棟板金とは?特徴や費用相場、工事の流れについて
棟板金は私たちの家を雨や風から守ってくれる大切な部材です。
屋根の最も高い部分を覆っているこの部材は見た目の美しさだけでなく、家全体の安全や快適性を支える大切な役目を担っています。
ここでは、そんな棟板金の基本的な特徴から費用相場、工事の流れについて解説します。
また「信頼できる業者を選ぶためのポイント」も紹介するので、屋根リフォームに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
棟板金の基礎知識
ここでは棟板金の基本的な知識を紹介します。
棟板金とは
棟板金(むねばんきん)とは、屋根の頂点に取り付ける金属製の部材のことです。
屋根が合わさる接合部分に覆い隠すような形で取り付けて屋根材を固定します。
材質としては、銅やステンレスのように耐久性があり、サビに強い素材を使うことが多いです。
棟板金を取り付ける屋根材
棟板金は主に以下のような屋根材で設置されます。
- ガルバリウム鋼板
- スレート
- トタン
- カラーベスト
- コロニアル
棟の構造
棟は2枚の屋根材の上に貫板(ぬきいた)と呼ばれる板を設置し、その上から「への字型」の棟板金を取り付けるという構造になっています。
貫板と棟板金は釘で固定していますが、この釘が抜けやすいので注意が必要です。
棟板金の特徴
棟板金の主な特徴は以下の2つです。
- 雨水の侵入を防ぐ
- 建物の外観を美しくする
雨水の侵入を防ぐ
棟板金の主な役割は雨水の侵入を防ぐことです。
屋根材と屋根材が接合する屋根の頂点は最も雨水が侵入しやすい部分ですが、その部分を棟板金で覆うことによって水分の侵入を防ぐことができます。
水分の侵入を防ぐことは雨漏りを防ぎ、屋根の寿命を延ばすことにもつながります。
建物の外観を美しくする
棟板金の下に設置されている貫板は木製、樹脂製、ガルバリウム製のものが多いです。
最近は取り扱いやすく水に強い樹脂製が使われることが多いですが、見た目という部分に関してはイマイチです。
貫板の上から屋根材に合う色の棟板金を取り付けることによって屋根の外観を美しく保つ効果もあります。
棟板金工事の必要性
棟板金は最も雨や風にさらされる部位に設置されているため、屋根の中でも最もトラブルが起こりやすい部分です。
特に棟板金と貫板を固定している釘は抜けやすく、釘が抜けると雨水が侵入して屋根が傷んでしまいます。
大きな屋根トラブルを防ぐためにも定期的に点検を受けましょう。
棟板金工事をするタイミングの見極め方
棟は直接目にすることができないため、工事のタイミングが分かりにくい設備です。
以下の2つのポイントに注目して、工事のタイミングを見極めましょう。
棟板金工事のタイミングを見極める2つのポイント
- 棟板金の耐用年数
- 棟板金の劣化
棟板金の耐用年数
まずは棟板金の耐用年数に注目しましょう。
棟板金の耐用年数は10~15年です。
耐用年数を過ぎると一気に防水性などの機能性が低下します。
耐用年数が過ぎたら一度業者の方に点検を依頼しましょう。
棟板金の劣化
棟板金は紫外線や雨、風などに常にさらされている設備です。
設置環境によっては耐用年数が過ぎる前に劣化が進んでしまうことがあります。
棟板金の劣化症状を見つけたら早めに業者に修理を依頼しましょう。
棟板金が劣化するとどんな症状が現われるの?
