大切な製品を製造、保管する工場や倉庫にとって、雨漏りは予想以上の損害を引き起こす重大なトラブルです。
少しの雨水の侵入が、製品の破損、電気系統の故障、建物の劣化など大きなリスクに発展することも少なくありません。
そこで、この記事では工場や倉庫で雨漏りが起こる原因やそれぞれの対処法を紹介します。
万が一のトラブルを避けるためにも、雨漏りについて理解しておきましょう。
Contents
工場や倉庫では雨漏りが発生しやすい
実は工場や倉庫は雨漏りが起こりやすい建物だと言われています。
その理由は屋根の面積が広くて、天井が高い構造だからです。
雨の影響を受けやすい屋根の面積が広い分、雨漏りが発生する確率も上がってしまいます。
工場や倉庫は雨漏りが起こりやすい建物だということを理解して、普段から点検やメンテナンスを行うことが大切です。
工場や倉庫で雨漏りが起きやすい場所
工場や倉庫は構造が複雑で、しかも大きいため、雨漏りのリスクが高いです。
ここでは、雨漏りが起きやすい主な場所とその特徴について詳しく紹介します。
- 屋根
- 排水設備
- 外壁
- 窓や出入り口
- 空調・配管
屋根
工場や倉庫の雨漏りの原因で最も多いのが屋根のトラブルです。
工場や倉庫の屋根は面積が広く、しかも毎日強い紫外線や雨風にさらされています。
そのため、どうしても劣化のスピードが早くなり、屋根材のひび割れや欠け、ズレなどの不具合が起こりやすいです。
さらに、工場や倉庫の屋根は勾配が緩い場合が多く、水が溜まりやすいです。
水が溜まるとその部分から雨水が侵入し、雨漏りに繋がることも少なくありません。
排水設備
排水設備とは、雨水を適切に排水するための設備です。
例えば、雨樋やドレンがそれにあたります。
これらの設備にゴミや落ち葉が詰まると、排水がスムーズに行われず、屋根や外壁に水があふれ出し、最終的に雨漏りになってしまうことがあります。
外壁
外壁は紫外線や風雨の影響を直接受けるため、年数が経つとひび割れ(クラック)が発生したり、目地のシーリング材が劣化して隙間ができたりすることがあります。
そこからじわじわと雨水が建物内に入り込み、内部の壁や床にまで被害を及ぼすケースがあります。
窓や出入り口
工場や倉庫には多くの出入口や窓がありますが、それらのサッシまわりや建て付け部分は雨水が侵入しやすいです。
特に古くなったパッキンやシーリングが劣化していると、雨や強風時に水が染み込んでくることがあります。
空調・配管
空調設備や排水・ガスなどの配管が外壁や屋根を貫通している箇所は、特に雨水が侵入しやすい場所です。
施工時に防水処理が不十分だったり、経年によってコーキングが剥がれてしまったりすると、わずかな隙間から水が入り込みます。
雨漏りを放置するリスク
工場や倉庫は大きな建物なので、雨漏りが発生しても気付かれないことが多いです。
しかし、工場や倉庫の雨漏りを放置すると、想像以上に深刻な被害につながる可能性があります。
ここでは雨漏りを放置することのリスクを紹介します。
- 製品や設備への被害
- 漏電や電気系統への影響
- 労働環境の悪化
- 建物全体への影響
製品や設備への被害
雨漏りが発生すると、工場や倉庫に保管している製品や材料が濡れてしまい、破損や品質低下の原因となります。
特に紙製品や精密機器、金属部品などは水分に弱く、わずかな湿気にも注意しなければなりません。
また、生産ライン上の設備が濡れることで機械の稼働停止を余儀なくされ、生産スケジュールの遅延や納期の遅れが発生するリスクもあります。
漏電など電気系統への影響
雨漏りが配線やブレーカー、制御盤などの電気設備に達すると、漏電やショートの危険があります。
漏電やショートが発生すると、作業員が感電するなどの重大な事故が発生するかもしれません。
また、火災につながる可能性もあるので、電気系統周りの雨漏りには特に注意が必要です。
労働環境の悪化
作業現場に雨水が入り込むと、床が滑りやすくなったり湿気がこもったりして、労働環境が悪化します。
特に危険物を取り扱う工場で雨漏りが発生すると、作業員のケガや事故など大きなトラブルの元になってしまうかもしれません。
さらに、雨漏りによる湿気はカビを発生させることもあり、アレルギーの原因にもなる恐れがあります。
建物全体への被害
雨漏りは一度始まると、建物全体にじわじわとダメージを広げていきます。
屋根や壁の内部に水が浸入し続けることで、木材や鉄骨部分が腐食したりサビたりして、建物の構造そのものの強度が低下してしまいます。
建物全体が劣化すると、補修費用も高額になるので早めに対処することが大切です。
工場や倉庫から雨漏りが発生した時の原因
工場や倉庫での雨漏りは、長年の劣化や小さな不具合の積み重ねによって起こることがほとんどです。
特に広い面積を持つ工場や倉庫では、一部の損傷が大きな雨漏りにつながることもあるため、早期の発見と対処が重要です。
ここでは、雨漏りの主な原因とその特徴を詳しく見ていきましょう。
- ボルトのサビ
