屋根の防水塗装は建物を雨水などの水分から守るために非常に重要です。
特に日本のように四季がはっきりしていて、梅雨や台風が多い地域では、家の耐久性を高めるために防水塗装が不可欠です。
しかし、塗料にはいくつかの種類があるため、実際に工事を受ける際は塗料選びに戸惑うこともあります。
そこで、ここでは屋根の防水塗装の種類やそれぞれの特徴、また塗料の選び方を解説します。
屋根の防水工事に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
屋根の防水塗装とは
屋根の防水塗装とは、屋根の材質を保護し、雨水などの侵入を防ぐために行われる塗装のことです。
この塗装が行われるのは傾斜のない陸屋根が中心で、傾斜がある屋根には行われません。
傾斜のある屋根にも塗装は行われますが、傾斜のない屋根に行われる防水塗装とは種類が
異なります。
【陸屋根(ろくやね)とは】
平らで傾斜がない屋根のことで、人が歩行することができます。
屋上庭園を設置したり、レクレーションスペースを設置したり、太陽光パネルを設置したりすることも可能です。
屋根に防水塗装が必要なのはなぜ?
陸屋根のような水平屋根に防水塗装が必要なのは、その構造が理由です。
水平な屋根は屋根表面にある「防止層」という部分で、雨水の侵入を防ぎます。
傾斜がある屋根のように屋根下地が設置されていないので、防水層自体の防水性を維持していなければなりません。
防水層の防水性を維持するために最も重要なことは、防水塗装を施すことです。
防水塗装の種類とそれぞれの特徴
屋根の防水塗装には「FRP」と「ウレタン」の2種類があります。
ここでは、これらの特徴について詳しく解説していきます。
FRP1
主な成分 | ガラス繊維 不飽和ポリエステル樹脂 |
---|---|
メリット | 耐熱性が高い 耐候性が高い サビや腐食が発生しにくい 軽量 工期が短い |
デメリット | コストが高い ひび割れが発生しやすい |
耐用年数 | 10年~13年 |
材料費目安 | 5,000円/㎡~9,000円/㎡ |
FRPとは、表面がガラスのような仕上がりになる防水塗料のことで、ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂を組み合わせて防水層を形成します。
軽量で耐熱性や耐候性に優れており、サビや腐食にも強いという特徴があります。
水に強い塗料なので、浴槽やプールや船に使用されることも多いです。
ただし、ウレタン塗料よりもコストが高く塗膜が硬いため、ひび割れやすいというデメリットもあります。
耐用年数は10年~13年程度なので、定期的な塗り直しが必要です。
塗料の費用目安は1㎡あたり5,000円~9,000円です。
ウレタン防水
主な成分 | ウレタン樹脂 |
---|---|
メリット | コストが安い 重ね塗りができる 施工が簡単 |
デメリット | 塗りムラが発生しやすい |
耐用年数 | 10年~13年 |
材料費目安 | 4,000円/㎡~7,000円/㎡ |
ウレタン防水とは、ウレタン樹脂を重ね塗りすることによって防水層を形成します。
FRPよりもコストが安く、異なる塗料の上から重ね塗りをすることができるので、複雑な形状の屋根にも施工しやすい塗料です。
バルコニーや廊下や階段にもよく使用されています。
ただし、ウレタン防水はムラができやすいため、FRPと比べて見た目の美しさには劣るというデメリットもあります。
耐用年数は10年~13年程度なので、定期的な塗り直しが必要です。
塗料の費用目安は1㎡あたり4,000円~7,000円です。
【まとめ】防水塗装の種類とそれぞれの特徴
塗料の種類 | FRP | ウレタン防水 |
---|---|---|
主な成分 | ガラス繊維 不飽和ポリエステル樹脂 | ウレタン樹脂 |
メリット | 耐熱性が高い 耐候性が高い サビや腐食が発生しにくい 軽量 工期が短い | コストが安い 重ね塗りができる 施工が簡単 |
デメリット | コストが高い ひび割れが発生しやすい | 塗りムラが発生しやすい |
耐用年数 | 10年~13年 | 10年~13年 |
材料費目安 | 5,000円/㎡~9,000円/㎡ | 4,000円/㎡~7,000円/㎡ |
【塗料の種類別】防水塗装の費用相場
屋根の防水塗装工事には「トップコート」と「防水層」の2種類があります。
ここでは、それぞれの種類の特徴と費用相場を紹介していきます。
トップコート
トップコートは防水層の表面に防水塗料を塗布する方法で、防水塗装の劣化が進んできた時に行います。
防水層まで傷んできている場合は、この工事だけでは不十分なことが多いです。
トップコート塗装にかかる費用は以下の通りです。
塗料 | 費用相場 |
---|---|
FRP | 2,000円/㎡~3,000円/㎡ |
ウレタン | 1,500円/㎡~2,500円/㎡ |
塗料の劣化症状がある時は、まず専門業者による点検を受けましょう。
防水層
防水層の塗装は、防水層が傷んでいる時に行う塗装方法です。
防水層塗装にかかる費用は以下の通りです。
塗料 | 費用相場 |
---|---|
FRP | 5,000円/㎡~8,000円/㎡ |
ウレタン | 4,000円/㎡~7,000円/㎡ |
ちなみに、防水層の下部分が傷んでいる場合はその部分の補修も行うことがあります。
塗装以外の補修をしたら、さらに費用が高くなると思っておきましょう。
