屋根塗装は建物の屋根を雨風や紫外線から守るために実施します。
しかし、屋根の塗装は日々劣化するものであり、定期的なメンテナンスが欠かせません。
屋根塗装の寿命を知っておけば、屋根の適切なメンテナンス計画が立てられるでしょう。
今回の記事では、屋根塗装の寿命や費用相場についてまとめました。
マイホームのメンテナンス計画を立てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
屋根塗装とは?
屋根塗装は、屋根材に専用塗料を塗り屋根の劣化を防ぐために行います。
屋根の美観も維持可能であり、屋根塗装をすることで長期間住宅を美しく・強くできると考えてください。
最近では、遮熱性を向上させるなど多機能な屋根塗料を採用する住宅も増えました。
しかし、屋根は常に雨風や紫外線にさらされており、屋根塗装も定期的なメンテナンスが必要です。
屋根塗装には足場の設置を含む一定のコストがかかることから、適切なメンテナンス計画を立てるべきでしょう。
屋根塗装の耐用年数
屋根塗装の耐用年数は塗料の種類により異なります。
平均して10年〜15年が屋根塗装の寿命だと言われていますが、塗料次第で平均の半分・倍の耐用年数になるのです。
高額な塗料は耐用年数が長くなるため、一時的ではなく長期的なコストパフォーマンスを考えて塗料選びをすることが大切です。
アクリル塗料:5年〜7年
アクリル塗料は最も手頃な価格の塗料として知られています。
少し前までは外壁に塗る塗料として人気でしたが、年数が短いことから、現在では屋根や外壁にアクリル塗料を選ぶケースは稀だと言えます。
アクリル塗料を屋根塗装に使ってしまうと、頻繁に塗り直しをしなければいけません。
シリコン塗料:10年〜13年
シリコン塗料は現在人気が高い塗料の一つであり、価格と耐用年数のバランスが取れています。
さらに、汚れがつきにくい・色落ちしにくい・カビの発生を抑えられるなどの特徴を持つという点も人気の秘密です。
メリットが多いシリコン塗料ですが、塗り替えの際に塗料が付着しにくいというデメリットも抱えています。
確かな技術を持つ業者を選択すれば、問題なくメンテナンスができるでしょう。
フッ素塗料:15年〜20年
シリコン塗料と並んで人気を集めているフッ素塗料は、汚れにくい・防カビ・防水・耐熱性・不燃性などの特徴を備えています。
他の塗料よりも単価は上がるものの、長い耐用年数と高い機能性がメリットだと言えるでしょう。
ただし、1缶で塗装可能な面積が狭いことから、場合によっては無機塗料より高額な費用が必要になります。
無機塗料:20年〜25年
最も耐用年数が長い塗料が無機塗料です。
汚れにくさと不燃性を備えており、有機物を含まないことから紫外線により分解される心配は要りません。
そのため、長期的に美しい状態が維持できるのです。
メンテナンス頻度も少ないため、メンテナンスコストを抑えたいと考えている方から人気を集めています。
屋根自体の寿命とは
屋根塗装の寿命とは別に、屋根自体にも寿命があります。
屋根塗装のメンテナンスを考える時には、屋根のメンテナンス時期も含めた計画を立てなければいけません。
この章では、一般的な屋根の特徴と耐用年数を説明します。
スレート屋根:20年〜25年
スレート屋根は色や形状が豊富であり、現在主流の屋根材として人気です。
スレート屋根の耐用年数は20年〜25年、さらに屋根塗装は5年〜10年おきに実施する必要があります。
劣化が激しいスレート屋根は葺き替えしなければいけません。
セメント瓦:30年〜40年
セメントとモルタルで作った瓦を使う屋根であり、現在の日本で最も一般的な瓦屋根です。
スレート屋根よりも寿命が長く、 正しいメンテナンスにより30年〜40年の間使用できます。
瓦自体に防水性はないことから、5年〜10年おきの屋根塗装が必要です。
