ガルバリウム鋼板屋根とは?寿命や費用相場、施工の流れについて
ガルバリウム鋼板は、耐久性の高さとコストパフォーマンスの良さから現代の建築において最も人気がある屋根材です。
この素材は鉄をアルミニウムと亜鉛の合金でコーティングしたもので、サビにくく、軽量でありながら強度も兼ね備えています。
そこで、ここではガルバリウム鋼板の基礎知識、寿命、費用相場、さらには施工の流れについても詳しく解説します。
ガルバリウム鋼板屋根の施工を考えている人、屋根リフォームを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
Contents
ガルバリウム鋼鉄とは
ガルバリウム鋼鉄とは、鉄にアルミニウムと亜鉛の合金をコーティングした厚さ0.35㎜~0.5㎜程度の薄い素材で、別名「SGL」とも呼ばれています。
現在最も人気がある屋根材で、新築でもリフォームでも設置されることが多いです。
サビにくく耐候性も高いことから、雨や紫外線にさらされ続けている屋根材に適しています。
ガルバリウム鋼鉄の特徴
屋根材として人気があるガルバリウム鋼鉄屋根にはいくつかの特徴があります。
ガルバリウム鋼鉄4つの特徴
- サビに強い
- 人気が高い
- デザイン性が高い
- コストパフォーマンスが良い
サビに強い
ガルバリウム鋼板はサビに強い素材です。
サビに強いということは屋根材としての寿命を延ばし、メンテナンスのコストを削減することにもつながります。
また、あらゆる環境に強いため海の近くや冬の寒さが厳しい地域でも性能を維持することが可能です。
人気が高い
ガルバリウム鋼板は耐久性と経済性から最も人気がある屋根材です。
また、デザイン性が高くカラーバリエーションも豊富なので、建物の見た目を考慮した建築にも向いています。
高すぎない程度の価格設定でありながら、耐久性や美観も兼ね備えているコストパフォーマンスの良い屋根材です。
デザイン性が高い
ガルバリウム鋼鉄はデザイン性が高く色のバリエーションが豊富な屋根材です。
薄い金属でできているガルバリウム鋼鉄は加工がしやすくあらゆる形に対応しています。
また、色は白・黒・ブラウンのような基本的な色だけでなくブルー・レッド・グリーン・オレンジなど、他の屋根材にはないような色もあります。
このように、デザイン性の高さやカラーバリエーションの豊富さもガルバリウム鋼鉄が人気の理由です。
コストパフォーマンスが良い
ガルバリウム鋼鉄は高すぎず安すぎない中程度の価格設定の割に、耐久性・機能性が高いため長い間使用できます。
しかも、メンテナンスにかかる費用も少ないため、長い目で見るとコストパフォーマンスが高い素材です。
屋根材を選ぶ際には設置費用だけでなく、耐用年数やメンテナンスにかかる費用も考慮しましょう。
ガルバリウム鋼鉄の張り方
ガルバリウム鋼鉄屋根は張り方によって性能が変わる屋根材です。
ガルバリウム鋼鉄屋根3つの張り方
- 縦葺き
- 横葺き
- 差し込み葺き
縦葺き
縦葺きとは、屋根の傾斜に沿って縦に屋根材を設置する方法です。
この方法は水の流れを助け、雨水が溜まるのを防ぐことができるので、雨が多い地域で好まれます。
また、施工が簡単で工事費用を抑えられるので、新築の建物でも設置されることが多いです。
<縦葺きのメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・緩い傾斜でも施工できる ・雨漏りが発生しにくい ・工事費用が安い ・耐用パネルの設置可能 | ・付加価値が高い屋根(断熱機能が高い屋根など)の種類がない ・単純なデザインしか施工できない |
横葺き
横葺きとは、屋根の傾斜に対して横に屋根材を設置する方法です。
この張り方は縦葺きに比べて断熱性などの機能性が高く、あらゆるデザインに対応できるという特徴があります。
横葺き対応のガルバリウム鋼鉄は断熱材一体型などのように機能面で充実した商品が多いため、リフォーム分野で人気です。
<横葺きのメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・断熱性が高い商品がある ・複雑なデザインでも施工可能 | ・ある程度の傾斜が必要 ・縦葺きよりも費用が高い ・釘部分がサビやすい |
