屋根工事には主に「塗装」と「葺き替え」という2つの方法があります。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、家の状態や予算、目的によって選択が異なるため、事前に知っておくことが大切です。
この記事では、屋根塗装と屋根葺き替えの違いや各々のメリット・デメリット、そして費用相場について詳しく解説していきます。
Contents
屋根塗装のメリットとデメリット
屋根塗装のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
屋根塗装のメリット
コストが比較的安い
屋根塗装は、屋根葺き替えに比べて費用を大幅に抑えることができる点が魅力です。
葺き替え工事では屋根材をすべて取り替える必要があり、材料費や工事費が高額になることが一般的です。
一方、塗装は既存の屋根材をそのまま利用して、表面を再生するだけなので、比較的低コストで済みます。
また、必要な工事範囲が限定されるため、全体の工事費用が安くなります。
工事期間が短い
屋根塗装は屋根材の取り替えを伴わないため、工事期間が非常に短くなります。
一般的には1日から数日程度で作業が完了するため、急な修理が必要な場合でも対応しやすいです。
また、工事の期間が短い分、住んでいる場所での不便も最小限に抑えることができます。
工事の計画を立てやすく、忙しい生活の中でも効率的に行えるのが大きなメリットです。
外観が美しくなる
塗装を施すことで、屋根の色が鮮やかに復活し、家全体の印象が新しく見えるため、外観の美しさが向上します。
特に外観を気にする方にとっては、屋根の塗装は見た目の改善に効果的です。
色あせていた屋根が鮮やかになることで、家の全体的な魅力が増し、周囲からの印象も良くなるでしょう。
防水効果が向上する
塗装を施すことで、防水効果が向上し、雨水や湿気から屋根を守ることができます。
特に雨が多い地域や湿度が高い環境では、塗装によって屋根材の劣化を防ぎ、より長持ちさせることができるでしょう。
この効果により、屋根の寿命が延び、長期的には修理や交換の頻度を減らすことができるため、結果的に費用を抑えることにもつながります。
屋根塗装のデメリット
塗装の耐用年数が限られている
屋根塗装は、一般的に5年から10年程度の耐用年数です。
塗装が剥がれたり色褪せたりすることで、再度塗装をし直さなければならないため、一定のメンテナンスが必要です。
この点、屋根葺き替え工事は20年以上持つことがあり、塗装と比べると耐久性で劣るというデメリットがあります。
長期間の効果を求める場合には、塗装だけでは十分ではないかもしれません。
劣化が進行している場合は効果が薄い
屋根材がすでにかなり劣化している場合、塗装だけでは根本的な修理になりません。
例えば、屋根材がひび割れたり、腐食が進んでいる場合には、塗装をしてもその効果は一時的です。
このような場合、塗装よりも屋根の葺き替えや修理が必要となります。
そのため、塗装が効果的に機能するためには、屋根材の状態を確認することが重要です。
メンテナンスが必要
塗装をした後も、定期的なメンテナンスが必要です。
特に、屋根は紫外線や雨風にさらされるため、塗装が劣化しやすい場所です。定期的に塗装をし直さなければならないため、長期的にはコストがかかる可能性もあります。
また、特に屋根の周囲や高所の作業は安全面にも配慮が必要ですので、専門業者に依頼する場合が多くなる点には注意が必要です。
屋根葺き替えのメリットとデメリット
次に、屋根葺き替えのメリットとデメリットについて見ていきます。
屋根葺き替えのメリット
屋根葺き替えのメリットは以下のものがあります。
耐久性が大幅に向上する
屋根葺き替えの最大のメリットは、耐久性が大幅に向上する点です。
古くなった屋根材を取り替えることで、全体の屋根が新しくなり、耐久性が大幅に改善されます。
新しい屋根材は、一般的に20年以上の長寿命を持ちます。
そのため、長期間に渡って安心して住むことができ、短期的な修理やメンテナンスの必要がなくなるため、長期的なコストパフォーマンスが優れていると言えるでしょう。
断熱・防音効果が向上する
新しい屋根材を選ぶ際に、断熱性や防音性に優れた素材を選ぶことができます。
断熱材の効果が高ければ、夏は屋内が涼しく、冬は暖かく保たれるため、室内の快適さが大きく向上します。