日本瓦:50年〜100年
昔ながらの日本瓦は長期間使える屋根材として知られています。
塗装などのメンテナンスも必要なく、しっかりと住宅を守ります。
ただし、定期的に漆喰部分を補修しなければ、雨漏りが起こる可能性があります。
屋根塗装の寿命がきている時の症状
屋根塗装が劣化している際には、次のようなサインが現れます。
自宅の屋根の劣化を確認した場合は、すぐに屋根塗装を検討しましょう。
屋根の色があせる
屋根の塗料が劣化すると、屋根材の表面の色が退色します。
色あせは見た目のみの問題ではなく、塗膜性能が低下しているサインです。
緊急性が高い状態ではありませんが、屋根塗装の計画を立てるべきでしょう。
屋根に苔やカビが発生している
屋根に苔・カビなどが発生している状態を、長期間放置してはいけません。
屋根材が水分を吸っている証だと言えるため、劣化が進行中だと考えるべきです。
防水性能が衰えた屋根は、雨水の侵入を抑えられない・住宅内にもカビが発生するリスクがあります。
屋根にひび割れがある
防水性能が下がった屋根は、雨水の侵入で膨張する・紫外線で雨水が蒸発して収縮する状態を繰り返し、屋根材がストレスを受けて割れる可能性があります。
特に寒さのせいで屋根材にひびが入る問題を「凍害」と呼び、寒冷地で起こりやすいトラブルです。
屋根が反っている
屋根のひび割れと同じように、屋根材が膨張と収縮を繰り返すことで、屋根が反ってしまうケースもあります。
屋根の反りはスレート屋根に多く、雨漏りの原因になります。
反ってしまった屋根は修理できないため、補修メンテナンスが必要です。
自分で屋根の劣化状態を確認する方法
家族が屋根の劣化状態を確認することは簡単ではありません。
プロに点検を依頼する前に屋根の劣化状態を知りたいという方は、次の方法を試してみてください。
無理に屋根に登って、怪我や事故が起こらないようにしましょう。
家の外から双眼鏡などを使って観察する
住宅の屋根が見える高台などに登り、双眼鏡を使って屋根の状態を確認します。
立地によっては上からの確認が難しいケースもありますが、何らかの異常を見つけられる可能性が考えられるでしょう。
住宅の中から下屋根の状態を確認する
住宅の構造に次第では、2階部分の窓から1階の下屋根の状態が確認します。
屋根の劣化は全体で同じように進むケースが多いため、下屋根の劣化具合でメンテナンスの必要性を把握できるでしょう。
屋根塗装の劣化を放置するリスク
屋根塗装の劣化を放置すると、塗料が屋根材を保護する能力がなくなり、屋根塗装のみでなく屋根材にもダメージが加わってしまいます。
結果的に、雨漏りが発生して住宅全体の寿命が短くなる可能性があるのです。
特に雨漏りが進行すると、カビやシロアリの発生により住宅の強度・家族の健康に悪い影響が出るリスクも高まります。
屋根塗装の劣化を放置せず、適切なメンテナンスを実施してください。
屋根塗装にかかる費用の相場
屋根塗装にかかる費用の相場は選択する塗料により異なります。
一般的な2階建のスレート屋根の住宅では、屋根塗装に40万円〜60万円の費用が必要だと考えましょう。
この費用の中には、塗料費・工事費・足場代が含まれています。
塗料の種類と費用・耐用年数については、以下の表を参考にしてください。
塗料の種類 | 費用 | 耐用年数 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 1,200円/㎡〜2,000/㎡ | 5年〜7年 |
シリコン塗料 | 1,800/㎡〜3,500円/㎡ | 10年〜13年 |
フッ素塗料 | 4,000円/㎡〜5,000円/㎡ | 15年〜20年 |
無機塗料 | 4,500円/㎡〜5,500円/㎡ | 20年〜25年 |
屋根塗装の塗料選びを成功させるためのポイント
