トタン屋根は低コストで設置可能だというメリットがありますが、他の屋根材と比較して寿命が短いというデメリットも存在します。
劣化したトタン屋根は雨漏りが起こりやすく、住宅の寿命を縮めてしまう可能性が考えられるのです。
今回の記事では、トタン屋根が雨漏りする原因や必要な修理費用についてまとめました。
自分でできる応急処置の方法も紹介するため、雨漏りに困っている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
トタン屋根の特徴とは
トタン屋根は、亜鉛メッキが施されて鉄板であるトタン板で作られた屋根を指し、「瓦棒屋根」と呼ばれる場合もあります。
安価に施工可能なことから、住宅のみでなく倉庫の屋根として活用されるケースも多いです。
トタン屋根の種類
トタン屋根は大きく分けて以下の3つの分類に分けられます。
名称 | 特徴 |
---|---|
波板トタン屋根 | 波状に加工された鉄板を並べた屋根で、強度が高い 倉庫や納屋に活用される |
瓦棒葺きトタン屋根 | 芯木という木材を配置した上に、トタン板を被せて固定する 雨漏りに強く、以前は一般的な住宅の屋根として活用されていた |
折板トタン屋根 | 合板を折り畳み、凹凸をさらに深く加工したトタン屋根で、波板トタン屋根よりも強度が高い 体育館・自転車置き場などに活用されている |
トタン屋根の寿命
トタン屋根の寿命は気候環境やメンテナンス状態により大きく異なりますが、一般的に平均して15年程度だと言われています。
ただし、定期的な塗装工事が必要であり、5年おきに塗装を塗り替える必要があります。
塗装と同時に錆や剥がれの有無・屋根に歪みはないかなどのポイントを点検すれば、トタン屋根の寿命を長くできる可能性が高まるでしょう。
トタン屋根の構造について
トタン屋根の構造は、野地板・防水紙・トタン屋根の三層構造で作られています。
トタン板が雨水の侵入を防ぎ、万が一雨水が侵入した時には防水紙であるルーフィングが建物内まで雨水が入り込まないようにします。
トタン屋根のみでなく瓦屋根なども同じような構造であり、一次防水から雨漏りした場合も、すぐに雨水が室内に入り込まない作りになっているのです。
ただし、屋根のメンテナンスでは二次防水である防水紙の状態も定期的にチェックする必要があります。
トタン屋根のメリットとデメリット
トタン屋根には、次のようなメリットとデメリットが存在します。
トタン屋根の施工を検討している方は、メリット・デメリットの両方を知っておきましょう。
トタン屋根のメリット
トタン屋根のメリットには、次のようなものがあります。
- 手頃な価格で施工ができる
- 軽量であり地震に強い
- 角度が緩い緩勾配の屋根にも使える
トタン屋根のデメリット
トタン屋根のデメリットは以下の通りです。
- 劣化すると錆が発生する
- 強風・突風で飛ばされる・めくれるリスクが高い
- 寿命が短い
- 緩勾配の場合は雨漏りが起こりやすい
- 遮音性が低く雨音が響く
このようなデメリットから、現在では住宅にトタン屋根を採用するケースが減りました。
トタン屋根が雨漏りする時の代表的な原因
トタン屋根の雨漏りは、主に次のような3種類の原因で起こります。
トタンが錆びて穴が空いた
トタン板の弱点と言える錆は、トタン屋根の雨漏りの最も多い原因です。
メンテナンス不足またはトタンの寿命によりトタン板に錆ができると、進行して穴が空いてしまうのです。
本来、金属は雨で錆びるものですが、トタン屋根は特殊な塗膜により保護されます。
塗膜が太陽の紫外線や雨で経年劣化すると、錆が発生してしまうのです。
棟板金が剥がれた・飛んだ
棟板金とは、屋根の一番高い部分にあり屋根の面と面が合わさった頂点を指します。
屋根材が重なり合うことから、隙間からの侵入を防ぐ目的で棟板金が設置されます。
この棟板金が風により飛散したり剥がれたりすれば、雨水が簡単に建物内部に侵入してしまうのです。
棟板金は屋根の中でも最も雨風の影響を受けやすい部分です。
強風により屋根がめくれた
トタン屋根は非常に軽い屋根材であり、地震に強いというメリットを持つ一方で、強風や突風に弱いです。
そのため、台風の影響でトタン屋根が剥がれる・めくれるという問題が起こる可能性があります。
広範囲のトタン屋根が剥がれたりめくれたりすれば、屋根の下地が剥き出しになってしまうのです。
