屋根塗装を検討している方の中には、「屋根塗装をしたいけど、できるだけ費用は抑えたい」と思っている方もいるでしょう。
そこで、ここでは屋根塗装で使える助成金・補助金について解説します。
申請できる条件や申請方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
助成金と補助金の違いとは?
助成金と補助金は、受け取る側からすればそこまで大きな違いはありません。
助成金と補助金の違いは、以下の通りです。
助成金 | ・国や地方自治体が提供している制度 ・要件を満たせば原則受給可能 |
---|---|
補助金 | ・国や地方自治体が提供している制度 ・総額の予算が決まっており、枠が埋まると締め切られる場合がある |
助成金と補助金は、どちらも返済しなくて問題ありません。
屋根塗装で使える助成金・補助金
屋根塗装で使える助成金・補助金は、「省エネリフォーム」と「一般的なリフォーム」で異なります。
省エネリフォームに該当する場合
東京都23区を中心に使用できるのが、「省エネリフォーム」や「ヒートアイランド現象防止」など、環境配慮に関する工事の助成金・補助金制度です。
自治体の多くが「遮熱塗料(高反射率塗料)」での屋根塗装を助成金・補助金の対象としています。
個人の方はもちろん、共同住宅の管理組合も申請できるのが特徴です。
一般的なリフォーム・塗装の場合
ほとんどの市区町村で、一般的なリフォーム工事に対し補助金を支給しています。
また、地方では、地元産業を促進するため「市内業者が施工すること(市内に事務所がある民間業者)」などの条件を定めている場合が多いのが特徴です。
申請条件の例
補助金の申請条件の例は、以下の通りです。
- 市区町村内の業者が工事を担当する
- 工事費が◯万円以上かかる
- 建築後◯年以上経過している
- 工事完了日から◯年以上居住する
- 初めてのリフォームである
- 住宅の所有者である
- 申請者が自治体内に居住している
- 税金の滞納をしていない
自治体により申請条件は異なるため、詳細を知りたい方は居住している自治体へ問い合わせてください。
屋根塗装の助成金・補助金給付例
次に屋根塗装の助成金・補助金の給付例を紹介します。
省エネリフォームの場合
例 | 助成金額 | 申請期限 |
---|---|---|
東京都品川区 「住宅改善工事助成事業」 | 最大20万円(工事費×10%) | 2024年4月1日~2025年2月12日 |
東京都葛飾区《個人住宅用》 「かつしかエコ助成金」 | 高反射率塗装で最大20万円(助成対象経費×25% or 1,000円/㎡の、いずれか小さい額) | 2024年4⽉1⽇~2025年3⽉31日 |
一般的なリフォーム・塗装の場合
例 | 助成金額 | 申請期限 |
---|---|---|
神奈川県葉山町 「葉山町住宅リフォーム資金補助制度」 | 一律5万円 | 2025年3月31日までに完了報告を提出できる工事が対象 |
埼玉県羽生市 「住宅改修(リフォーム)補助金交付制度」 | 最大10万円(工事費×5%、1,000円未満=切り捨て) | 2024年4月1日~予算に達し次第終了 |
屋根塗装の助成金・補助金を調べる方法
続いて、屋根塗装の助成金・補助金を調べる方法を解説します。
- 自治体のホームページで調べる
- 市区役所の窓口に直接問い合わせる
- 公式の検索サイトで調べる
- 塗装業者へ相談する
これから屋根塗装する方は、ぜひ参考にしてください。
自治体のホームページで調べる
自治体のホームページでは、「住宅リフォーム」「補助金」「助成制度」などのキーワードで検索すると、利用可能な制度を見つけることが可能です。
多くの自治体では、トップページの「暮らし」や「住まい」というカテゴリーの中に関連情報が掲載されています。
注意点は、情報の更新時期や制度の変更を見落とさないようにすることです。
特に年度替わりの時期は、制度内容が大きく変わることがあります。
また、補助金情報が複数の部署にまたがっている場合もあるため、環境課や建築課など、関連しそうな部署のページも確認するのがおすすめです。
市区役所の窓口に直接問い合わせる
市区役所の窓口に直接問い合わせると、最新かつ正確な情報を得られます。
担当者から詳細な説明を受けられ、自分の状況に合わせた具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
市区役所の窓口へ相談する際の準備と手順は、以下の通りです。
- 事前に相談内容をまとめる(工事の概要、予算、時期など)
- 建築課や住宅課など、関連部署を事前に確認
- 可能であれば予約を取る