差し込み葺き
差し込み葺きとは、特殊な溝がついた屋根材を差し込んで固定していく方法です。
特殊な板金技術が必要なく比較的施工が簡単ですが、屋根材の接合部分に隙間が空いてしまうため、雨漏りが発生しやすいというデメリットもあります。
<差し込み葺きのメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・施工が簡単 ・工期が短い | ・屋根下地の張り替えができない ・防水機能が低い |
ガルバリウム鋼鉄の種類
最近ガルバリウム鋼鉄を発展させた屋根材がいくつか登場しています。
3つのガルバリウム鋼板
- エスジール鋼板
- 石粒付き鋼板(ジンカリウム鋼板)
- フッ素鋼板
エスジーエル鋼板
エスジーエル鋼鉄とはガルバリウム鋼鉄にマグネシウムを混ぜた鋼鉄です。
マグネシウムを含むことによってガルバリウム鋼鉄よりもサビにくく耐久性が高い素材となりました。
最近は住宅の屋根や船舶にも使用されています。
石粒付き鋼板(ジンカリウム鋼板)
石粒付き鋼板とは、ガルバリウム鋼鉄の表面に天然石を貼り付けた鋼板です。
ジンカリウム鋼板とも呼ばれるこの屋根材は、韓国・ニュージーランド・中国など海外で製造されています。
見た目が美しくて価格が安いため、大変人気があります。
フッ素鋼板
フッ素鋼板とは、ガルバリウム鋼鉄の表面をフッ素でコーティングした鋼材です。
色褪せが発生しにくく耐候性が高いため、美しいカラーを保つことができます。
ガルバリウム鋼鉄のメンテナンス
ガルバリウム鋼鉄は耐久性が高く低メンテナンスの屋根材として人気ですが、長期間性能を維持するためには適切なケアが必要です。
ここでは、ガルバリウム鋼鉄の耐用年数、メンテナンスの目安、自分でできる簡単なメンテナンス法を紹介します。
ガルバリウム鋼鉄の耐用年数
ガルバリウム鋼鉄の耐用年数は25年~35年程度です。
ただし、メンテナンスが行き届いている場合は40年以上使用することもできます。
ガルバリウム鋼鉄屋根を長く大切に使うためには、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンス具体的な方法と目安時期
ここでは、ガルバリウム鋼鉄のメンテナンスの具体的な方法と目安時期を紹介します。
メンテナンスの方法 | 目安時期 |
---|---|
塗装 | 設置から10年~15年 |
棟板金交換 | 設置から15年 |
葺き替え・重ね葺き | 設置から25年~35年 |
塗装:設置から10年~15年
ガルバリウム鋼鉄はサビに強い素材ですが、メンテナンスをしていないとサビが発生してしまいます。
サビが発生する主な原因は、塗装の劣化です。
塗装の劣化を防ぐために、10年~15年おきに塗装を行うようにしましょう。
棟板金交換(むねばんきんこうかん):設置から15年
棟板金とは屋根の頂点に設置されている板金です。
屋根設置から15年ほど経過すると、強風や直射日光の影響で釘が緩んで外れてしまうリスクが高まります。
棟板金が外れると雨漏りや屋根全体が傷んでしまう可能性があるので、新しい棟板金に交換するのがおすすめです。
葺き替え・重ね葺き:設置から25~35年
ガルバリウム鋼鉄の耐用年数は25~35年です。
耐用年数が過ぎたら屋根材だけでなく屋根下地が傷んでしまっている可能性があるので、屋根の全体リフォームを検討しましょう。
<屋根の全体リフォーム>
葺き替え | 重ね葺き |
---|---|
古い屋根を解体・撤去して新しい屋根を設置する | 古い屋根の上から新しい屋根を設置する |
屋根の全体リフォームには「葺き替え」「重ね葺き」の2つの方法があります。
これらの方法でリフォームすると屋根の機能を回復させ、建物の寿命を延ばすことにもつながります。
お客様の目的・予算・建物の状態に合った方法を選びましょう。
メンテナンスのサイン
ガルバリウム鋼鉄のメンテナンスは設置年数だけでなく劣化状況も考慮して行いましょう。
ここでは、ガルバリウム鋼鉄の劣化を示すサインとその対処法を紹介します。
症状 | 対処法 |
---|---|