棟板金が劣化すると以下のような症状が表れます。
- 釘が抜ける
- 棟板金の浮き・剥がれ
- 棟板金の飛散
- 貫板の腐食
- 雨漏りの発生
一般的に釘抜けは築6年~10年頃、貫板の腐食は築15~18年頃、雨漏りは築20年以降で起こることが多いです。
また、台風や大雨の後は棟板金が損傷している可能性があります。
上記のような症状が見られた場合や大きな台風の後などは速やかに業者に点検・修理を依頼しましょう。
棟板金工事の種類と費用相場、施工の流れ
次に、棟板金工事の費用相場や施工の流れを工事の種類別に紹介します。
3つの棟板金工事
- 釘打ちコーキング
- 棟板金交換
- 貫板交換
釘打ちコーキング
釘打ちコーキングとは、釘を打った後に釘の隙間をコーキング剤で埋める作業のことです。
この作業を行うことによって雨水の侵入を防ぎ、釘を抜けにくくすることができます。
棟板金と貫板を固定する釘は抜けやすいので、定期的に点検を受けましょう。
費用相場 (一般的な戸建の場合) |
15,000円~40,000円 |
---|---|
工事目安となる症状 | ・釘抜け |
施工の流れ |
①古い釘を抜く ②新しい釘をさす ③新しい釘の周りにコーキングを行う |
施工の日数 | 1日~2日程度 |
棟板金交換
棟板金交換は棟板金の劣化・浮き・飛散が起こった場合に行います。
棟板金は屋根の頂点に設置されているため、強風などの影響で浮いたり飛んだりしやすい部材です。
また、棟板金が劣化すると屋根の防水性が下がるので、サビを見つけたら交換を考えましょう。
貫板が傷んでいる場合は同時に貫板も交換することが多いです。
費用相場 | 6,000円~10,000円/m |
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工事目安となる症状 |
・棟板金のサビ ・棟板金の浮き ・棟板金の飛散 |
施工の流れ |
①古い棟板金を取り外す ②貫板を設置する ③棟板金と貫板を釘で固定する |
施工の日数 | 1日~2日程度 |
貫板交換
貫板交換とは棟板金の下に設置されている貫板を交換する作業です。
貫板が傷んでいる場合に行います。
貫板が傷むと屋根や家の中に雨水が侵入して雨漏りを発生させる可能性あるので、耐用年数を迎えたら点検を受けましょう。
雨漏りが起こった場合は速やかに修理を依頼することも大切です。
費用相場 | 6,000円~10,000円/m |
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工事目安となる症状 |
・雨漏り ・天井のシミ |
施工の流れ |
①棟板金、貫板を取り外す ②新しい貫板を設置する ③棟板金を設置する ④棟板金と貫板を釘で固定する |
施工の日数 | 1日~2日程度 |
棟板金工事には足場の設置が必要になることも!
工事範囲が広い場合、他の屋根工事を同時に行う場合、屋根が複雑な形状をしている場合などは、足場設置が必要になることもあります。
足場を設置した場合は、上記で紹介した費用に加えて15万円~20万円程度必要だと思っておきましょう。
仙臺屋根屋の棟板金工事の作業費用
工法・工事名称 | 1階の床面積 | ||
---|---|---|---|
20坪/66㎡ | 30坪/100㎡ | 40坪/132㎡ | |
換気等の取り付け | 30,000円~ |
当社では、「無料診断・見積り」にて最適な屋根工事方法のご提案から施工費用までを寄り添ってご提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
棟板金工事の費用を抑えるためのコツ
みなさんが棟板金工事をするにあたって一番気になるのが費用ではないでしょうか。
ここでは、工事費用を抑えるためのコツを3つ紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
工事費用を抑えるためのポイント
- 火災保険の適用を確認する
- 定期的に点検を受ける
- 自分で修理しない
火災保険の適用を確認する
棟板金の損傷が台風や大雨などの自然災害によるものであれば火災保険の適用範囲になることがあります。
火災保険の適用になった場合、修理費用が実質無料になることもあるので、火災保険に加入している人は工事前に一度保険会社に確認してみましょう。