雨漏りを放置することは大きな問題につながる
雨漏りを放置すると、雨漏りの被害が深刻化していきます。
雨漏りの可能性を感じた時には、可能な限り早く応急処置または修理をしてください。
建物の内部が湿って腐ってしまう
雨漏りにより住宅の構造部分が湿気ると、木材が腐食する可能性があります。
住宅そのものの強度が下がり、家族の安全を守れなくなってしまうのです。
建物内部がカビてしまう
建物内部に湿気が留まる状態が続けば、カビが繁殖して家族の健康を害するリスクが高まります。
さらに湿気が多い環境はシロアリも好むことを知っておきましょう。
家電や家具が壊れてしまう
雨漏りにより家電や家具が故障する可能性もあります。
屋根裏などの見えない部分で雨漏りが進めば、電気配線を濡らして感電・火災が起こるリスクも高まるでしょう。
トタン屋根の雨漏りを修理する方法と必要な費用
雨漏りが見つかった時には、すぐに修理を検討してください。
この章では、トタン屋根の雨漏りを修理する方法と必要な費用の相場についてご紹介します。
屋根を塗装する:30万円〜
トタン屋根の状態が比較的良好であり、穴が空いていない軽度の錆の状態である場合には、屋根塗装でトタン屋根の強度を上げるという手段があります。
しかし、すでに錆が進行している時には塗装の効果が低くなります。
現段階で雨漏りが確認できる方は、塗装ではなく他の修理方法を選択してください。
コーキングやテープによる部分補修:2万円〜3万円
コーキングやテープを活用して雨漏りしている穴・隙間部分を埋めます。
雨漏りの箇所が一部で、被害が最小限に抑えられている場合に有効です。
広範囲で雨漏りが起こっている時には、他の修理方法を選びましょう。
屋根の上に新しい屋根を施工する(カバー工法):70万円〜90万円
既存の屋根の上に新しい屋根を被せる工法を「カバー工法」と呼びます。
屋根の撤去にかかるコストと工期をなくせることから、屋根を入れ替える葺き替え工事よりも手頃な価格かつ短い工期で完了します。
ただし、既存の屋根の状態・形状によってはカバー工法が選択できないケースもあります。
屋根を剥がして新しいものにする(葺き替え工法):90万円〜100万円
既存の屋根を撤去して下地と屋根を新しいものに交換する工事を、「葺き替え工事」と呼びます。
屋根を一新するのみでなく構造体に問題がないかという検査も実施可能であり、住宅に潜む問題の多くを解決できると言えるでしょう。
トタン屋根の葺き替え工事では、新しい屋根材としてトタン屋根と同様に軽量でいて耐用年数が長いガルバリウム鋼板が選ばれるケースが多いです。
雨漏りの原因別!トタン屋根のメンテナンス方法
雨漏りの原因により、適切な修繕方法が変わります。
まずは、自宅の雨漏りの原因を特定することからスタートしてください。
雨漏りの原因 | 適した修繕方法 |
---|---|
トタン屋根の一部がめくれた | 部分張り替え |
小さな穴が空いている | カバー工法・葺き替え工事 |
複数または大きな穴が空いている | 葺き替え工事(下地も傷んでいる可能性があるため) |
適さない修繕方法を選択し、特定の箇所のみを修繕しても雨漏りが改善しない状態に陥らないように注意しましょう。
トタン屋根の雨漏りをDIYで応急処置する
トタン屋根の雨漏りが軽度な場合は、自分で応急処置をすることも可能です。
この章では、トタン屋根の雨漏りの応急処置の方法をまとめました。
1.必要な道具を準備する
トタン屋根の雨漏りの応急処置に必要な道具の例は、以下を参考にしてください。
- スクレーパー
- たわし
- コーキングまたは補修テープ
その他に、必要に応じてバケツや雑巾なども用意しましょう。
2.雨の侵入が疑われる錆びと隙間を明らかにする
雨漏りの原因である錆や隙間を明らかにします。
屋根に登る作業は高所作業になるため、一人ではなく必ず2人以上で行い、ヘルメットやハーネスなどの安全装置も用意できると良いでしょう。
3.錆を取り除く
スクレーパーとたわしを使用して錆を取り除きます。
錆がある状態のまま補修をすると、コーキング材や補修テープが付着しにくいためです。
錆を丁寧に取り除いた後は、雑巾で汚れを拭き取ってください。
4.コーキングを充てんする・補修テープを貼る
雨漏りの原因である穴部分をコーキングで充填します。
より簡易な補修をしたい場合には、コーキングではなく市販の補修テープを活用しても良いでしょう。