- 屋根材の劣化
ボルトのサビ
屋根などでよく使われるボルトは、風雨や湿気にさらされることで徐々にサビてきます。
サビが進むとボルトがゆるみ、取り付け部分にすき間が生じて雨水が侵入する原因になります。
また、サビが進行するとボルトそのものが破損することもあり、屋根材の浮きや変形が起こることも多いです。
特に目視しづらい高所では異変に気づきにくいため、定期的な点検やボルトの交換、などのメンテナンスが重要です。
屋根材の劣化
屋根材は紫外線や雨風の影響を直接受けるため、どうしても経年劣化が進みやすいです。
経年劣化すると、割れ・欠け・浮きなどのさまざまな不具合が生じ、最終的には穴が開いてしまうこともあります。
屋根材の劣化を示す症状(色褪せや塗膜の剥がれ)が見られたら早めに塗装などのメンテナンスを受けましょう。
工場や倉庫から雨漏りが発生した時の対処法と費用相場
では、実際に雨漏りが発生した際にはどのような対処法があるのでしょうか。
ここでは、工場や倉庫でよく行われる雨漏り対策の工事とそれぞれの費用相場を紹介します。
被害が拡大して修理費用が高くなってしまう前に、早めに対処しましょう。
- ボルトキャップの取り付け
- 塗装工事
- 部分張り替え
- カバー工法
ボトルキャップの取り付け(費用目安:約100円/個)
ボトルキャップとは、既存のボルトに取り付けて防水性を高める専用のキャップです。
屋根のボルト部分からの雨漏りは、ボルトキャップの取り付けで対処できることがあります。
サビの進行を抑える効果もあり、比較的安価かつ短時間で施工可能な応急処置です。
ただし、屋根全体の老朽化が進んでいる場合は他の方法と併用することが望ましいです。
塗装工事(費用目安:約4,000円/㎡〜約8,000円/㎡)
塗装工事とは、屋根や外壁の表面に塗料を塗る工事のことです。
塗装をすることで、防水性や耐候性などの機能を回復させることができます。
軽度の雨漏りであれば塗装のみで改善できるケースも多いです。
部分張り替え(費用目安:約15,000円/㎡〜約30,000円/㎡)
部分張り替えとは、屋根材を部分的に張り替える工事のことです。
屋根の一部のみに破損、劣化が生じた時にその部分だけを修繕することができます。
被害が限定的であればコストを抑えつつ工事できるという点がメリットですが、全体的に劣化してきている場合は、全面補修や他の工法を検討する必要があります。
カバー工法(費用目安:約7,000円/㎡〜約12,000円/㎡)
カバー工法とは、既存の屋根を撤去せずに、その上から新しい屋根材を設置する工事のことです。
屋根全体が老朽化している場合に適しています。
撤去作業が不要なので、工期を短縮してトータルコストを抑えられるというメリットがありますが、屋根が重くなる、屋根材までは補修できないというデメリットもあります。
雨漏りの補修工事を受ける際には、損傷の程度、屋根材の種類などに応じた適切な工事を受けましょう。
詳しい費用は屋根材の種類や屋根の構造によっても異なるので、担当の業者に確認してください。
工場や倉庫から雨漏りが発生した時の応急処置
工場や倉庫で雨漏りが発生した場合、まず大切なのは被害拡大を防ぐことです。
本格的な修理を行うには専門業者による工事が必要ですが、それまでの間に適切な応急処置を行うことで、製品や設備へのダメージを最小限に抑えることができます。
ここでは、現場でできる基本的な応急処置の方法を紹介します。
- 雨水に対処する
- 雨漏り箇所の特定・できれば養生する
- 濡れてほしくない物を移動・保護する
- 停電や漏電防止の処理をする
- 専門業者に連絡する
雨水に対処する
雨漏りが発生したら、まずは漏れてきた水を受け止めることが重要です。
バケツやタンク、ビニールシートなどを使って雨水が床や製品に広がらないようにしましょう。
床にタオルや吸水マットを敷いておくと、滑り防止にもなります。
雨水が電気設備に近い場合は、濡れる前に電源を落とし、感電や火災のリスクを避けましょう。
雨漏り箇所の特定・できれば養生する
可能であれば、雨漏りの発生箇所を確認し、ブルーシートや防水テープなどで一時的に覆って雨の侵入を防ぎましょう。
ただし、高所の場合や手が届かない箇所は、無理に近づかないでください。
また、現場の写真を撮っておくと、後の修理依頼や保険申請の際にも役立ちます。
濡れてほしくない物を移動・保護する
製品や機械、書類などの濡れてはいけない物は、早急に安全な場所へ移動させましょう。
移動が困難な場合は、ビニールシートなどで覆って、水がかからないように保護します。
特に電気機器や紙類は水に弱いため、優先的な対応が必要です。
停電や漏電防止の処置をする
雨漏りが電気配線やブレーカーに近い場所で発生した場合は、感電や漏電のリスクが高まります。
被害拡大を防ぐために、主電源を切り、安全な状況を確保しましょう。
安全が確保されるまでは、その周辺に人を近づけないようにすることも大切です。
専門業者に連絡する