- 物件の情報(住所、築年数、規模など)を用意
- メモを取る準備をする
窓口相談のメリットは、申請手続きの詳細や、知られていない小規模な助成制度についても情報を得られる点です。
また、申請書類の書き方についても直接指導を受けられます。
ただし、混雑時期を避けるなど、訪問のタイミングには考慮しましょう。
公式の検索サイトで調べる
国や都道府県が運営する公式ポータルサイトを活用することで、複数の制度を横断的に検索できます。
代表的なサイトは、以下の通りです。
- 国土交通省住宅支援サイト
- 経済産業省の省エネポータル
- 環境省の補助金検索システム
- 各都道府県の住宅支援ポータル
検索時には、地域や工事種別で絞り込み、申請期限や予算額も確認しましょう。
また、過去の採択実績も調べておくと参考になります。
塗装業者へ相談する
実績のある塗装業者は、補助金や助成金に関する豊富な知識と経験を持っているのが特徴です。
工事と併せて申請手続きまでサポートしてくれる業者も多くあります。
ただし、全てを業者任せにせず、自分でも制度の内容を理解する努力はしましょう。
一般的な屋根塗装の費用相場
塗り面積50㎡〜80㎡の一般的な2階建て住宅(足場込み)の場合、屋根塗装の費用相場は約40万円〜です。
ただし、約40万円〜というのは一般的な相場価格であることを把握しておきましょう。
実際の価格は、屋根の劣化状況や広さ、使用する塗料などにより変動します。
屋根塗装の費用内訳
ここからは、屋根塗装の費用内訳を見ていきましょう。
屋根塗装には、主に「塗装代」「人件費」「足場代」の3つの費用がかかります。
塗装代
一般的な2階建て住宅の場合、屋根塗装には2缶程度の塗料缶を使用します。
塗料の種類 | 1缶あたりの費用 | 耐久年数 |
---|---|---|
ウレタン | 5,000円〜15,000円 | 約3年〜約5年 |
シリコン | 15,000円〜40,000円 | 約5年〜約7年 |
フッ素 | 40,000円〜80,000円 | 約7年〜約10年 |
無機 | 50,000円〜120,000円 | 約10年〜約15年 |
塗料を選ぶ際は、耐久年数も考慮しましょう。
料金の安さだけで塗料を選ぶと、数年後に再び屋根塗装を依頼しなければいけません。
二度手間になるのを防ぐためにも、耐久年数と費用の両方を確かめるのがおすすめです。
人件費
屋根の塗装工事をする際は、「高圧洗浄代」「養生代」「諸経費」が必要です。
屋根の劣化状況や希望により、雨樋などの付帯部を塗装するかどうかが決定します。
工事内容 | 費用相場 | |
---|---|---|
高圧洗浄 | 100円/㎡〜300円/㎡ | |
養生 | 250円/㎡〜400円/㎡ | |
付帯塗装工事 | 雨樋 | 800円/㎡〜1,200円/㎡ |
軒天 | 800円/㎡〜1,200円/㎡ | |
破風板 | 650円/㎡〜800円/㎡ | |
縁切り | 500円/㎡ | |
諸経費 | 廃材処理費など | 1式10,000円〜30,000円 |
現場管理費 | 1式30,000円〜50,000円 |
屋根の劣化状況により費用は前後するため、あくまでも目安として理解しておきましょう。
足場代
足場代は、下記の2ステップで簡単に算出できます。
【ステップ1】足場面積を計算
まずは、どれくらいの足場が必要なのか、足場をかける面積を計算します。
足場をかける面積=(家の外周+8m)×高さ
【ステップ2】足場代を算出
次に、ステップ1で算出した足場をかける面積と飛散防止ネット・足場代の費用相場をもとに、最終的な足場代を算出します。
飛散防止ネット | 100円/㎡〜200円/㎡ |
---|---|
足場代 | 600円/㎡〜800円/㎡ |
最終的な足場代=足場をかける面積×(飛散防止ネット/㎡+足場代/㎡)
屋根塗装で助成金・補助金を使う際の注意点
続いて、屋根塗装で助成金・補助金を使う際の注意点を解説します。
- 上限に達すると早めに締め切られる
- 工事着工前に申請する
- 同じ助成金・補助金は二度目の申請ができない
- 遮熱塗装が向かない場合もある
屋根塗装で助成金・補助金を使いたい方は、この章の内容を把握しておきましょう。
上限に達すると早めに締め切られる
補助金制度は、多くの場合、年度ごとに定められた予算内で運営されています。
そのため、特に人気の高い補助金は、申請開始からわずか数週間で予算上限に達してしまうことも珍しくありません。
この場合、年度途中であっても受付が終了となり、次の機会を待つ必要があります。
そのため、補助金の利用を検討する際は、前年度のうちから情報収集を始め、申請開始日を確認しておくことが重要です。