ただし、補修効果は補修テープよりもコーキングの方が高くなります。
DIYでトタン屋根を直す時の注意点
DIYでトタン屋根の雨漏りを直す際には、次の注意点を知っておいてください。
DIYは一時的な応急処置であると考える
コーキングや補修テープを活用したDIYの雨漏り補修は、あくまで応急処置であると考えてください。
応急処置をした状態で、長期的に雨漏りを防げる可能性は低いです。
雨漏りにより住宅の寿命が短くなったり、家族の健康が損なわれたりする問題を防ぐためには、応急処置後に補修工事を依頼しなければいけません。
怪我や被害を大きくするリスクが伴う
本来であれば、屋根に登るような高所作業はプロに依頼するべきです。
万が一屋根から転落してしまうようなことがあれば、大怪我を負ってしまうでしょう。
また、慣れない高所作業で屋根の破損をより拡大するリスクも伴います。
屋根の雨漏り修理をDIYする行為は、危険なものである事実を知っておいてください。
トタン屋根の雨漏り修理を依頼する業者選びのポイント
トタン屋根の雨漏り修理を業者に依頼する際には、次のポイントを意識して業者選びを進めてください。
信頼できる業者であれば、安心して工事を任せられるでしょう。
トタン屋根の雨漏り修理の実績が豊富
有名なリフォーム業者でも、雨漏り修理の実績が多いとは限りません。
雨漏り修理の実績が多い業者には、そのような工事を得意とする職人さんがいるものです。
インターネットを活用してこれまでの実績を確認し、多くの雨漏りを修理している業者を選びましょう。
アフターフォローや保証を完備している
雨漏り補修完了後に、すぐに問題が再発するようなことがあってはいけません。
施工後の保証制度がしっかりしている業者なら、工事が完了した後に発生した問題にも対応してもらえるでしょう。
保証については年数のみでなく、保証内容・範囲も十分確認します。
可能であれば、実際に業者のアフターフォローを使った利用者の口コミもチェックしてください。
丁寧な説明があり分かりやすい見積もりを作ってくれる
多くの業者では無料で見積もりを作成していますが、見積もり内容が分かりにくい・説明がないような業者には注意してください。
費用が発生するタイミングや費用の内訳が分からない状態では、工事中に想定外の費用を請求される可能性があるのです。
また、現地調査や見積もりの説明をする際の担当者のマナー・印象もチェックしましょう。
トタン屋根の雨漏りを再発させないためのメンテナンス
トタン屋根の雨漏りを修理した後に、雨漏りを再発させないためには、定期的な屋根塗装でトタンの表面を保護するメンテナンスが効果的です。
トタン屋根の屋根塗装に必要な費用は、20坪の住宅で12万円〜20万円程度であり、アクリル・ウレタン・シリコンなどの塗料から選べます。
火災保険で補修費を補う方法もある
台風や竜巻などの自然災害が原因でトタン屋根が損傷し、雨漏りにつながった場合には、トタン屋根の雨漏り補修に火災保険が適用できる可能性があります。
雨漏り修理には高額な費用が必要なケースが多いため、火災保険の活用を検討するべきでしょう。
ただし、経年劣化・何らかの理由で人が屋根を壊してしまった場合は、火災保険の対象外です。
また、火災保険の内容により保証内容が異なることから、契約済みの保険会社に問い合わせてみてください。
火災保険申請に詳しい業者なら保険に関するアドバイスももらえる
火災保険の申請に詳しい雨漏り修理業者であれば、雨漏りの補修と同時に火災保険についてのアドバイスももらえます。
また、中には補助金や助成金の申請にも詳しく、お客様の工事費負担を最小限に抑えられる業者も存在するのです。
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まとめ
トタン屋根は軽量でいて低コストで設置できるというメリットがありますが、寿命が短くメンテナンス不足による雨漏りが起こりやすいです。
トタン屋根の雨漏りを発見した時には、DIYで応急処置をするよりも、プロに雨漏り修理を依頼した方が良いでしょう。
安心して修理を任せられる業者を見つければ、雨漏りの原因を特定・適切に直してもらえます。
また、台風や突風などの自然災害が原因で雨漏りが発生した場合は、雨漏り修理に火災保険が適用される可能性があることを知っておいてください。