コロニアル屋根はその独特の美しさと実用性の高さから多くの建物に選ばれています。
そんなコロニアル屋根ですが、雨風や強い日差しに常にさらされているということもあり、経年と共にさまざまなトラブルが起こってきます。
そんなトラブルを解消するために大切なのが塗装による定期的なメンテナンスです。
そこで、ここではコロニアル塗装についての基本知識や抑えておきたいポイントを解説していきます。
コロニアル塗装を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
コロニアルとは
コロニアルとは、スレート屋根の一種で、ケイミュー株式会社が販売している屋根材の商品名です。
この屋根材は、比較的安価で、デザイン性が高く、塗装がしやすく、軽量で耐震性も高いため、全国に普及しています。
コロニアル=カラーベスト=スレート屋根
コロニアルはスレート屋根の一種ですが、普及率が高い屋根材なので、スレートと言えばコロニアルという認識がされるようになりました。
しかし、実際には販売している企業が異なるだけで、コロニアルもカラーベストもスレート屋根もほぼ同じ屋根材です。
セメントと繊維質を混ぜ合わせた成分でできている
コロニアルはセメントと繊維質を混ぜ合わせた成分でできており、それを薄く加工したものです。
2004年以前はアスベストが含まれていましたが、それ以降はアスベストの使用が禁止されたため、アスベストは含まれていません。
デザイン性が高くカラーバリエーションも豊富なので、洋風・和風どちらの建物にも似合います。
コロニアル屋根の耐用年数
コロニアル屋根の耐用年数は20年~25年程度だと言われています。
日当たり・気候・立地条件などによってその年数は異なりますが、定期的に塗装メンテナンスを行うとその耐用年数を長くすることができます。
なぜコロニアル屋根が普及した?
コロニアル屋根は全国的に普及している人気の高い屋根材です。
このように全国的に普及している理由は、軽量でしかもコストが安いからです。
屋根の重さはその建物の耐震性に影響するため、地震が多い土地柄の日本で注目されるようになりました。
しかも、初期費用が安くコストも抑えられることから、新築で家を建てる人に選ばれることが多いようです。
コロニアル屋根のメンテナンス方法
コロニアル屋根を良好な状態に保つためには日々のメンテナンスが重要ですが、どのような方法でメンテナンスをしていけば良いのでしょうか。
ここでは、コロニアル屋根のメンテナンス方法を4つ紹介します。
- 塗装
- 部分補修
- 葺き替え
- 重ね葺き
塗装
塗装とは、屋根に塗料を塗り直すメンテナンス方法です。
コロニアル屋根のメンテナンスで最も重要で一般的なメンテナンス方法になります。
定期的に塗装を行うことによって屋根材の機能性を維持できるため、屋根や建物の寿命を延ばすことが可能です。
部分補修
屋根に部分的な損傷がある場合に行う部分的な補修のことです。
台風などの強風によって何らかの物が当たって屋根が損傷したり、強風によって屋根材がズレたりした場合に行われることがあります。
葺き替え
葺き替えとは、古い屋根材を解体・撤去して新しい屋根材を取り付けるメンテナンス方法です。
屋根全体が劣化している、屋根材が耐用年数を超えている場合に行います。
大規模な工事なのである程度の工事期間や費用が必要になりますが、屋根全体を一新することができるため、建物の耐久性を高められるというメリットがあります。
重ね葺き
重ね葺きとは、古い屋根の上から新しい屋根材を取り付けるメンテナンス方法です。
古い屋根の屋根下地が傷んでいない場合に行うことができます。
屋根を解体・撤去する必要がないため、葺き替えよりは費用を抑えることができますが、屋根が重くなり耐震性が下がるという可能性もあります。
コロニアル屋根は上のような方法でメンテナンスを行いますが、どのようなタイミングでメンテナンスを行えば良いのでしょうか。
コロニアル屋根のメンテナンスサイン
美しい屋根を保つためには定期的なメンテナンスが必要ですが、どのようなタイミングで行うべきか迷うことも多いでしょう。
そこで、屋根のメンテナンスをすべきサインについて紹介します。
以下のような症状が現れたらメンテナンスを検討しましょう
- 色褪せ
- 塗膜の剥がれ
- カビ・コケ・藻の発生
- 屋根材のひび割れ・そり返し
- 棟板金の不具合
- 瓦が落ちた
色褪せ
屋根材に塗布している塗料が劣化すると、まず色褪せが起こります。
色褪せは直射日光や雨風の影響によって起こる屋根の劣化を示す症状なので、色褪せが起こっているということは塗料自体が劣化してきていることを表します。