また、予算の消化状況を定期的にチェックし、申請のタイミングを逃さないよう注意しましょう。
予算残額は自治体のホームページや窓口で確認できることが多く、残額が少なくなってきた場合は、速やかに申請の準備を進めることがおすすめです。
工事着工前に申請する
多くの補助金・助成金制度では、工事開始前の申請が必須条件となっています。
これは、適切な工事計画の確認や、予算管理の観点から設けられている要件です。
すでに工事を開始してしまうと、たとえ条件を満たしている工事内容であっても、補助金を受け取れなくなります。
そのため、業者との契約や工事の着手は、必ず交付決定後に行うようにしましょう。
申請から交付決定までには通常数週間かかるため、工事計画を立てる際には、この期間も考慮に入れる必要があります。
また、申請時には工事見積書や図面など、詳細な計画書類の提出が求められることが多いため、事前準備を怠らないことが重要です。
同じ助成金・補助金は二度目の申請ができない
ほとんどの補助金・助成金制度では、同一の住宅に対する重複申請や、一定期間内の再申請が制限されています。
これは、より多くの世帯に公平に機会を提供するための措置です。
例えば、住宅の省エネ改修に関する補助金は、一度利用すると同じ種類の工事では再度申請できないケースが多くあります。
そのため、部分的な工事を複数回に分けて行う場合は、どのタイミングで補助金を申請するのが最も効果的かを慎重に検討しなければいけません。
将来的な改修計画も考慮に入れ、最も補助金の効果が高くなるタイミングを選択するのが重要です。
遮熱塗装が向かない場合もある
遮熱塗装は省エネ効果が期待できる工法として注目されていますが、すべての住宅に適しているわけではありません。
例えば、屋根裏の換気が不十分な場合、熱が籠もってしまい、返って室内環境を悪化させる可能性があります。
また、地域の気候条件によっても効果に差が出るのが特徴です。
寒冷地では、冬季の太陽熱の取り込みが抑制されることで、暖房効率が低下する可能性もあります。
そのため、遮熱塗装の採用を検討する際は、住宅の構造や断熱性能、地域の気候特性などを総合的に評価することが重要です。
場合によっては、通常の塗装や他の省エネ対策を選択する方が望ましいケースもあるため、専門家に相談しながら判断しましょう。
屋根塗装の助成金・補助金の申請〜受け取りまでの流れ
ここからは、屋根塗装の助成金・補助金の申請〜受け取りまでの流れを解説します。
- 屋根塗装の見積もりを依頼する
- 自治体に申請する
- 審査結果が届く
- 屋根塗装の工事が開始する
- 作業実績報告書・請求書を自治体へ提出する
- 助成金・補助金を受け取る
1.屋根塗装の見積もりを依頼する
まずは、屋根塗装の見積もりを塗装業者へ依頼してください。
自治体により、助成金・補助金の申請期間があるため、できるだけ早めに見積もりを取りましょう。
2.自治体に申請する
申請書類を用意し、自治体へ申請書を提出します。
申請時に必要となる書類の例は、以下の通りです。
- 工事の見積書
- 建物の登記事項証明書
- 施工前の建物の写真
- 税金に未納がないことの証明書
- 委任状(外壁塗装事業者など第三者が申請する場合に必要)
申請書類に不備があると手続きが遅れ、助成金・補助金を受け取れなくなる可能性があります。
そのため、書類の不備はないようにしましょう。
3.審査結果が届く
一般的に、2週間〜1ヶ月前後で助成金・補助金の審査結果が届きます。
4.屋根塗装の工事が開始する
助成金・補助金の審査決定後に、屋根塗装の工事が始まります。
自治体によっては、工事中の写真が必要なことがあるため、事前に調べておきましょう。
5.作業実績報告書を自治体へ提出する
工事終了後に、施工前・施工後の写真などを添えた「作業実績報告書」を自治体に提出します。
作業実績報告書の提出期限は、完工から1〜2ヶ月以内としていることが多いです。
6.補助金交付請求書を提出し助成金・補助金を受け取る
無事に書類審査が通過すると「交付確定通知書」が届きます。
その後、「補助金交付請求書」を自治体に提出すると、2週間〜1ヶ月程度で助成金・補助金が振り込まれます。
助成金・補助金を使わずに塗装費用を抑える方法
最後に、助成金・補助金を使わずに塗装費用を抑える方法もお伝えします。
- 火災保険を適用する
- 自社施工している業者を選ぶ
- 複数の業者に見積もりを取る
- 業者の閑散期を狙って依頼する
- 外壁と屋根の塗装を同時に行う
助成金・補助金の申請条件を満たしていない場合は、この章の内容を参考にしてください。
火災保険を適用する