釘が抜ける | 点検・釘の打ち直し |
サビ | 塗装 |
穴が空く | 部分補修・全体リフォーム |
雨漏り | 全体リフォーム |
釘が抜ける:点検・釘の打ち直し
屋根材を固定するために打たれた釘は、経年劣化やサビが原因で抜けることがあります。
釘が抜けてしまうと釘穴から雨水が侵入して雨漏りが発生したり、屋根材が浮いたりしてしまう可能性があります。
できるだけ早く業者に点検を依頼し、補修を行いましょう。
サビ:点検・塗装
ガルバリウム鋼鉄は基本的にはサビにくい素材です。
しかしメンテナンス不足や設置環境によってはサビが発生してしまうことがあります。
サビは一度発生すると広がっていく性質があり、穴あき・雨漏りの原因にもなってしまいます。
サビを見つけたら業者に点検を依頼し、場合によっては塗装を行うのがおすすめです。
穴が空く:部分補修・全体リフォーム
上記で紹介したように、ガルバリウム鋼鉄はサビが原因で穴が空いてしまうことがあります。
また、サビ以外にも物が飛んできて穴が空いたりしてしまうことも多いです。
穴空きを放置しておくと雨漏りが発生する可能性があるので、早めに補修を依頼しましょう。
穴が小さい場合は部分補修、大きい場合は全体リフォームがおすすめです。
雨漏り:全体リフォーム
雨漏りが発生した場合は、屋根の全体リフォームを行うのがおすすめです。
雨漏りが起こったということは屋根下地も傷んでいる可能性が高いので、下地まで補修を行う必要があります。
屋根下地まで補修ができる全体リフォームを行いましょう。
自分で簡単にできるメンテナンスは?
ガルバリウム鋼鉄は自分でできる簡単なメンテナンス法もあります。
それは屋根に水をかけて汚れを落とす方法です。
ガルバリウム鋼鉄は汚れが原因となって劣化していくことが多いので、定期的に水をかけて汚れを落としましょう。
ただし、屋根に水をかける時に高圧洗浄機を使わないようにしましょう。
高圧洗浄機は圧力が強すぎて塗装剥がれや屋根材に傷がつく原因になることがあります。
自宅で使用しているホースなどを使って水をかけるのがおすすめです。
【工事の種類別】ガルバリウム鋼鉄工事の費用相場と施工の流れ
ここでは、ガルバリウム鋼鉄工事の費用相場と施工の流れを工事の種類別に紹介します。
ガルバリウム鋼鉄工事の4つ施工ポイントと流れ
- 塗装
- 部分補修
- 葺き替え
- 重ね葺き
塗装
塗装とは、屋根材に塗装を施す工事のことです。
塗装を行うことによって防水性などの機能性が向上し、屋根の寿命を延ばすことができます。
費用相場 | 2,000円/㎡~5,000円/㎡ |
---|---|
施工の流れ |
①足場を設置する ②サビ・ゴミを除去する ③補修をする ④塗装をする ⑤最終確認をする ⑥足場を解体する |
費用相場
塗装にかかる費用目安は2,000円/㎡~5,000円/㎡です。
塗装費用は選ぶ塗料の種類によって大きく異なりますが、基本的に安い塗料ほど耐用年数が短いためメンテナンスの間隔が短いです。
塗料を選ぶ際には工事にかかる費用だけでなくメンテナンスにかかる費用も考慮して選びましょう。
また、足場代など工事にかかる費用も発生します。
費用や工期など詳しい内容は業者の方に聞いてみましょう。
<塗料について>
塗料 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
ウレタン塗料 | 1,500円/㎡~2,000円/㎡ | 5年~10年 |
シリコン塗料 | 2,000円/㎡~2,500円/㎡ | 10年~15年 |
フッ素塗料 | 4,000円/㎡~5,000円/㎡ | 15年~20年 |
施工の流れ
①足場を設置する
屋根工事を安全にスムーズに行うために足場を設置します。
②サビ・ゴミを除去する
塗装をする前に屋根材の表面のサビやゴミを取り除いて滑らかにします。
③補修をする
屋根に小さな損傷がある場合は、この段階で補修を行います。
④塗装をする
屋根の補修が終わったら下塗り→中塗り→上塗りの順で塗装を行います。
⑤最終確認をする
塗装が乾いたら最終チェックを行います。
⑥足場を解体する
工事が終わったら足場を解体します。
部分補修
