コンクリート外壁の特徴とは?メリット・デメリットや費用相場について
コンクリート外壁は耐久性やメンテナンスの面で優れているだけでなく、近代的でスタイリッシュなデザインを演出できるため、多くの建築家に愛されています。
しかし、その特徴やメンテナンスなどについて詳しく知っているという人は少ないです。
そこで、ここではコンクリート外壁のメリット・デメリット、費用相場やメンテナンスについてご紹介します。
コンクリート外壁に興味がある方、これから家を建てようと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
コンクリート外壁とは
コンクリート外壁とは、コンクリートを用いた外壁のことです。
コンクリートは「セメント・水・砂利・砂」を混ぜ合わせたもので構成されています。
これを型枠に流し込んで形成することによってあらゆる形状の外壁を作ることが可能です。
コンクリート外壁の特徴
ここではコンクリート外壁の特徴を簡単に紹介していきます。
コンクリート外壁の特徴
- 強度が高い
- 耐震性が高い
- 遮音性が高い
- 耐久性が高い
- 独特のデザインが人気
- 重たい
コンクリート外壁にはこのような特徴があります。
耐久性・機能性だけでなくデザイン性も高い外壁です。
では、コンクリート外壁は日本でどれくらい普及しているのでしょうか。
日本におけるコンクリート外壁のシェア率
日本におけるコンクリート外壁のシェア率は約2%と非常に低い水準にあります。
この理由は以下の2つが考えられます。
- コストがかかる
- 手間がかかる
コンクリート外壁は機能性や耐久性が高いですが、どうしても設置するのに手間やコストがかかってしまいます。
そのため、設置が簡単でコストも抑えられる他の外壁材を選ぶ人が多いようです。
しかし、高いデザイン性や耐久性から特定の層には根強い人気があります。
コンクリート外壁とモルタルの違いとは
コンクリート外壁とモルタルは似ているため、混同した意味で使われることが多いですが、全く違う素材です。
ここでは、コンクリート外壁とモルタルの違いを紹介していきます。
項目 | コンクリート外壁 | モルタル |
---|---|---|
材料 | セメント+水+砂+砂利* | セメント+水+砂 |
質感 | ザラザラしている | ツルツルしている |
特徴 | ・強度が高いひび割れしづらい ・コストが高い | ・ひび割れが起こりやすい ・コストが安い |
コンクリート外壁とモルタルの最も大きな違いはその「材料」です。
コンクリート外壁には砂利が含まれていますが、モルタルには砂利が含まれていません。
そのため、コンクリート外壁は表面がザラザラしていますが、モルタルはツルツルした仕上がりになっています。
また、コンクリート外壁の方がモルタルに比べてひび割れが発生しづらく、強度が強いという特徴があります。
コンクリート外壁の種類
コンクリート外壁にはデザインのバリエーションが豊富な外壁です。
そこで、ここでは、コンクリート外壁の中でも人気が高いデザインを紹介していきます。
コンクリート外壁の5つのデザイン
- 打ちっぱなし
- タイル貼り
- 石貼り
- 塗り壁
打ちっぱなし
打ちっぱなしとは、コンクリートをそのままむき出しにした壁にするデザインのことです。
あえてコンクリートをむき出しにすることによって、スタイリッシュで洗練された雰囲気を演出することができます。
カフェやレストランでも使用されることが多いです。
タイル貼り
タイル貼りとは、コンクリートの上にタイルを貼るデザインのことです。
タイル張りにすることによって一気に建物に高級感が生まれます。
また、コンクリートもタイルもほぼメンテナンスが不要な素材なので、メンテナンス費用がほぼ掛からないのも人気の理由です。
石貼り
石貼りとは、コンクリートの上に石を貼るというデザインのことです。
石は自然素材なのでタイルよりも耐久性が高いという特徴があり、ほぼメンテナンスが必要ありません。
ただし、初期費用が高くなるので施工前にしっかりと予算の確認をしておきましょう。
塗り壁
塗り壁とは、コンクリートの上に土壁や漆喰を塗るというデザインのことです。
左官職人による作業が必要になります。