また、防音効果の高い屋根材を使用することで、外部の騒音や天候の影響(雨音や風音など)を軽減でき、家の中での生活がさらに快適になります。
施工後の安心感が高い
屋根葺き替えを行うと、すべての屋根材が新しくなるため、しばらくの間は屋根の修理やメンテナンスの必要がありません。
これにより、屋根に対する不安を感じることなく、長期間安心して住むことができます。
特に屋根材が劣化している場合には、屋根葺き替えによって、今後の修理や劣化の心配が軽減されるでしょう。
屋根のデザインやカラーの選択肢が広がる
屋根葺き替えの際には、色、デザイン、素材などを自由に選ぶことができ、家の外観を大きく変えることができます。
これにより、家のイメージを一新したり、リフォームの一環として屋根のデザインを変更することが可能です。
自分の好みに合わせて屋根のスタイルを選ぶことができるため、外観の美しさや個性を反映させることができます。
屋根葺き替えのデメリット
屋根葺き替えのデメリットは以下のものがあります。
コストが高い
屋根葺き替えの最も大きなデメリットは、工事費用が高額であることです。
屋根材の取り外し、新しい屋根材の設置、そしてそのための作業にかかる費用が高くつきます。
一般的には、数十万円から百万円以上の費用がかかることが多いため、予算に余裕がない場合や短期間で費用を抑えたい場合には負担が大きいと感じることがあるでしょう。
工期が長い
屋根葺き替えは大掛かりな工事であるため、工期が長くなることがあります。
屋根材の取り外しや古い屋根材の処理、新しい屋根材の取り付け、そして必要な補修作業に時間がかかります。
通常、数日から数週間の工期が必要であり、家の生活空間にも影響を与えるかもしれません。
このため、工期が長期にわたることを事前に把握しておくことが重要です。
環境に負荷がかかる
屋根葺き替えを行う際には、古い屋根材を撤去し、新しい材料を使用するため、環境への負荷が高くなる場合があります。
廃材の処理が必要となり、これが環境に対する影響を与える可能性があるため、リサイクルや適切な廃棄方法を選ぶことが大切です。
また、製造過程でのエネルギー消費や素材選びが環境への負担を増加させる場合もあるため、地球環境を配慮した選択を行うことが重要です。
屋根塗装をするタイミング
屋根は年々劣化していくため、適切なタイミングで塗装を行うことが重要です。
以下のようなサインが見られたら、早めにメンテナンスを検討しましょう。
色褪せが進んでいる
屋根の色が以前よりも薄くなってきた、くすんで見えると感じたら、塗膜の劣化が進行している証拠です。
雨風や気温変化による塗膜の摩耗により発生します。
特に、日当たりが良い南側の屋根は紫外線の影響を受けやすく、色褪せが早く進む傾向があります。
コケ・カビが発生している
屋根に緑色のコケや黒いカビが生えている場合、見た目が悪くなるだけでなく、塗膜の防水性が低下し、水分を吸収しやすくなっている可能性があります。
特に、北側や日陰の部分は湿気がこもりやすく、コケやカビが発生しやすくなるので定期的な点検が必要です。
ひび割れや塗膜の剥がれが生じている
屋根表面にひび割れや塗膜の剥がれが見られる場合、塗膜が完全に機能していない状態です。
このまま放置すると、雨水が直接屋根材に浸透し、劣化が加速する可能性があります。
塗膜の剥がれが目立つ場合は、塗装だけではなく補修が必要になることもあります。
ひび割れの状態が軽度であれば、シーリング処理や補修を施した後に塗装をすることで屋根の寿命を延ばせるでしょう。
雨漏りの前兆が見られる
屋根の劣化が進むと、防水性能が低下し、最終的には雨漏りにつながります。
以下のような症状が見られた場合は、屋根の塗装が剥がれ、防水機能が低下している可能性が高いです。
雨漏りを放置すると建物全体の寿命が縮まったり、修理費用が高額になる恐れがあるため早めの対処が必要です。
前回の塗装から10年経過している
屋根の塗装に使用される塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ耐用年数が異なります。
一般的なシリコン塗料の場合、約10年が再塗装の目安となります。
10年以上経過すると、塗膜が劣化し、防水性能や紫外線保護機能が低下している可能性が高いため、再塗装を検討する必要があります。
屋根葺き替えをするタイミング