塗料が劣化してきているということは屋根材を保護する機能も低下しているので、塗装によるメンテナンスを検討しましょう。
塗膜の剥がれ
屋根材に塗布している塗料が劣化すると、塗膜が剥がれてきます。
塗膜の剥がれを放置すると、塗膜が剥がれた部分から雨水が染み込み、屋根全体を傷めてしまう可能性があります。
塗膜が剥がれている部分がある場合は、すばやく業者に点検を依頼して、適切な補修を行いましょう。
カビ・コケ・藻の発生
屋根に塗布している塗料が劣化すると、防水性や撥水性が低下するためカビやコケや藻が発生しやすくなります。
カビやコケや藻が生えているということは、塗料が劣化してきていることを表すので、できるだけ早く業者による点検を依頼し、必要な場合は清掃や塗装によるメンテナンスを行いましょう。
屋根材のひび割れ・そり返し
屋根材に塗布している塗料が劣化すると防水性が低下し、屋根材がひび割れたり反り返したりしてしまいます。
このような症状を放置するとさらに状態が悪くなり、雨漏りの原因となる可能性もあるので、できるだけ早く補修を行いましょう。
棟板金の不具合
コロニアル屋根の頂点部分には棟板金と呼ばれる設備があります。
この部分は最も雨風にさらされるため、釘が抜けたり、棟板金が浮いたりというトラブルが起こりやすいです。
このような不具合を放置すると、雨漏りや屋根全体の損傷につながるので、早めに補修を行いましょう。
瓦が落ちる
屋根材の損傷を放置すると、損傷部分から雨水が侵入し瓦が滑り落ちてしまう可能性があります。
瓦が滑り落ちると屋根下地がむき出しになり、雨漏りが起こってしまうかもしれません。
雨漏りが起こると屋根全体の補修が必要になる可能性もあるので、瓦が落ちた場合は早めに補修を行いましょう。
このような症状が起こった場合は、すみやかに業者に連絡して、点検や補修を行いましょう。
コロニアル塗装とは
コロニアル塗装とは、コロニアル屋根に施す塗装のことです。
コロニアル屋根において塗装によるメンテナンスが最も重要だと言われています。
その理由は、コロニアル屋根に施されている塗装は経年劣化によって機能性が低下してくるため、塗装によってその機能性を回復させる必要があるからです。
一般的に10年に1度程度の頻度で塗装メンテナンスを行うことが推奨されています。
コロニアル塗装にかかる費用相場
コロニアル塗装にかかる費用は、使用する塗料の種類によって異なります。
塗料の種類によって特徴や耐用年数が異なるので、塗料の特徴を良く知ってから塗料を選ぶことが大切です。
ここでは、塗料の耐用年数と費用相場を種類別に紹介します。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
---|---|---|
ウレタン塗料 | 8年~10年 | 18万円〜30万円 |
シリコン塗料 | 10年~15年 | 25万円〜40万円 |
フッ素塗料 | 15年~20年 | 35万円~45万円 |
遮熱塗料 | 15年~20年 | 40万円~60万円 |
*100㎡(一般的な住宅の屋根の大きさ)として計算
このように塗装にかかる費用は選ぶ塗料の種類によって大きく異なります。
安い塗料を選択すれば費用を抑えることができますが、安い塗料ほど耐用年数が短いので、次の塗り替えまでの期間が短くなります。
長い目で見ると、質の高い塗料を選択してメンテナンスまでの期間を長くする方がお得になることもあるので、塗料を選ぶ際には費用だけでなく耐用年数にも注目しましょう。
コロニアル屋根で塗装メンテナンスが必要な理由
コロニアル屋根において塗装メンテナンスは最も重要なメンテナンスの一つですが、なぜ塗装メンテナンスが重要なのでしょうか。
ここでは、コロニアル屋根において塗装メンテナンスが必要な主な理由を紹介します。
- 維持費を抑えることができるから
- ひび割れしやすい素材だから
- 屋根自体に防水性がないから
- 塗料は経年劣化するから
維持費を抑えることができるから
普段から定期的に塗装メンテナンスを行うことによって、結果的に屋根の大きなトラブルを防ぐことができます。
例えば雨漏りが起こると屋根全体を交換しなえればならない可能性もあり、そうなると多大な費用が必要です。
大きなトラブルになる前にメンテナンスを行うことで、最終的に屋根を維持するためのコストを削減することが可能です。
ひび割れしやすい素材だから
コロニアル屋根はセメントを主成分とする屋根材なので、水や乾燥に弱く、ひび割れが起こりやすい素材です。
それをカバーするために塗装が施されているので、塗装が劣化してくるとひび割れが起こりやすくなります。
