ガルバリウム鋼板は、耐久性が高い屋根材・外壁材として人気を集めています。
他の建材にはないようなフラットかつシンプルなデザインが多く、現代的な外観を形にしたい方におすすめです。
しかし、「ガルバリウム鋼板はメンテナンスをする必要がない」という誤った情報があるようです。
ガルバリウム鋼板は耐久性が高い建材ですが、塗装をしなければ錆や色褪せなどのリスクがあるでしょう。
今回の記事では、ガルバリウム鋼板屋根の塗装方法や費用相場についてまとめました。
ガルバリウム鋼板の屋根をマイホームに採用しようと考えている・すでにガルバリウム鋼板の屋根の家を建てたという方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板は、アルミ亜鉛合金めっき鋼板のことを指しており、耐久性・耐震性・防水性などに優れた建材として知られています。
選択可能なデザインや色も豊富であるため、シンプルまたはモダンなデザインの外観を好む方から人気を集めているのです。
また、ガルバリウム鋼板は省略して「ガルバ」「ガルバリウム」と呼ばれる場合もあります。
ガルバリウム鋼板のメリットとデメリット
ガルバリウム鋼板には、次のようなメリットとデメリットが存在します。
ガルバリウム鋼板のメリット | ガルバリウム鋼板のデメリット |
---|---|
・耐震性が高く錆びにくい ・耐用年数が30〜40年もある ・独特の雰囲気を演出できる | ・絶対に錆びないわけではない ・遮音性・断熱性が低い種類もある ・テイストが合わないデザインもある |
ガルバリウム鋼板を取り入れようと考えている方は、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるための塗装
ガルバリウム鋼板は塗装をすることで劣化や錆を防げるようになります。
「ガルバリウム鋼板には塗装は不要」という意見もありますが、ガルバリウム鋼板の屋根を美しく強く保つためには、塗装が必要だと考えるべきです。
定期的にガルバリウム鋼板の塗装を塗り直すことで、長期間美しい外観を維持できるでしょう。
ガルバリウム鋼板の塗装時期の目安
ガルバリウム鋼板の塗装時期は住宅の立地により異なるものの、10年を目安に考えると良いです。
特に屋根は紫外線や雨風にさらされているため、定期的な塗り替えが必要です。
ガルバリウム鋼板を塗装するメリットとデメリット
ガルバリウム鋼板を塗装で保護すれば、長期間美しい外観を保てる・耐久性を維持できる・防水性を高められるなどのメリットがあります。
屋根は住宅を守る役割を持つことから、塗装が有効だと考えるべきでしょう。
ただしデメリットとして、塗装費用がかかる・塗装の耐用年数が過ぎれば錆びる可能性があるなどの注意点も存在します。
ガルバリウム鋼板の塗装の劣化サイン
ガルバリウム鋼板の塗装が劣化した時には、次のようなサインが表れます。
屋根の場合はチェックが難しいケースが多いですが、塗装の劣化サインを知っておきましょう。
チョーキング
チョーキングとは、手で塗装箇所を触った時に白い粉が付着する現象を指します。
チョーキングは塗装の劣化が始まったサインであり、深刻な劣化がスタートする前から確認できます。
この段階でメンテナンスをすれば、ガルバリウム鋼板の損傷を最小限に抑えられるでしょう。
塗装のひび割れ
塗装にひびが入っている状態であり、深く大きなひびになると建物の躯体に影響を与える可能性があります。
軽度のひびは「チェッキング」重度のひび割れは「クラック」と呼ばれ、クラックは早めの対処が必要です。
塗装の剥がれ
塗膜の付着力が弱まり塗装が剥がれる状態です。
塗膜の剥がれが進行するとガルバリウム鋼板を保護できず、建物自体の劣化に直結します。
塗装の剥がれを発見した時には、早めのメンテナンスを考えるべきです。
サビ
適切なメンテナンスが施されているガルバリウム鋼板の屋根は錆びにくいですが、塗装にひび割れや剥がれ・耐用年数の経過などの問題があると、ガルバリウム鋼板も錆びてしまいます。