屋根葺き替えを検討すべきタイミングは以下のような場合です。
屋根が破損している
瓦やスレート、金属屋根などの屋根材にひび割れや欠けが発生している場合、屋根の防水機能が低下している可能性があります。
破損は長年の紫外線や風雨の影響や、自然災害などで発生する場合が多いです。
破損したまま放置すると、雨漏りの原因になったり、屋根下地が腐食し、屋根全体が弱くなる恐れがあります。
屋根が腐食・劣化している
屋根材の下には「野地板」と呼ばれる屋根の土台となる板があり、これが劣化すると、屋根の強度が大幅に低下してしまうため、補修が必要です。
屋根が腐食する原因は、「雨漏り」や「結露による劣化」などが考えられます。
耐用年数を超えている
屋根材にはそれぞれ寿命があり、耐用年数を超えた屋根は、劣化が進んでいる可能性が高いため、葺き替えを検討する必要があります。
一般的な屋根材の種類ごとの耐用年数の目安は以下のとおりです。
屋根材 | 耐用年数 |
---|---|
スレート屋根 | 20年〜30年 |
ガルバリウム鋼板 | 25年〜40年 |
日本瓦 | 50年~100年 |
屋根塗装と屋根葺き替えの費用相場
屋根塗装と屋根葺き替えの費用相場について解説します。
屋根塗装の費用相場
屋根塗装の費用は、屋根の面積や使用する塗料の種類によって異なりますが、一般的には以下のような相場です。
- 1㎡あたりの費用: 2,000円~4,000円
- 家全体の費用: 約15万円~約80万円
屋根材の状態や塗料の種類によっても費用は異なりますが、比較的安価で済むため、予算を抑えたい場合に選ばれます。
よく使われる塗装の種類ごとの費用目安は以下の通りです。
- ウレタン塗料:2,000円/㎡~3,000円/㎡
- シリコン塗料:2,500円/㎡~4,000円/㎡
- フッ素塗料:3,500円/㎡~5,500円/㎡
上記に加え、足場の設置費用などがかかってきます。
屋根葺き替えの費用相場
屋根葺き替えの費用は、使用する屋根材や屋根の形状、面積によって大きく異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 1㎡あたりの費用: 10,000円~15,000円
- 家全体の費用: 約70万円~約250万円
屋根葺き替えは高額な工事であるため、予算をしっかりと考慮した上で決定することが重要です。
より詳しく費用についてみていきましょう。
よく使われる屋根材1平方メートルごとの費用目安は以下の通りです。
- スレート屋根:5,000円~8,000円
- ガルバリウム鋼板:7,000円~9,000円
- 瓦屋根:8,000円~15,000円
一般的な戸建て80㎡~120㎡のため、葺き替え費用は100万円~180万円程度かかってきます。
これに加え屋根の状態によっては下地の補修や足場代などが発生します。
屋根塗装と葺き替えではどちらがいいのか
屋根のメンテナンス方法として「塗装」と「葺き替え」がありますが、どちらを選ぶべきかは 屋根の状態、耐久性、コスト などの要因によって変わります。
屋根の状態で選ぶ
屋根の劣化の程度によって、塗装で対応できるのか、葺き替えが必要なのかが変わります。
屋根が軽く色あせている程度であれば、塗装によって防水性を回復させることができます。また、コケの発生や小さなひび割れがある場合も、補修後の塗装で対応可能です。
しかし、雨漏りが発生している場合や、大きなひび割れが広範囲にある場合は、塗装では対処できません。
特に、屋根の下地(野地板)が腐食している場合は、屋根全体を交換する葺き替えが必要になります。
つまり屋根の状態が比較的良好なら塗装、劣化が進んでいるなら葺き替えを選ぶと良いでしょう。
耐久性で選ぶ
長期的な耐久性を考えた場合、屋根塗装は10年程度で再度メンテナンスが必要になります。
一方で、葺き替えを行えば素材によってことなりますが、一般的には30年以上と長期間にわたって耐久性を維持できることが多いです。
短期間の補修を繰り返すより、一度葺き替えてしまったほうが長い目で見て安心できるケースもあります。
「できるだけメンテナンスの手間を減らしたい」
「長期的に家の資産価値を維持したい」
と考える場合は、葺き替えの方が適しているでしょう。
コストで選ぶ
費用の面では、一回にかかる費用は屋根塗装よりも葺き替えの方が高額なことが多いです。