和風建築や現代建築に使用されることが多い建築家に人気のデザインです。
このように、コンクリート外壁にはあらゆるデザインのものがあります。
実際に施工する場合は、業者の方と相談しながらコストとデザインのバランスを考えていきましょう。
コンクリート外壁のメリット
ここではコンクリート外壁のメリットを紹介していきます。
コンクリート外壁の6つのメリット
- 耐久性が高い
- デザイン性が高い
- コストパフォーマンスが高い
- 防音性が高い
- 断熱性が高い
- 害虫に強い
耐久性が高い
コンクリートは非常に丈夫で耐久性が高い素材です。
そのため長期間にわたり機能性を維持することができます。
悪天候や自然災害などの外的な刺激から耐える能力が高いため、建物の外壁として非常に適しています。
デザイン性が高い
コンクリートは形状や質感を自由自在に変えられる柔軟なデザイン可能な素材です。
打ちっぱなしコンクリートのようなスタイリッシュな外観や色や形をカスタイマイズすることで、現代的な建築を表現することができます。
コストパフォーマンスが高い
コンクリート外壁は初期コストが高いですが、その耐久性の高さとメンテナンスの少なさを考えるとコストパフォーマンスが非常に高い素材です。
一度設置すれば長期間外壁の交換や大規模なリフォームが必要ない経済的な外壁だと言えます。
防音性が高い
コンクリートは防音性が非常に高い素材です。
そのため、自宅で楽器を弾きたい人、音楽教室を開きたい人に向いています。
高速道路の近く、線路の近くなど外の騒音が気になる地域の方にもおすすめです。
断熱性が高い
コンクリートは断熱性が高い素材なので、一年中快適な室内環境を保つことができます。
コンクリートを外壁材として使用すると冷暖房の効率が向上し、光熱費削減にも効果的です。
湿度も調節できるので快適な居住空間を実現することができます。
害虫に強い
コンクリートは害虫の侵入を防ぐことができるため、木材などのように害虫に悩ませられることが少ないです。
シロアリなどの被害を受ける可能性も低いため、建物を長持ちさせることができます。
コンクリート外壁のデメリット
ここでは、コンクリート外壁のデメリットを紹介します。
コンクリート外壁の4つのデメリット
- 初期費用が高い
- 重量が重い
- 施工に手間がかかる
- ひび割れが発生することがある
初期費用が高い
コンクリート外壁の最大のメリットは初期費用が高いということです。
コンクリートは製造、運搬、施工など全ての工程で多くのコストがかかってしまいます。
特に品質の高いコンクリートを使用する場合、特殊なデザインを施す場合はさらにコストが上がります。
ただし、メンテナンス費用があまりかからないので、長期的にはコストパフォーマンスが良い素材です。
重量が重い
コンクリートは非常に重たい素材です。
そのため、外壁に使用すると建物に大きな負担がかかります。
コンクリート外壁を施工する場合は、特殊な骨組みや基礎が必要になることがあり、それがさらに初期費用を増加させる原因にもつながります。
施工に手間がかかる
コンクリート外壁を設置する場合、他の外壁材よりも手間や時間がかかります。
また、天候や気温、湿度が固まるまでの時間に影響を与えるため、天候によってはさらに工期が延びることも多いです。
ひび割れが発生することがある
コンクリートは時間の経過や温度変化が原因で収縮する素材なので、ひび割れが発生する可能性があります。
ひび割れが発生すると外観が悪くなるだけでなく、建物の耐久性にも影響を与える可能性があります。
ひび割れを見つけたら早めに補修することが大切です。
コンクリート外壁の耐用年数
コンクリート外壁の耐用年数は60年~100年だと言われています。
他の外壁材と比べて非常に寿命が長い外壁材です。
ただし、コンクリート外壁は結露が発生することが多いため、メンテナンスを怠るとコケやカビが生えてしまいます。
長い間美しく使うためには定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
コンクリート外壁のメンテナンス
コンクリート外壁は非常に耐久性が高い頑丈な外壁です。
しかし、機能性や美観を保つためには定期的なメンテナンスが重要です。