サビが進行すれば、建材の強度に悪い影響が出るだけでなく、外観の印象も変わってしまうでしょう。
ガルバリウム鋼板の塗料について
ガルバリウム鋼板を保護する目的で使用する塗料は、大きく分けで3種類あります。
シリコン塗料:耐用年数7〜15年
他の塗料と比較して手頃な価格かつ耐用年数も長いです。
アクリル樹脂とシリコン樹脂を混ぜたものであり、塗膜の粘着力が強いという特徴を持ちます。
耐熱性・防カビ性にも優れていますが、塗膜が劣化すると錆びが発生する可能性があります。
フッ素塗料:耐用年数15〜20年
耐候性が高く太陽光や温度変化による劣化が起こりにくい塗料です。
光沢感がある美しい仕上がりになるだけでなく、塗装後時間が経過しても錆びや色褪せが起こりにくいです。
フッ素塗料であれば、長期的に美しい外観を維持できます。
無機塗料:耐用年数15〜25年
セラミックやケイ素などの無機物を主成分とした塗料であり、紫外線に強く耐久性が半永久的に持続するという特徴を持ちます。
さらに汚れが付着しにくいことから、雨水のみで汚れが洗い流されるでしょう。
優れた塗料ですが、他の塗料と比較して施工費用がかかります。
ガルバリウム鋼板の塗装工事にかかる費用の相場
ガルバリウム鋼板の塗装にかかる費用の相場は約70〜100万円です。
建物の状態や選択する塗料により異なるため、直接業者に確認すると良いでしょう。
塗料別の費用相場は、以下を参考にしてください。
塗料 | 1㎡の費用相場 |
---|---|
シリコン塗料 | 2,200円〜2,700円 |
フッ素塗料 | 3,500円〜4,300円 |
無機塗料 | 3,500円〜5,500円 |
また、ガルバリウム鋼板の屋根塗装には、次の費用もかかります。
施工内容 | 1㎡の費用相場 |
---|---|
足場の設置 | 690円〜860円 |
高圧洗浄 | 200円〜300円 |
ケレン作業 | 530円〜830円 |
自分で費用相場を計算したいという方は、屋根の面積を参考にして算出してみてください。
ガルバリウム鋼板の塗装の流れ
ガルバリウム鋼板の塗装は、次のような流れで進みます。
1.ケレン作業
最初に、ディスクサンダーやサンドペーパーなどを用いて、屋根表面の汚れ・既存の塗膜・サビをきれいに落とします。
この工程は手間がかかりますが、新しい塗装の粘着性を高めるために必要です。
2.下塗り
次に、塗装を定着させるための下塗りをします。
下塗り材には密着性が高い「プライマー」が使用されるケースが多いです。下塗りは塗膜の仕上がりに大きな影響を与えます。
3.中塗り
下塗りが完全に乾いた後は、中塗りをして仕上がりの色ムラを抑えます。
中塗りは塗装の仕上がりのみでなく耐久性も向上させます。
4.上塗り
最後に上塗りをして仕上げます。
中塗りと上塗りには同じ塗料が使用されるケースが多いです。同じ塗料の活用により、工事の手間や費用を抑える効果が期待できます。
下塗り・中塗り・上塗りの3ステップを行うことで、美しい仕上がりになります。
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるためのメンテナンス
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるためには、定期的な塗装の他に次のようなメンテナンスを心がけましょう。
傷ができた時はすぐに補修する
ガルバリウム鋼板は耐久性が高い建材ですが、強風による飛来物などのせいで傷が入ってしまう可能性があります。
軽微な傷は放置してしまいがちですが、傷から塗膜が剥がれ錆が広がるリスクが高くなるのです。
ガルバリウム鋼板の傷は小さいものであれば簡単に補修可能です。台風や強風に見舞われた時には、プロに点検を依頼すると良いでしょう。
シーリングや棟板金を定期的に点検する
ガルバリウム合板が交わる屋根の頂点部分には、棟板金と呼ばれる金属製の建材が被せられます。
棟板金は屋根の中でも最も紫外線や雨風の影響を受けやすく、経年劣化により釘の緩み・浮きが起こる可能性が考えられるのです。