ただし、塗装は定期的に行う必要があり、数回の塗装を重ねるとトータルの費用は増えていきます。
「初期費用を抑えたいなら塗装」
「長期的なコストを考えるなら葺き替え」
といった選び方が良いでしょう。
屋根葺き替えをする前に検討したいポイント
屋根の葺き替えは、大規模な工事となるため、事前にしっかりと検討すべきポイントがいくつかあります。
ここでは、屋根葺き替えを決断する前にチェックすべき重要な要素について詳しく解説します。
本当に葺き替えが必要か他の選択肢と合わせて検討する
葺き替えは既存の屋根を撤去し、新しい屋根に交換する工事のため、費用が高額になる傾向にあります。
工事をできるだけ安く済ませたいという方にとっては負担になる場合もあるかもしれません。
屋根の状態によっては塗装のし直しのみで済んだり、重ね葺き(カバー工法)と呼ばれる既存の屋根の上に新しい屋根を重ねて施工する工法もあります。
重ね葺きは屋根下地の劣化が少なく、屋根自体の劣化が進んでいる場合に有効なリフォーム方法です。
これらの工法の方が安く済むことが多いので、屋根の状態に応じて検討してみてください。
どの屋根材にするかを検討する
屋根の葺き替えを検討する際に重要なのが、どの屋根材を選ぶかです。
屋根材によって耐久性、コスト、メンテナンスの手間が大きく異なります。
一般的にはスレート、日本瓦、ガルバリウム鋼板の3種類が使われることが多いです。
スレート
セメントを主成分とする薄い板状の屋根材で、多くの住宅で採用されている屋根剤です。軽量で扱いやすく、コストパフォーマンスにも優れているのが特徴です。
その分耐久性はやや低く、20~30年で葺き替えが必要なケースがあります。
日本瓦
日本瓦は、粘土を焼き固めた伝統的な屋根材で、非常に耐久性が高く、メンテナンス頻度が少ないのが特徴です。
その分施工費用が高めで、瓦も重さがあるのでしっかりとした耐震対策が必要です。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛を合金化した金属屋根材で、軽量かつ耐久性が高く、メンテナンスも比較的楽なのが特徴です。
近年、モダンな住宅にも多く採用されています。
一方で断熱性・遮音性が他と比べるとやや低いので、暑さ・雨音対策が必要になります。
屋根の断熱・遮熱性能も考慮する
屋根の葺き替えを検討する際には、断熱性能や遮熱性能も重要なポイントになります。
屋根は建物の最上部に位置し、太陽の熱を直接受けるため、適切な断熱・遮熱対策を施さないと、夏は室温が上昇し、冬は暖房効率が低下する原因になるため慎重に検討しましょう。
断熱性能を高めるには、「屋根材自体の断熱性能を考慮する」「屋根の下に断熱材を敷く」
などが有効です。
一般的に使われる屋根材の中では日本瓦が断熱性能は高いと言われています。
スレートや金属屋根を使用する場合は、断熱材を追加することで、断熱性を向上させることが可能です。
施工業者の選定は慎重に行う
屋根の葺き替え工事は専門的な技術が求められる作業であり、施工業者の腕によって仕上がりや耐久性が大きく変わります。
施工業者を選ぶ際は、屋根工事の実績が豊富かどうかをホームページで確認したり、複数業者から見積もりを取って適正な見積もりを提示してくれるかどうかを確かめましょう。
また、屋根工事には長期的な耐久性が求められるため、施工後の保証があるかどうかも確認すると良いでしょう。
例えば「10年保証」「雨漏り保証」などを提供している業者であれば、施工後も安心です。
仙台周辺で屋根工事を行う業者を探している方は、ぜひ仙臺屋根屋にご相談ください。
仙臺屋根屋は屋根・外壁リフォーム工事のプロ集団で、20年以上の歴史の中で築いた高い技術力で安心・安全な施工を行います。
また、施工後も「10年保証」や「穴あき・変退色の保証」などの長期保証がついているので、施工後も安心です。
ぜひ一度お気軽にご相談ください。
まとめ
屋根工事は「塗装」と「葺き替え」の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
塗装は低コストで手軽ですが、耐久性は限られます。
葺き替えは費用がかかるものの、耐久性が高く安心です。
屋根の状態や予算に合わせて適切な方法を選び、定期的なメンテナンスで住まいを長持ちさせましょう。
仙台周辺で屋根工事を行う業者を探している方は、ぜひ仙臺屋根屋にご相談ください。