ここでは、コンクリート外壁のメンテナンス法について紹介します。
高圧洗浄:5年おき
コンクリート外壁は結露が起こりやすいため、放っておくとカビ・藻・シミが発生することがあります。
カビ・藻・シミをそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく劣化を進ませる原因にもなるため、早めに洗浄することが大切です。
カビ・藻・シミは高圧洗浄機を使っても素人が洗浄するのは難しいので、できれば業者による洗浄を行いましょう。
部分補修:ひび割れなどの症状が現われた時
コンクリート外壁はひび割れが発生しやすい外壁です。
ひび割れを放置すると建物の構造に水が侵入し、建物自体を傷ませる原因にもなるため、早めの補修が大切です。
自然災害の後にひび割れが起こりやすいので、大雨や地震の後は外壁の点検を行いましょう。
塗装:塗料の種類による
コンクリート外壁の劣化を防ぎ、長期間美しい状態を保つために最も大切なメンテナンスが塗装です。
塗装をすることによって防水性や弾力性が向上します。
塗装のタイミングは前回塗布した塗料の耐用年数によっても異なりますが、一般的に10年おきに行うのがおすすめです。
コンクリート外壁の劣化症状
コンクリート外壁が劣化するとどのような症状が現われるのでしょうか。
ここでは、コンクリート外壁の主な劣化症状を3つ紹介します。
コンクリート外壁の3つの劣化症
- ひび割れ
- カビ・コケ・藻の発生
- シミ
ひび割れ
コンクリートは伸縮性や弾力性が低い素材なのでひび割れが起こりやすいです。
ひび割れが発生すると外壁内部に水が侵入し、建物の構造にも悪影響を与えてしまう可能性があります。
ひび割れを見つけたら早めに補修を行うことが大切です。
カビ・コケ・藻の発生
コンクリート外壁はカビ・コケ・藻が発生することがあります。
特に日当たりの悪い部分、湿度の高い地域ではカビ・コケ・藻が発生する可能性が高いので注意が必要です。
シミ
コンクリートは吸水性が高い素材なので、雨水などの水分を吸い込みます。
吸い込んだ後の水分については蒸発するので後に残りませんが、水分に付着した汚れが残りシミとなってしまいます。
コンクリート外壁の防水性を普段から高めておくために、定期的に塗装によるメンテナンスを行いましょう。
コンクリート外壁塗装の費用相場
コンクリート外壁はメンテナンスとして定期的に塗装を行う必要があります。
コンクリート外壁の塗装にはさまざまな種類があり、塗装を行う際には、塗料の特徴をよく理解して、お客様の目的や予算に合った方法を選ぶことが大切です。
ここでは、コンクリート外壁の塗装工事の種類とその費用相場を紹介していきます。
<4つの塗装工事の工法>
弾性塗料 | 弾力性を向上させる塗料 |
---|---|
撥水剤 | 防水性を向上させる塗料 |
クリヤー工法 | 見た目を美しくする塗料 |
再現工法 | 表面を保護し、質感を再現する |
弾性塗料:2,800円/㎡~3,000円/㎡
弾性塗料とは、コンクリートの弾力性を高める塗料です。
小さなひび割れであればこの塗料を塗るだけで補修することもできます。
ただし、コストがかかる、コンクリートの色合いが変わってしまうなどのデメリットもあるので注意が必要です。
弾性塗料の基本情報
- 費用相場:2,800円/㎡~3,000円/㎡
- 耐用年数:10年~15年
撥水剤:1,500円/㎡~2,000円/㎡
撥水剤とは、防水性を高めて雨漏りを防ぐために塗料です。
比較的コストが安く、コンクリートの風合いも変えないというメリットがあります。
ただし、耐久性が低いので定期的に塗り替えをする必要があります。
撥水剤の基本情報
- 費用相場:1,500円/㎡~2,000円/㎡
- 耐用年数:5年~7年
クリヤー工法:3,500円/㎡~4,000/㎡
クリヤー工法とは、外壁の風合いを残した状態で表面を保護してくれる塗装の方法です。
撥水剤よりも耐用年数が長いので、塗り替えの頻度を減らすことができます。
ただし、コストがかかる、ひび割れを補修した際の跡が目立つなどのデメリットもあります。
クリヤー工法の基本情報
- 費用相場:3,500円/㎡~4,000/㎡
- 耐用年数:8年~15年