棟板金の問題は雨漏りに直結する恐れがあるため、最低でも10年に1度はプロにチェックしてもらうべきでしょう。
ガルバリウム鋼板の正しいお手入れ方法
ガルバリウム鋼板を正しくお手入れすれば、長く美しい外観を保てます。
ガルバリウム鋼板の正しいお手入れ
ガルバリウム鋼板のお手入れは定期的に水をかけるだけで十分です。
特に酸性雨が降る地域・海沿いに暮らしている方は、1ヶ月〜3ヶ月おきにたっぷりの水をかけましょう。
ホースを使い、車を洗うような感覚で水を流すと良いです。
ただし、屋根の上に登ることは非常に危険であり、手が届く範囲で行うようにしてください。
ガルバリウム鋼板をお手入れする時の注意点
水洗いとはいえ、ガルバリウム鋼板を高圧洗浄機で洗ってはいけません。
高圧洗浄機による洗浄のせいで、ガルバリウム鋼板が凹む・傷つく可能性があるのです。
ガルバリウム鋼板の寿命を短くするリスクが高いため、高圧洗浄機は使わないようにしましょう。
劣化がひどい・耐用年数が過ぎたガルバリウム鋼板の工事方法
ガルバリウム鋼板は30年〜40年もの耐用年数がありますが、劣化が激しい時・耐用年数を経過した時には、屋根自体をリフォームしなければいけません。
この章では、ガルバリウム鋼板の屋根のリフォームについてまとめました。
屋根カバー工法
屋根カバー工法では、既存の屋根を撤去せずに上から新しい屋根材を乗せていきます。
既存の屋根の撤去・処分費用がかからない・工事日数が短いというメリットがありますが、屋根の内部は一新できません。
また、選択可能な新しい屋根材は重量が軽いもののみになります。
葺き替え工法
葺き替え工法では、既存の屋根を完全に撤去して新しい屋根を設置します。
工事費用や工事期間はかかりますが、既存の屋根内部の問題も全て解決できると考えてください。
すでに深刻な雨漏りや重篤な損傷がある場合は、葺き替え工法を選ぶべきです。
ガルバリウム鋼板にDIYで塗装できる?
ガルバリウム鋼板の塗装には高い専門技術が必要です。
ガルバリウム鋼板は塗料が付着しにくい特性を持つことから、プロでも難しい作業だと言われており、適切な下地処理・下塗り・中塗り・上塗りの工程が欠かせません。
DIYで塗装をして失敗してしまった後に業者に依頼すると、より高額な費用が必要になるでしょう。
また、屋根の塗装は高所作業であり、落下の危険性を考えて素人が行うべきではありません。
ガルバリウム鋼板の塗装をDIYすることは難しいと考えてください。
ガルバリウム鋼板の塗装コストを抑えるコツ
ガルバリウム鋼板の屋根の塗装コストを抑えたいと考えている方は、次のポイントを押さえておきましょう。
定期的に屋根の状態をチェックする
屋根の状態を定期的にチェックし、劣化や損傷が進行しないようにします。
ただし、自分で屋根に登ることは非常に危険です。
地上または近隣の建物や丘などから屋根をチェックすると良いでしょう。
また、プロに屋根の定期点検を依頼すると、より正しく屋根の状態を把握できます。
劣化や損傷にいち早く気付き必要な処置をすれば、塗装を含むメンテナンス費用を抑えられるでしょう。
ランニングコストを抑える
ガルバリウム鋼板の塗装を考える時には、工事費用のみでなくランニングコストも計算するべきです。
手頃な価格の塗料は耐用年数が短いケースが多く、その分塗装の塗り直し頻度が高くなってしまうでしょう。
屋根の塗装には足場の設置など塗料以外のコストがかかるため、塗装の頻度を少なくして長期的なコストダウンを狙うことをおすすめします。
また、遮熱性が高い塗料を選択すると、住宅内部が外気温の影響を受けにくくなり、夏のエアコンの消費電力を抑える効果が期待できます。
まとめ
ガルバリウム鋼板はメンテナンスの手間が少ない建材として知られていますが、塗装をしてより耐久性を高めるべきです。
塗料を選ぶ際には、工事費のみでなく今後のランニングコストも考える必要があるでしょう。
正しいメンテナンスとケアを続けることで、長く美しい外観を維持してください。