応急処置が終わったら、速やかに防水や屋根修理の専門業者に連絡を取りましょう。
現場の状況を正確に伝えることで、見積もりがスムーズに進みます。
写真や動画を添えて説明するとより効果的です。
すばやく対処することによって、ある程度被害を抑えられるため、業者選びもスピーディーに行うことが大切です。
雨漏りの修理費用を抑えるためのポイント
工場や倉庫で雨漏りが発生すると、建物の規模や修理内容によって費用が大きくふくらむことがあります。
しかし、事前の備えや工夫次第で、コストを大幅に抑えることも可能です。
ここでは、修理費用をできるだけ抑えるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
- 定期点検やメンテナンスを行う
- 早期発見してすばやく対処する
- 複数業者で相見積もりを取る
- 修繕費となるかどうか確認する
定期点検やメンテナンスを行う
雨漏りは気づいたときにはすでに建物内部まで被害が広がっていることが多く、修理費用も高額になりがちです。
そうならないためには、屋根や外壁、排水設備などの定期点検を行い、小さな劣化を早期に見つけて補修することが重要です。
梅雨前や台風前などの季節の変わり目になど毎年決まった時期に点検を行いましょう。
早期発見してすばやく対処する
雨漏りの初期段階では、部分的な補修や塗装工事など、比較的費用がかからないような対処で済むことが多いです。
しかし、放置すると被害が広がり、屋根や壁の全面張り替えといった高額な工事が必要になります。
わずかな水滴や天井のシミなど、初期のサインに気づいた時点ですばやく対処しましょう。
複数業者で相見積もりを取る
修理費用を少しでも抑えるには、複数の業者による相見積もりを取りましょう。
業者によって価格設定やサービス内容が異なるため、比較することによって費用や工事内容に納得できる業者を選ぶことができます。
まれにいる悪徳業者に騙されないようにするためにも、複数業者で見積もりを取って工事の相場を知っておくことが大切です。
修繕費となるかどうか確認する
工場や倉庫の雨漏り修理費は、「修繕費」として経費にできる場合があります。
経費として計上できれば、節税にもつながります。
ただし、工事の規模や内容によっては経費として認められないこともあるので、税理士や会計担当者に確認しながら進めることが重要です。
雨漏りを防ぐためにはメンテナンスが重要
雨漏りを未然に防ぐためには、日頃からの定期的なメンテナンスが欠かせません。
屋根や外壁、排水設備などは、どうしても時間の経過とともに劣化が進みます。
定期点検を行うことで早期の段階で異常を見つけることができるため、大規模な修理や工事を防ぐことが可能です。
建物の寿命を延ばすためにもメンテナンスをしっかりと行いましょう。
信頼できる業者選びのポイント
工場や倉庫の雨漏り修理は、建物の構造が複雑で高所作業も多いので、安全性や専門性が求められます。
そのため信頼できる業者を選ぶことが重要です。
ここでは、安心して依頼できる業者を選ぶために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
- 実績や専門性があるかを確認する
- 見積もりの内容と説明の丁寧さに注目する
- 保証制度やアフターサービスを確認する
実績や専門性があるかを確認する
信頼できる業者選びのためには過去の実績や専門性に注目しましょう。
特に工場や倉庫などの雨漏り修理を依頼したい場合は、大規模施設での修理実績が豊富かどうかを確認することが大切です。
大規模施設と一般住宅とは構造が異なるため、大規模施設での工事に慣れている業者に依頼する必要があります。
見積もりの際に、過去の施工事例や得意分野を確認しましょう。
見積もりの内容と説明の丁寧さに注目する
信頼できる業者は、見積もりの内訳が細かく記載されており、説明も丁寧であることが多いです。
見積書に分かりにくい項目がある場合は迷わず質問しましょう。
また、「一式」とだけ記載された見積書や、極端に安い見積もりを提示する業者は注意が必要です。
保証制度やアフターサービスを確認する
修理後も安心して任せられるかどうかは、保証制度やアフターサポートの有無で判断できます。
信頼できる業者は、一定期間の施工保証を設けており、万が一工事後の不具合が発生した場合でも無償で対応してくれる場合があります。
また、定期点検やメンテナンスサービスの有無も確認しましょう。
工事後のフォロー体制がしっかりしている業者であれば、長期的にも安心して付き合っていけます。
まとめ
工場や倉庫での雨漏りを放置することで製品や設備への被害、電気系統のトラブル、建物全体の劣化など、深刻なリスクへと発展します。
雨漏りが起こった際には、すばやく原因を特定して適切な対処をすることが重要です。
補修費用を抑えるには、日頃から定期的な点検やメンテナンスをしておくことが求められます。
雨漏りを見つけたら放っておかず、すばやく対処しましょう。