屋根塗装の塗料を選ぶ時には、一時的なコストのみでなく長期的なメンテナンスコストを考える必要があります。
例えば、手頃な価格で塗装ができるアクリル塗料を選んだ場合、5年おきに塗装工事が必要になる可能性が高いです。
アクリル塗料の4倍程度もの耐用年数を持つ無機塗料なら、屋根の寿命まで塗り直しをせずに済む可能性があります。
屋根の塗装には足場の設置費も必要になることから、塗料の価格とメンテナンス頻度のバランスを考えて塗料選びをしましょう。
自分では決められないという方は、プロに相談しておすすめの塗料についてアドバイスを受けるべきです。
屋根塗装をする時に知っておくべきポイント
屋根塗装をする際には、以下のポイントを知っておきましょう。
屋根塗装のタイミングは住宅ごとに異なる
屋根塗装の塗料別の耐用年数をお伝えしましたが、屋根塗装が必要になるタイミングは住宅により異なります。
立地や天候の影響を受けやすいため、必ずしもスケジュール通りにメンテナンスを進められるとは限らないのです。
耐用年数内だからという理由で、劣化した状態の屋根塗装を放置しないでください。
施工時期により耐用年数に影響が出ることもある
施工した季節により耐用年数に差が出ることもあります。
本来、屋根の塗装はどの季節でも実施可能ですが、定められた乾燥時間を守れなかった場合は、仕上がりの質が落ちる可能性が考えられるのです。
ただし、雨が多い時期でも、仕様基準を遵守すれば問題は起こりません。
施工方法を誤ると耐用年数が短くなる可能性がある
塗料にはそれぞれ仕様基準があり、基準通りに施工しなければいけません。
例えば、塗る面積に対して使用するべき塗料の量・希釈の方法・工程の順番・乾燥時間などが守られなければ、施工不良により耐用年数が短くなるリスクがあります。
優良な塗装工事業者なら、塗料の仕様基準を十分理解した上で屋根塗装を実施します。
屋根塗装がおすすめの季節とは
屋根塗装がおすすめの季節が知りたいという方は、こちらを参考にしてください。
季節 | 詳細 |
---|---|
春 | 気温が安定しており屋根塗装に適した時期だか、塗装会社の繁忙期でもある |
梅雨 | 雨が多く屋根塗装に適していない時期 |
夏 | 晴天が多く屋根塗装に適しているものの、台風や猛暑によるリスクがある |
秋 | 春同様に気温が安定した屋根塗装に適している季節だが、台風により予定が変更される可能性がある |
冬 | 雪が積もる地域でなければ晴天が多く屋根塗装に適した時期 |
優良な屋根塗装業者を選ぶために知っておくべきこと
屋根の塗装業者を選ぶためには、次のポイントを意識しましょう。
信頼できる業者を見つければ、安心して屋根塗装工事を任せられます。
相見積もりをとって比較検討する
複数の業者を比較検討するためには、相見積もりをとることが大切です。
同じような工事内容・費用の見積もりでも、工期の遅延にかかった費用や車両の駐車料金が別途請求される可能性があるのです。
価格のみでなく、分かりやすい見積もりを提示する業者を選ぶべきです。
保証内容をチェックする
屋根の塗装工事が完了した後に、何らかの不具合が見つかる可能性があります。
屋根の塗装を依頼する際には、しっかりとした保証プランが用意されている業者を選びましょう。
一般的には、5年〜10年程度の保証期間が用意されているケースが多いようです。
口コミや実績を確認する
対象の業者のサイトの施工実績を確認し、依頼する塗料や工事内容の経験が多い業者を選びます。
同時に口コミもチェックすれば、実際の利用者の声を知ることができるでしょう。
また、地元の業者なら、地域の気候を理解した計画・提案をしてくれるため、地元の屋根塗装業者がいる場合には積極的に活用してください。
一般的な屋根塗装の流れ
この章では、屋根塗装の流れを分かりやすくまとめました。
工事依頼後の流れを知っておきましょう。