定期的に点検を受ける
屋根の修理費用を抑えるためには定期的な点検が大切です。
定期的に点検をすることによって大きなトラブルになる前に対処することができます。
その結果長期的にはコストを節約することができるので、定期的に点検を受けましょう。
自分で修理しない
屋根修理は自分でしないということが大切です。
専門的な知識や技術を持たない人が屋根修理をすると返って状態を悪化させてしまう可能性があります。
また、自分で修理したことによる損害は保険の適用範囲外となるので注意が必要です。
屋根工事の費用が上がる可能性があるケース
お住まいの家によっては、工事費用が高くなる可能性があります。
次のようなケースに当てはまる場合は、少し費用が上がるかもしれませんので、一度チェックしてみましょう。
屋根工事の費用が上がるケース
- 屋根が複雑な形をしている
- 3階以上の建物
- 屋根の斜面が急
- 雨どいも同時に交換する
屋根が複雑な形をしている
屋根が複雑な形をしている場合は工事の難易度が上がるため、費用が高くなる可能性があります。
複雑な形とは下記などです。
- 多角形
- 円形
- 突出部がある
- 凹みがある
このような形は材料の配置やカットが難しいため、より時間や労力がかかり工期も長くなる可能性があります。
その結果材料費や人件費などの費用がかさみ、工事費用が上がることが多いです。
3階以上の建物
3階以上の建物での屋根工事は高所作業となるため、安全対策が必要になります。
足場設置や安全ハーネスの使用、作業員の追加、特殊機材の使用などの安全対策を行うことがあり、これらには全て費用が発生します。
また、高所作業はリスクが高いため作業効率が低下して工期も長くなることが多く、人件費も増加します。
3階以上の建物の屋根工事は費用が上がる可能性があることを知っておきましょう。
屋根の斜面が急
屋根の斜面が急である場合、屋根工事のコストが上がる可能性があります。
急な斜面での作業の場合は特別な足場を設置しなくてはいけないため、足場設置費用もかさみます。
また、急斜面の屋根に使われる材料は一般的な屋根の材料よりもコストがかかることが多いです。
さらに、急な斜面での作業は危険が伴うため工期や人件費もかかります。
雨樋も同時に交換する
屋根工事と同時に雨樋交換工事を行う場合、総費用が増加します。
しかし、同時に工事をすることによって屋根や家の機能性を高めることができるため、結果的に維持費を削減できる可能性もあります。
2つ以上の設備を同時に工事すると工事費用が上がるということを知っておきましょう。
棟板金工事のメリット
ここでは棟板金工事のメリットを3つ紹介します。
棟板金の主な3大メリット
- 屋根の寿命を延ばす
- 雨漏りを防止する
- 建物の景観が美しくなる
屋根の寿命を延ばす
棟板金工事をすると屋根の保護効果が高まり、屋根全体の耐久性が向上します。
特に日本のように四季があり台風や大雨が多い国では、屋根の機能性を保つことが大切です。
普段からしっかりとメンテナンスをすることによって屋根や家の寿命を延ばし、結果的に維持費を抑えることもできます。
雨漏りを防止する
棟板金工事をすることによって棟の機能性が向上し、雨漏りの予防効果を高めてくれます。
雨漏りが発生すると屋根や家を傷めてしまう可能性があり、大がかりな工事が必要になってしまうこともあります。
屋根の維持費を下げるためには、小さなうちに損傷を直すことが大切です。
建物の景観が美しくなる
棟板金にはさまざまなカラーやデザインがあるため、工事によって屋根の印象を変えることができます。
家の雰囲気を変えたいという方にもおすすめです。
家の雰囲気に合ったきれいな棟板金を設置することによって建物を美しく生まれ変わらせることもできます。
棟板金工事のデメリット
ここでは棟板金工事のデメリットを3つ紹介します。
棟板金の主な3大デメリット
- 工事のタイミングが分かりづらい
- 費用がかかる
- 取り付けが難しい
工事のタイミングが分かりづらい
棟板金は屋根の頂点に設置されているため直接目で見るのが難しい部分です。
その結果、劣化していることに気が付かず、トラブルが起こってしまったということもあります。
台風や大雨の後、設置年数が経っている場合などは業者に点検を依頼しましょう
費用がかかる
棟板金工事はある程度の費用が必要です。