部分補修は、屋根に小さな損傷があった場合に行う部分的な補修です。
補修の程度や範囲によって工事の内容が変わります。
ガルバリウム鋼鉄屋根の部分補修でよく行われる部分補修はシーリング補修と屋根材の交換です。
費用相場 | 工事内容や範囲による |
---|---|
工事の種類 |
・シーリング補修 ・屋根材の交換 |
費用相場
部分補修の費用は損傷の程度と範囲によって大きく変わります。
小さな補修の場合数万円で済むこともありますが、大規模な補修の場合は数十万円以上かかることもあります。
シーリング補修
シーリングとは屋根材の接合部を埋めて雨水の侵入を防ぐゴム製の素材です。
屋根材よりも耐久性が低いため、屋根材自体にトラブルがなくてもシーリング部分のみ補修が必要になることあります。
シーリングの劣化を放っておくと、雨漏りが発生するなど屋根を傷める原因になるので、早めに補修することが大切です。
屋根材の交換
屋根材が一部だけ傷んでしまった場合に部分的に屋根材を交換します。
台風や強風の際に物が飛んできて当たることが原因で起こることが多いです。
台風や強風の後は屋根に問題がないか確認しましょう。
葺き替え
葺き替えとは、古い屋根を取り外して新しい屋根を設置する工事のことです。
屋根材の寿命がきた場合や屋根下地まで傷んでしまった場合に行います。
葺き替えは新しく設置する屋根材の種類によって大きく変動します。
費用相場 | 15,000円/㎡~30,000円/㎡ |
---|---|
施工の流れ |
①足場を設置する ②既存の屋根を撤去する ③新しい屋根を設置する ④最終確認をする ⑤足場を解体する |
費用相場
葺き替えにかかる費用は解体する屋根材と新しく設置する屋根材の種類によって大きく変わりますが、一般的に15,000円/㎡~30,000円/㎡です。
また、足場代や諸経費などの費用が必要になります。
<工事費用の内訳>
- 足場費用
- 養生費用
- 屋根の撤去
- 防水シート
- 屋根の材料費
- 諸経費 など
<屋根材別の費用目安>
古い屋根材 | 新しい屋根材 | 費用相場/30坪の住宅 |
---|---|---|
瓦 | ガルバリウム鋼鉄 | 150万円~250万円 |
スレート | ガルバリウム鋼鉄 | 150万円~230万円 |
トタン | ガルバリウム鋼鉄 | 120万円~200万円 |
このように、撤去する屋根材と設置する屋根材の種類によっても費用が変わります。
詳しくは、見積もりの際に業者の方に確認してみましょう。
施工の流れ
①足場を設置する
屋根工事を安全にスムーズに行うために足場を設置します。
②既存の屋根を撤去する
古い屋根を取り外していきます。
③新しい屋根を設置する
新しい屋根下地・屋根材を設置します。
④最終確認をする
新しい屋根の取り付けができたら最終チェックを行います。
⑤足場を解体する
工事が終わったら足場を解体します。
重ね葺き
重ね葺きとは、既存の屋根の上から新しい屋根を設置する工事です。
古い屋根の解体作業がないので、葺き替えよりも費用が安いという特徴があります。
ただし、瓦のように重量がある屋根材の場合は、耐震性などの問題で重ね葺きができません。
また、屋根下地まで傷んでいる場合も重ね葺きは向いていません。
重ね葺き替は全ての屋根に対応している工事方法ではないということを理解しておきましょう。
費用相場 | 70万円~100万円/一般的な一戸建て |
---|---|
施工の流れ |
①足場を設置する ②既存の屋根の確認をする ③新しい屋根を設置する ④最終確認をする ⑤足場を解体する |
費用相場
重ね葺きにかかる費用は屋根の範囲によって変わりますが、一般的に70万円~100万円(一般的な一戸建て)です。
また、足場代や諸経費などの費用が必要になります。
<費用相場>
- 足場費用
- 養生費用
- 防水シート
- 屋根の材料費
- 諸経費 など
施工の流れ
①足場を設置する
屋根工事を安全にスムーズに行うために足場を設置します。
②既存の屋根の確認をする
既存の屋根材・屋根下地の状態を確認します。
③新しい屋根を設置する
古い屋根の上から新しい屋根を設置します。
④最終確認をする