STEP1.屋根塗装業者を選び決定する
相見積もりを取りながら業者を比較検討して、塗装工事を依頼する業者を絞り込みます。
この際、口約束ではなく書面で見積もりや工事内容を受け取るようにしてください。
時間に余裕がある方は、じっくり屋根塗装業者を選定するべきです。
STEP2.契約書を締結する
見積書の内容を確認し必要な説明を受けた上で契約書を締結します。
トラブルを避けるために、事前に契約書の内容を十分確認してください。
契約締結後にキャンセルをすると、キャンセル料が発生する可能性があります。
STEP3.工事内容の打ち合わせとスケジュールの決定
契約を締結した後に、業者と打ち合わせをしながら細かな工事内容とスケジュールを決めていきます。
この際、疑問に思った点は全てクリアにしてください。
色見本やカラーシミュレーションを参考にして、自宅にぴったりの塗料は何か考えましょう。
STEP4.工事開始
スケジュール通りに塗装工事を開始します。
ただし、天候によってスケジュールが変更される可能性もあるでしょう。
基本的には屋根塗装工事の間は、住宅内で通常通りの生活を送れます。
屋根塗装に必要な期間の目安は、5日〜14日程度です。
STEP5.工事完了と支払い
塗装工事が完了した後は、最終確認をして工事が完了します。
保証が用意されている業者を選択した場合は、このタイミングで保証書を受け取ってください。
屋根自体の耐用年数が経過した場合に必要な工事と費用相場
屋根自体の耐用年数が経過し修繕が必要になった場合には、葺き替え工法またはカバー工法を選択します。
この章では、屋根を補修する方法についてまとめました。
葺き替え工法:300万円以上
葺き替え工法は既存の屋根を解体・撤去して、新しい屋根を設置する工事であり、屋根材とともに野地板や防水紙など屋根の下地も新しくできます。
屋根を全て取り替える工事になるため、屋根部分にある問題を確実に解決できると言えるでしょう。
また、屋根を変えることで、住宅の外観イメージもチェンジできます。
カバー工法:150万円〜200万円程度
カバー工法では、既存の屋根を残したまま上から新しい屋根を載せて覆います。
軽量な金属屋根が選択されるケースが多く、廃材が発生しない・後期が短い・工事中も普段通りの生活ができるなどのメリットがあります。
ただし、カバー工法は瓦屋根の住宅には施工できません。
屋根塗装をお得に実施するコツ
屋根塗装にかかる必要を抑えたいと考えている方は、次の方法を試してみてください。
場合によっては、屋根塗装費を少なくできる可能性があります。
外壁塗装と同時に屋根塗装を実施する
屋根と同じように、外壁にも定期的な塗装メンテナンスが必要です。
屋根と外壁の塗装工事を同時に行えば、足場の設置回数を一度で済ませられるのです。
足場代は住宅の大きさにより異なりますが、塗装費用の25%〜30%を占めるため、同時の工事で大幅な節約効果が期待できるでしょう。
屋根塗装と外壁塗装のタイミングを合わせられるメンテナンススケジュールを組んでみてください。
屋根塗装業者の繁忙期を避ける
屋根の工事業者の繁忙期を把握しておくと、繁忙期よりも手頃な価格の見積もりを得られる可能性があります。
一般的には、屋根塗装は春・秋に実施するべきだと考えられており、その他の季節を選択すればコストダウンが期待できるでしょう。
ただし、屋根の劣化が激しく工事を急ぐ場合は、工事開始を遅らせてはいけません。
まとめ
屋根塗装の寿命は選択する塗料により異なります。
高額な塗料ほど耐用年数も長くなることから、一時的な工事費ではなく長期的なメンテナンスコストを考えて塗料を選ぶ必要があるのです。
また、この記事を参考に安心して工事を任せられる業者を選び、工事完了後のトラブルを予防しましょう。
適切なメンテナンス計画を立てれば、マイホームの寿命にも良い影響を与えられます。