業者に工事に対する態度や今までトラブルがなかったかをしっかりと調べておくことで、後のトラブルを未然に防ぐこともできます。
仙臺屋根屋の外壁コーキング工事施工実績
ALCパネル工事でよくあるご質問
- ALCパネル工事とは何ですか?
- ALCパネル工事は、軽量気泡コンクリート製のパネルを使用した建築工事です。断熱性や耐火性に優れており、住宅や商業施設の外壁材として広く使用されています。
- ALCパネルの主な利点は何ですか?
- ALCパネルの主な利点は、軽量であるため構造への負担が少なく、優れた断熱性と耐火性を持っていることです。また、施工が比較的簡単で、工期の短縮が可能です。
- ALCパネルの施工方法にはどのようなものがありますか?
- ALCパネルの施工方法には、直接壁に接着する方法や、金属製のフレームに取り付ける方法があります。プロジェクトの要件に応じて最適な方法が選ばれます。
- ALCパネルのメンテナンスはどのように行うのが良いですか?
- ALCパネルのメンテナンスでは、定期的な清掃とともに、ひび割れや損傷がないか確認することが重要です。必要に応じてシーリング剤の補修や塗装の更新が推奨されます。
- ALCパネルの耐用年数はどれくらいですか?
- ALCパネルの耐用年数は、適切なメンテナンスを行った場合、約30年から50年とされています。環境や使用状況によって変動することがあります。
- ALCパネルの施工に必要な工具は何ですか?
- ALCパネルの施工には、カッター、ノコギリ、電動ドリル、接着剤、シーリング材などが必要です。また、安全装備として安全帽や保護メガネも必要とされます。
- ALCパネル工事のコストはどのくらいかかりますか?
- ALCパネル工事のコストは、パネルの厚みや面積、施工方法によって異なりますが、一般的には他の外壁材に比べてコストパフォーマンスが良いとされています。
- ALCパネルでの防音効果はありますか?
- ALCパネルは密度が高いため、ある程度の防音効果があります。完全な防音を求める場合は、追加の防音対策を検討することが必要です。
- ALCパネルを使用する際の注意点は何ですか?
- ALCパネルを使用する際の注意点として、パネルが水分を吸収しやすいため、防水処理を適切に行うことが重要です。また、重量があるため、取り扱いや運搬には注意が必要です。
- ALCパネルの施工時によくある問題は何ですか?
- ALCパネルの施工時には、パネルの割れや破損が発生しやすいため、慎重に取り扱う必要があります。また、接着剤の乾燥時間を確実に守ることが施工の品質を保つ上で重要です。
その他の外壁リフォーム工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。