屋根の劣化が台風や豪雨、雪害などの「自然災害による損害」だと認められると、火災保険を使って屋根塗装できるかもしれません。
保険を適用できる場合、修繕費用の一部または全額が保険金として支払われる可能性があります。
ただし、経年劣化や自然消耗による損傷は補償対象外となるため注意しましょう。
火災保険を使用する際は、契約内容や補償範囲を事前によく確認することが大切です。
自社施工している業者を選ぶ
自社施工している業者を選ぶと、塗装費用を削減できます。
自社施工業者は、工事の全工程を自社の職人が担当するため、下請け業者への支払いが発生しません。
その結果、屋根塗装の工事費用を抑えられます。
また、品質管理も直接行えるため、手抜き工事のリスクも減らせるのがメリットです。
依頼する業者が自社施工業者かどうかは、各会社のホームページを確認してください。
会社のホームページ内に、職人個人の写真や紹介などがあれば、自社施工業者の可能性が高いでしょう。
ただし、自社施工を謳っていても実際は下請けを使っている場合もあります。
そのため、施工体制証明書の確認や、工事当日の作業員の所属確認などもすると安心です。
下請け企業を使っている業者の例は、以下の通りです。
- ゼネコン
- ハウスメーカー
- ホームセンター
- 家電量販店のリフォーム部門
- 工務店
費用を抑えて屋根塗装したい場合は、上記以外の業者を選びましょう。
複数の業者に見積もりを取る
屋根塗装する際は、複数の業者に見積もりを取るのがおすすめです。
複数業者に見積もりを取ると、屋根塗装の適正価格を知り、最も良心的な価格を提示する業者を選べます。
各業者の見積もり内容を比較すると、工事内容や使用する塗料の品質、価格の妥当性を判断できるはずです。
見積もりを取る際は、足場の設置費用や塗料の種類、塗装回数、下地処理の方法、保証内容など、細かい内訳を確認しましょう。
また、見積もり時の現場調査の丁寧さや、説明の分かりやすさなども業者選びの重要な判断材料です。
ただし、あまりに多くの見積もりを取ると、業者対応だけで疲弊してしまいます。
そのため、3社程度を目安に見積もりを取ることがおすすめです。
業者の閑散期を狙って依頼する
屋根塗装工事は、季節により料金が変動します。
一般的に、梅雨時期や冬季は工事の需要が少なく、比較的安価に屋根塗装できるでしょう。
特に12月から2月にかけての冬季は、気温や天候の影響で工事しにくい時期です。
そのため、通常よりも安く屋根塗装工事ができます。
ただし、業者の閑散期である冬は、気温が低いため塗料が固まるまでに時間がかかります。
閑散期に工事依頼をすると、通常よりも工事期間が長くなることに留意しましょう。
また、年度末や年度始めは工事の混雑時期となるため、これらの時期を避けて工事計画を立てることで、塗装費用を抑えられます。
外壁と屋根の塗装を同時に行う
外壁塗装と屋根塗装を同時にすることで、足場の設置費用や諸経費を一度で済ませられるため、大幅なコスト削減ができます。
また、外壁と屋根を同時塗装すると、建物全体の見た目の統一感が出せて、より効果的な改修が可能となるのです。
さらに、工期を一度に済ませることができるため、生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。
ただし、同時施工の場合は一度の支払い額が大きくなります。
そのため、ローンの活用など支払い方法について事前に十分な検討をしてください。
外壁と屋根を同時に塗装する場合と、別々で塗装する場合の費用相場は以下の通りです。
坪数 | 同時に塗装する場合 | 別々に塗装する場合 |
---|---|---|
30坪 | 約80万円~120万円 | 約80万円~160万円 |
40坪 | 約100万円~140万円 | 約110万円~210万円 |
50坪 | 約120万円~180万円 | 約125万円~250万円 |
2倍程度の費用が掛かることもあるため、外壁と屋根は同時に塗装するのがおすすめです。
まとめ
屋根塗装で使える助成金・補助金の申請条件や申請方法について解説しました。
屋根塗装で使える助成金・補助金は、「省エネリフォーム」と「一般的なリフォーム」で異なります。
自治体により申請条件は異なるため、詳細を知りたい方は居住している自治体へ問い合わせてください。
また、助成金・補助金を使用する際の注意点は以下の通りです。
- 上限に達すると早めに締め切られる
- 工事着工前に申請する
- 同じ助成金・補助金は二度目の申請ができない
- 遮熱塗装が向かない場合もある
手順を間違えると、助成金・補助金を受け取れなくなるため、正しい手順で申請を進めましょう。