また、屋根塗装工事を行う場合には、足場設置も必要になります。
屋根の劣化具合によって工事内容が異なる
屋根の防水工事には上で紹介した2種類がありますが、工事内容は屋根の劣化状況によって異なります。
屋根表面の塗装に問題がある場合は「トップコート塗装」、防水層自体に問題がある場合は「防水層塗装」が必要です。
劣化症状を見つけた時は、早めに専門業者に連絡して点検や補修工事を受けましょう。
トップコート塗装で対処可能な劣化症状
屋根表面の塗装のみが傷んでいる場合は、トップコート塗装で対処することが可能です。
では、実際に屋根の塗膜が劣化している場合は、どのような症状が表れるのでしょうか。
以下で、屋根塗膜が傷んできた場合に起こる症状を紹介します。
- 塗膜の色褪せ
- 小さなひび割れ
- 塗膜の剥がれ
- チョーキング
塗膜の色褪せ
塗装が劣化すると表面が色褪せてきます。
色褪せを放置するとひび割れや塗膜の剥がれが発生する可能性があるので、まずは専門業者による点検を受けましょう。
小さなひび割れ
屋根表面に小さなひび割れが起こっている時は、表面の塗膜が劣化してきていることを示しています。
ひび割れを放置すると防水層まで雨水が侵入してしまう可能性があるので、早めに塗装を行いましょう。
塗膜の剥がれ
屋根表面の塗膜が剥がれてきている時は、塗膜が劣化してきている可能性が高いです。
塗膜の剥がれを放置すると、剥がれた部分から雨水が侵入して防水層が傷んでしまう可能
性があるので、早めに塗装を行いましょう。
チョーキング
チョーキングとは、塗膜表面全体に粉がついたような状態になる現象のことです。
この現象が現れたら塗料が劣化してきている可能性が高いので、早めに塗装工事を行う必要があります。
上のような症状は塗膜の劣化を示します。
まだ、防水層の劣化まで進んでいない可能性が高いので、早めに対処すれば工事費用を抑えることが可能です。
劣化症状を見つけたら早めに業者に連絡して、点検や補修を受けることをおすすめします。
防水層塗装で対処可能な劣化症状
防水層自体が傷んできている場合は、防水層塗装を行わなければなりません。
では、実際に防水層が傷んできたらどのような症状が表れるのでしょうか。
以下で、防水層が傷んできた場合に起こる症状を紹介します。
- 膨れる
- 水たまりが発生する
- 雨漏り
膨れる
屋根表面の塗装が劣化してくると塗膜と防水層の間に水が溜まり、それが膨れているように見えます。
屋根表面が膨れてきた時は防水層に溜まった水を取り除いて、さらに塗装し直さなければなりません。
膨れを見つけた時は、すぐに専門業者による補修工事を受けましょう。
水たまりが発生する
屋根に水たまりができた時も塗装工事だけでは修復できない可能性が高いです。
水たまりができている場合は、排水設備の不具合が起きている可能性があるので、排水設備などの補修を行うこともあります。
水たまりを放置すると、さらに屋根の劣化が進み、雨漏りが発生する可能性があるので、早めに補修工事を受けましょう。
雨漏り
屋根の水たまりを放置すると雨漏りが起こることがあります。
雨漏りが起こった場合は、防水層だけでなくその下の設備も傷んでいる可能性が高いので、大がかりな工事が必要なことが多いです。
できるだけ早く補修工事を受けるようにしましょう。
屋根塗装は専門業者に依頼しよう
屋根の防水塗装工事はDIYせずに、専門業者に依頼しましょう。
屋根工事は高所作業なので、素人が行うのは大変危険です。
さらに、屋根工事には専門知識や専門技術が必要なので、素人が工事を行うと反って屋根の状態を悪くしてしまうこともあります。
屋根の塗装工事は専門業者に依頼することが大切です。
信頼できる業者の選び方
屋根の防水工事を依頼する際には信頼できる業者を選ぶことが大切です。
どんな業者に工事を依頼するかによって、その工事の満足度や仕上がりの質が変わってくることがあります。
ここでは、信頼できる業者選びのコツを紹介していきます。
複数の業者で見積もりを取る
業者選びの際には、まず複数の業者で相見積もりを取ることが大切です。
複数の業者から見積もりを取ることによって、工事費用の相場を知ることができます。
また、工事費用や工事内容を比較して業者を選ぶことで、ご自身の予算や目的に近い業者を探すことができます。
悪徳業者に騙されないようにするためにも、工事の相場や流れを知っておくことは大切です。
実績や評判を確認する
業者選びの際には、実績や周囲からの評判を確認しましょう。
工事業者はそれぞれ得意な工事内容があり、得意な工事は実績の数が多いです。
そのため、ご自身が受けたい工事の実績数が多い業者を選ぶようにしましょう。
また、実際に工事を受けた方からの評判は大変参考になります。
評価サイトやSNSをチェックして業者について調べてみましょう。
訪問業者には注意する
全ての訪問業者が当てはまるわけではありませんが、一部の訪問業者には悪徳業者が含まれています。
高圧的な態度を取ったり、過度な不安をあおったりするような業者には注意が必要です。
工事を契約する際には、他の業者の見積もりと比較してから業者を選びましょう。
まとめ
屋根防水工事は平らな形状の屋根に行われる塗装工事です。
平らな屋根はどうしても水が溜まりやすいので、防水機能を維持させることが重要になってきます。
屋根の劣化症状が表れた際には、できるだけ早く業者による点検や補修工事を受けましょう。
屋根工事は危険な作業なので専門業者に依頼することが大切です。