屋根の設置が完了したら最終チェックを行います。
⑤足場を解体する
工事が終わったら足場を解体します。
ガルバリウム鋼鉄のメリット
ガルバリウム鋼鉄は住宅や商業施設の屋根材や外壁材として広く使用されています。
ガルバリウム鋼鉄の7つのメリット
- 耐久性が高い
- 耐震性が高い
- 耐熱性に優れている
- 施工しやすい
- コストパフォーマンスが良い
- メンテナンスが簡単
- デザイン性が高い
耐久性が高い
ガルバリウム鋼鉄は亜鉛・アルミニウムの合金でコーティングされているためサビにくく、長期間にわたって性能を保つことができます。
雪が多い地域、雨が多い地域、海の近くなどの厳しい気象条件下でも劣化しにくいため、耐久性を求める方に人気です。
ただし、機能性を維持するためには定期的なメンテナンスが必要です。
塗装や部分補修などのメンテナンスを積極的に行いましょう。
耐震性が高い
ガルバリウム鋼鉄は薄い金属でできている非常に軽い素材です。
屋根が軽いと建物の負担が軽減され、耐震性が向上します。
しかも軽量でありながら強度も強く、地震の揺れを効果的に吸収し損傷を最小限に抑えてくれるので、地震が多い日本の建築材料としてぴったりです。
耐熱性に優れている
ガルバリウム鋼鉄に含まれている亜鉛は非常に熱に強い性質を持っています。
最近の猛暑により屋根材がダメージを受けやすくなっていますが、ガルバリウム鋼鉄は熱に強いため安心です。
耐火性も強いため火災時にも建物を守ってくれます。
施工しやすい
ガルバリウム鋼鉄は薄いため加工しやすい素材です。
屋根にはあらゆるデザインが求められるので、加工のしやすさは重要なポイントでもあります。
また、施工が簡単だということは工期を抑えることができるため、施工コスト削減にも効果的です。
コストパフォーマンスが良い
ガルバリウム鋼鉄は屋根材の中で一番安い素材というわけではなく、価格設定は中程度です。
しかし耐久性が高くメンテナンス費用があまりかからないので長、期的に見ると経済的な屋根材だと言えます。
屋根材を選ぶ時は、初期費用だけでなくメンテナンス費用も含めたトータルコストで考えましょう。
メンテナンスが簡単
ガルバリウム鋼鉄は表面に特殊なコーティングが施されているため、汚れが付きにくい素材です。
また耐久性が高いため、頻繁なメンテナンスや修理が必要ありません。
自分で簡単にできるメンテナンスもあるなど、扱いやすい屋根材です。
デザイン性が高い
ガルバリウム鋼鉄は幅広い色とデザインの選択肢があり、どんな建築スタイルにも合わせられます。
屋根は建物の印象を決める大切な部分なので、デザインや色が豊富なところは大きな魅力です。
ガルバリウム鋼鉄のデメリット
ここでは、ガルバリウム鋼鉄のデメリットを紹介します。
メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解しましょう。
ガルバリウム鋼鉄の4つのデメリット
- 断熱性がやや低い
- アルカリ性に弱い
- 傾斜がないデザインに向いていない
- 施工費用が高い
断熱性がやや低い
ガルバリウム鋼鉄は熱伝導が高い金属製の素材なので、断熱機能が低いという特徴があります。
そのため、外気温の影響を受けやすく冷暖房効率が低下する可能性があります。
しかし、多くの場合は屋根材の下に断熱材を設置するため問題ありません。
ただし、断熱材を施工した場合は追加費用がかかることを理解しておきましょう。
アルカリ性に弱い
ガルバリウム鋼鉄はアルカリ性の物質に弱いという性質があります。
屋根に影響を与えやすいアルカリ性の物質と言えば木材・枯れ葉などです。
これらの物質にはアルカリ性の成分が含まれているので、建物の近くに葉っぱが落ちやすい木がある場合などは注意しましょう。
傾斜がないデザインに向いていない
ガルバリウム鋼鉄は技術的には平らに施工することができます。
しかし、平らに施工すると雨水が溜まり、屋根の傷みが早くなってしまいます。
ガルバリウム鋼鉄屋根を施工する場合は、緩やかでもよいので傾斜がある屋根にしましょう。
施工費用が高い
ガルバリウム鋼鉄はスレートに比べると費用が高い屋根材です。
しかし、スレートに比べて耐用年数が長くメンテナンスの頻度も少ないので、トータルで考えると費用がかかりません。