屋根材のひび割れを防ぐためには定期的な塗装が重要です。
屋根自体に防水性がないから
コロニアル屋根はもともと防水性が低い屋根材です。
そのため表面の塗装が劣化すると屋根や建物に雨水が侵入しやすくなります。
雨水を防ぐためには防水性を維持することが重要なので、定期的な塗装メンテナンスは欠かせない作業となります。
塗料は経年劣化するから
コロニアル屋根に塗布している塗料は経年劣化していきます。
劣化した塗装では紫外線や雨水から屋根を守ることができないため、定期的な塗装メンテナンスを行い、屋根トラブルのリスクを減らすことが大切です。
コロニアル塗装で知っておきたい5つのポイント
コロニアル塗装は建物の外観を美しく見せて、機能性を高めるために大切な手段ですが、正しい知識を持っておく必要があります。
ここでは、コロニアル塗装で知っておくべきいくつかのポイントを紹介していきます。
不具合が起こる前にメンテナンスしよう
コロニアル屋根は美しさと機能性を維持するためには定期的な塗装が大切です。
普段から定期的に塗装を行っていると、大きなトラブルを防ぐことができるので、結果的にコストを抑えることができます。
できれば10年に1度程度の頻度で塗装を行うのがおすすめです。
屋根塗装のDIYは避けよう
屋根の塗装作業はプロでも危険が伴う作業なので、素人がDIYを行うのはおすすめできません。
また塗装作業には専門的な知識や技術が必要なので、素人がDIYするとムラが出たり、持続性に問題が出たり、新たな損傷の原因になったりします。
塗装作業は専門業者に依頼するようにしましょう。
高圧洗浄で屋根が傷んでしまうことがある
屋根塗装を行う前には高圧洗浄機を使って洗浄することが多いです。
高圧洗浄機で洗浄すると短い時間できれいにすることができますが、高すぎる水圧が原因で屋根材を傷めてしまう可能性があります。
高圧洗浄機を使って屋根を洗浄する時は屋根を傷めないような圧力で行うようにしましょう。
屋根塗装において下地処理が大切
コロニアル塗装を行う前には下地処理として下塗りが行われます。
この下塗りが丁寧に行なわれていないと、防水性や機能性を低下させてしまうので、業者に塗装を依頼する時には下地処理がしっかり行われているか確認しておくことが大切です。
逆に、下地処理をしっかりと行っていない業者は作業が適切ではない可能性が高いので、他の業者に依頼することをおすすめします。
縁切りは重要な作業
縁切りとは、塗装の境界を明確にして塗料が隣接する屋根材に流れてしまうのを防ぐために行う作業です。
この作業がしっかりと行われていないと後に不具合が起こりやすくなります。
コロニアル塗装において縁切りという作業が重要であることを理解しておきましょう。
コロニアル塗装の手順
では、コロニアル塗装とはどのような流れで行われるのでしょうか。
ここではコロニアル塗装の手順を解説します。
1.足場を設置する
屋根の塗装作業は高所作業なので、作業員の安全を確保するために足場を設置します。
足場の設置には約1日かかると思っておきましょう。
2.屋根を高圧洗浄する
塗装前の準備として屋根の表面の汚れやカビや藻などを除去するために高圧洗浄を行います。
屋根塗装においてこの高圧洗浄が非常に重要な工程で、この工程でしっかりと汚れを落とすことができないと塗料が剥がれやすくなってしまいます。
3.簡単な補修を行う
屋根の洗浄が終わったら、ヒビ割れ・釘抜けなどの小さな不具合を補修します。
この工程で不具合を補修することによって、屋根の寿命を延ばすことが可能です。
4.下塗りをする
屋根塗装は何回かに分けて塗料を塗布していきます。
下塗りとは、1回目に塗料を塗る作業のことで、その後に塗布する塗料が癒着しやすいようにするために行います。
屋根材の劣化具合が激しいほど、下塗りの回数も多くなります。
5.縁切りをする
上でも簡単に説明しましたが、縁切りとは、屋根材と屋根材の間の部分に塗料が入り込んでしまうのを防ぐために行われる作業で、コロニアル塗装において非常に重要な作業です。
この縁切り作業がしっかりと行われていないと、屋根材と屋根材の間に湿気が溜まって屋根や建物が腐食してしまう可能性があります。
縁切りを行うためにタスペーサーというアイテムが使われることが多いです。
6.上塗りをする
下塗りが完成したら最終的な色や仕上がりを決定する上塗りを行います。
塗料の耐久性や美観を保つために、上塗りを2,3回行うこともあります。
7.足場を解体する
屋根塗装が終わったら、足場を解体していきます。
足場解体作業も約1日かかることを想定しておきましょう。