再現工法:3,600円/㎡~5,000円/㎡
再現法とは、シリコン塗料やフッ素塗料を塗る方法です。
コンクリート外壁の風合いを残した状態で、見た目を美しく保護してくれるという特徴があります。
ただし、施工が難しいため施工業者が少ない点に注意が必要です。
再現工法の基本情報
- 費用相場:3,600円/㎡~5,000円/㎡
- 耐用年数10年~15年
コンクリート外壁工事をする際の業者選定のポイント
コンクリート外壁の工事を依頼する際には、その業者選びが重要です。
どのような業者に工事を依頼するかによって仕上がりの質や工事の満足度が変わってきます。
ここでは、コンクリート外壁工事を依頼する際の業者選びのポイントを紹介していきます。
コンクリート外壁工事業者選びの3つのポイント
- 複数の業者で相見積もりを取ろう
- 実績と評判を確認しよう
- アフターサービスや保証を確認しよう
複数の業者で相見積もりを取ろう
コンクリート外壁工事を依頼する業者を選ぶ際には、複数の業者で相見積もりを取りましょう。
複数の業者で見積もりを取ることによって適正価格や基本的な工事の流れを詳しく知ることができます。
少なくとも3社以上で見積もりを取ると安心です。
実績と評判を確認しよう
工事を依頼する業者を選ぶ際には、その業者の実績や評判を確認しましょう。
コンクリート外壁工事を依頼したい場合は、その工事数が多い業者を選ぶと技術力が高いことが多いので安心です。
また、実際に工事を受けたことがあるクライアントの評判や口コミは大変参考になります。
実績や評判が良い業者を選ぶようにしましょう。
アフターサービスや保証を確認しよう
業者によって工事後のアフターサービスや保証内容が異なります。
工事後にトラブルが起こった時にすばやく対応してくれる業者はアフターサービスや保証が整っている場合が多いです。
工事後数年間はトラブル対応が無料の業者なども多いので、工事後のサービス内容にも注目しておきましょう。
仙臺屋根屋のコンクリート外壁工事施工実績
コンクリート外壁工事でよくあるご質問
- コンクリート外壁工事のメリットは何ですか?
- コンクリート外壁は耐久性が非常に高く、耐火性や防音性に優れています。また、メンテナンスが比較的容易で、長期間にわたって美観を保つことができます。
- コンクリート外壁工事の費用はどのくらいかかりますか?
- 費用は建物の大きさやデザイン、使用するコンクリートの種類によって異なりますが、一般的には他の外壁材料と比較して初期投資は高めですが、長期的にはコストパフォーマンスが良いと言えます。
- 工事の期間はどのくらいですか?
- 工事の規模や天候条件にもよりますが、通常は数週間から数ヶ月かかることが多いです。
- メンテナンスはどのように行うのが良いですか?
- コンクリート外壁は定期的にクリーニングを行い、ひび割れや損傷が見られた場合は早めに修理をすることが重要です。
- 色やデザインのバリエーションはありますか?
- はい、コンクリートは染色やテクスチャー加工が可能ですので、多様なデザインや色で仕上げることができます。
- 耐震性について教えてください。
- コンクリートは非常に強度が高い材料ですので、適切に設計され施工されれば、優れた耐震性を提供することができます。
- 既存の建物にコンクリート外壁を追加することは可能ですか?
- 可能ですが、建物の構造や重量を支えられるかの詳細な調査が必要になります。専門の技術者と相談することをお勧めします。
- コンクリート外壁に適した気候はありますか?
- コンクリート外壁は多湿や極端な気温変動がある地域でも性能を維持することができるので、幅広い気候条件に適しています。
- コンクリート外壁工事における一般的な問題点は何ですか?
- ひび割れや水漏れ、表面の劣化などが挙げられますが、これらは適切な設計と施工によって最小限に抑えることが可能です。
- コンクリート外壁の寿命はどのくらいですか?
- 適切にメンテナンスされていれば、50年以上持つことがありますが、環境や使用状況により異なります。
その他の外壁リフォーム工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。