基本的には足場を設置することが少ない工事ですが、内容によっては足場設置が必要なこともあります。
メンテナンスをすることによって長期的にはお得になることが多いですが、工事にはある程度の費用が必要なことを知っておきましょう。
取り付けが難しい
棟板金工事には専門的な知識や技術が必要です。
しかも、危険な高所作業であるため素人が工事をするのは難しいです。
プロでも技術力に差があるため、工事後のトラブルを避けるには棟板金工事の実績が多い職人さんに依頼しましょう。
信頼できる業者を選ぶためのポイント
屋根工事を成功させるためには業者選びが大切です。
どのような業者に工事を依頼するかによって工事の結果が変わってくるため、業者選びは慎重に行いましょう。
信頼できる業者を選ぶためのポイント
- 相見積もりを取ろう
- 実績を評判に注目しよう
- 訪問営業をする業者には注意しよう
相見積もりを取ろう
信頼できる業者を選ぶためには、複数の業者で相見積もりを取ることが大切です。
相見積もりを取ることによって工事の費用相場が分かるようになり、悪徳業者に騙される可能性も少なくなります。
また、工事内容をいくつかの業者で比べることによって、よりあなたに合った工事を選択することもできるでしょう。
少し面倒かもしれませんが最低でも3社以上から見積もりを取りましょう。
実績や評判に注目しよう
信頼できる業者を選ぶためには実績や評判にも注目しましょう。
業者によって得意な工事や不得意な工事があります。
基本的に得意な工事の実績数は多いので、自分が受けたい工事数が多い業者に依頼するのが大切です。
また口コミには実際に工事を受けた人からの意見が書かれています。
ホームページに掲載されていない貴重な情報を得るためにも口コミもチェックしましょう。
訪問営業をする業者には注意しよう
残念ながら屋根修理を行う業者の中には悪徳業者も含まれています。
全ての業者が当てはまるわけではありませんが、悪徳業者の多くが訪問営業をしているため訪問営業には注意が必要です。
仙臺屋根屋の屋根棟板金施工実績
屋根棟板金工事でよくあるご質問
- 棟板金工事とは何ですか?
- 棟板金工事とは、屋根の最も高い部分(棟)に設置する金属製の部材を取り付ける工事のことです。これにより、雨水の侵入を防ぎ、屋根の耐久性を高めます。
- 棟板金の種類にはどのようなものがありますか?
- 棟板金にはいくつかの種類がありますが、主にガルバリウム鋼板、銅、アルミニウムなどが使用されます。材質によって耐久性や価格が異なります。
- 棟板金工事の費用はどれくらいかかりますか?
- 費用は使用する材料や屋根の大きさ、形状によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円の範囲内で発生します。詳細な見積もりは業者に依頼することが必要です。
- 工事の期間はどれくらいですか?
- 工事の期間は通常1日から数日です。天候や屋根の状態によって前後することがあります。
- 棟板金工事のタイミングはいつが適切ですか?
- 屋根のリフォームや新築時、または既存の棟板金が損傷した場合に行うことが一般的です。定期的な点検を行い、必要に応じて交換を行います。
- 棟板金のメンテナンスはどのように行うべきですか?
- 定期的な清掃と点検を行い、サビや損傷がないかを確認します。損傷が見つかった場合は、早めに修理や交換を行うことが大切です。
- 棟板金が損傷する原因は何ですか?
- 主な原因としては、強風や台風による物理的なダメージ、経年劣化、設置ミスによるものがあります。
- 棟板金工事の際に注意すべきことは何ですか?
- 正しい材料選びと専門の職人による適切な施工が重要です。不適切な施工は、後に大きなトラブルの原因となることがあります。
- 棟板金工事を依頼する際、業者選びで重要なポイントは何ですか?
- 業者の過去の実績、口コミ、保証内容を確認することが重要です。可能であれば、近隣で施工した事例を見せてもらうと良いでしょう。
- 棟板金の色やデザインは選べますか?
- 多くの業者では、様々な色やデザインの棟板金を選べるようになっています。建物の外観と調和するよう選ぶことができます。
その他の屋根工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。