一般的にコロニアル塗装はこのような流れで行われますが、業者によって作業内容や順番が異なるので、詳しくは業者に確認しましょう。
コロニアル塗装のメリット
コロニアル塗装を行うメリットはいくつかありますが、ここでは主なメリットを3つ紹介します。
- 見た目が美しくなる
- 屋根の保護効果が高まる
- 屋根の維持費を抑えられる
見た目が美しくなる
屋根に塗装を行うことで屋根の美観を高め、建物全体の印象を一新させることができます。
塗装によって屋根材の色褪せや小さな損傷を目立たなくできるため、建物の印象を変えたい場合は、塗装を行うのがおすすめです。
屋根の保護効果が高まる
屋根に塗装を行うことで雨風、紫外線から保護する効果を高めることができます。
塗装は経年劣化するため、防水性や耐候性などの機能性が徐々に低下しますが、塗装をし直すことでこのような機能を再度高めることが可能です。
屋根の維持費を抑えられる
屋根塗装には当然ある程度の費用がかかります。
しかし、定期的に塗装をすることによって屋根の大きなトラブルを防ぐことが可能です。
雨漏りなどの大きなトラブルが発生すると多大な修繕費が必要になるので、普段から塗装メンテナンスをして屋根を良好な状態に保ち、屋根の全体的な維持費を抑えましょう。
コロニアル塗装のデメリット
コロニアル塗装を行うにはメリットだけでなくデメリットもあります。
ここでは主なデメリットを3つ紹介します。
- 費用がかかる
- 期間がかかる
- 足場設置が必要になる
費用がかかる
コロニアル塗装には見た目を美しくして、屋根の耐久性を高める効果がありますが、工事に費用がかかります。
特に高品質や塗料を使用する場合、専門的な技術を必要とする作業がある場合はコストがかかります。
また、建物の大きさや状態によっても費用は異なり、古い屋根や傷みが激しい屋根の場合はさらに高額になることもあるので注意しましょう。
期間がかかる
コロニアル塗装を行うためには完了するまでに一定の期間が必要です。
工事中の天候や進み具合によっては予定よりも工事期間が延びることも珍しくありません。
塗装工事中は建物の使用が制限されたり、洗濯物が外に干せなくなったり、と不便を感じる機会も増えます。
足場設置が必要になる
屋根塗装工事の際には作業の安全性と効率を高めるために足場の設置が必要となります。
足場を設置することで作業員が安全に作業を進めることができますが、足場設置にはコストと設置・解体にかかる期間が必要です。
また、足場を設置することで建物の外観が一時的に損なわれ、近隣住民に迷惑をかける可能性もあります。
コロニアル塗装を依頼する業者を選ぶポイント
コロニアル塗装を依頼する際には業者選びが大変重要です。
どのような業者を選ぶかによって仕上がりの質や工事の満足度が変わってきます。
そこで、ここではコロニアル塗装を依頼する業者を選ぶ際のポイントを紹介します。
- 複数の業者で相見積もりを取ろう
- 評判や口コミを確認しよう
- 実績や得意な工事を把握しよう
複数の業者で相見積もりを取ろう
塗装業者を選ぶ際には複数の業者で相見積もりを取りましょう。
複数の業者から見積もりを取ることによって工事内容や工事にかかる費用を比較して、その中から最も希望に合う業者を選ぶことができます。
適当な工事で高額な費用を請求する悪徳な業者に騙されないためにも、相見積もりを取ってその工事の適正価格や内容を把握しましょう。
評判や口コミを確認しよう
塗装工事を依頼する業者を選ぶ際には、その業者の評判や口コミを確認しましょう。
評判が良い業者は作業の質だけでなく顧客対応やアフターサービスも優れていることが多いです。
地元の業者の場合は近所の方からの評判、インターネット上での評価や口コミは参考になります。
実績や得意な工事を把握しよう
塗装業者を選ぶ際にはその業者が得意としている工事内容や実績を確認しましょう。
数多く塗装業者がありますが、業者によって得意としている工事内容は異なり、得意としている工事は実績も多い傾向があります。
コロニアル塗装を依頼したい場合は、コロニアル塗装の実績が多い業者を選ぶと安心です。
まとめ
コロニアル塗装は、屋根の美観や耐久性を高めるために重要なメンテナンスの一つです。
一般的に10年に1度のペースで塗り直しを行うことが推奨されています。
ただし、気候条件や立地によっては劣化の速度が速くなるので、ヒビ割れや塗膜の剥がれ、屋根材が落ちるなどの不具合が起こった場合は、10年未満でも業者による点検や補修を依頼するようにしましょう。
屋根の状態を保ち建物の寿命を保つためにも、定期的に塗装を行うことが大切です。