屋根材を選ぶ時は、施工費用だけでなくメンテナンス費用も考慮しましょう。
屋根材の有名メーカーと商品
屋根材には有名なメーカーとその商品がいくつかあります。
ここでは、どのメーカーを選べばよいか分からないという方に向けて、屋根材の有名メーカーとその商品を紹介します。
アイジー工業株式会社:スーパーガルテクト
商品名 | スーパーガルテクト |
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張り方 | 横張り |
材質 | エスジール鋼鉄 |
費用相場 | 6,000円/㎡~7,500円/㎡ |
特徴 |
・断熱材一体型 ・遮音性が高い ・防水性が高い ・実績数が多い ・施工しやすい |
アイジー工業株式会社は金属屋根部門でナンバー1を誇る有名メーカーです。
スーパーガルテクトは断熱材一体型・横張りの屋根材で、釘部分に雨水が侵入しにくいという特徴があります。
実用性、耐久性に優れた人気の屋根材です。
ちなみに、スーパーガルテクトにはガルバリウム鋼鉄ではなくエスジール鋼鉄が使われています。
ニチハ株式会社:横暖ルーフS
商品名 | 横暖ルーフS |
---|---|
張り方 | 横張り |
材質 | ガルバリウム鋼鉄 |
費用相場 | 5,700円/㎡~7,000円/㎡ |
特徴 |
・断熱材一体型 ・断熱材が18㎜で分厚い ・価格が安い ・遮熱、遮音効果が高い |
ニチハ株式会社は屋根材・外壁材・断熱材など幅広い建築材を製造するメーカーです。
断熱材一体型の商品を初めて販売した業者なので、販売歴や使用歴が長く安心して使用できます。
また、横暖ルーフSは約18㎜と分厚いため外気温に影響されにくいという特徴があります。
機能性が高いにも関わらず価格が安いため非常に人気です。
ケイミュー株式会社:スマートメタル
商品名 | スマートメタル |
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張り方 | 横張り |
材質 | エスジール鋼鉄 |
費用相場 | 5,500円/㎡~7,000円/㎡ |
特徴 |
・サビに強い ・価格が安い ・3色から選べる |
ケイミュー株式会社は外装・内装のどちらの建材も扱う住宅設備メーカーです。
屋根の中ではスレート・軽量瓦に有名な商品が多くあります。
スマートメタルは、性能が高いにも関わらず価格が安いため、新築・リフォームのどちらでも人気があります。
稲垣商事:ヒランビー
商品名 | ヒランビー |
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張り方 | 横張り |
材質 | ガスバリウム鋼鉄 |
特徴 |
・価格が安い ・断熱材が付いていない ・施工が簡単 |
稲垣商事のヒランビーは横張りのガルバリウム鋼鉄屋根材で、スレート屋根の重ね葺きでよく使用されています。
重ね葺きでよく使用されている理由は、断熱機能が付いていなくて価格が安いからです。
重ね葺きの場合は断熱機能が必要ないことが多いため、費用が安いこの屋根材を選ばれる方が多いです。
株式会社セキノ興行:ダンネツトップ
商品名 | ダンネツトップ |
---|---|
材質 | ガスバリウム鋼鉄 |
特徴 |
・断熱性が高い ・遮音性が高い ・防水性が高い ・強度がある ・太陽光パネルの設置に向いている |
セキノ興業は太陽光発電の関連商品や屋根材などを取り扱うメーカーです。
ダンネツトップは屋根に穴を開けなくても太陽光パネルを設置できるため、太陽光発電と相性が良い商品です。
太陽光パネル設置と同時にこの屋根材に変えるという人もいます。
ガルバリウム鋼鉄工事の業者選びのポイント
屋根リフォームにおいて、どのような業者に工事を依頼するかは非常に重要なポイントです。
ここでは、業者選びのポイントを紹介していきます。
ガルバリウム鋼鉄工事の業者選び3つのポイント
- 実績がある業者を選ぼう
- 希望のメーカーの商品を扱っている業者を選ぼう
- 複数の業者で相見積もりを取ろう
実績がある業者を選ぼう
ガルバリウム鋼鉄屋根を施工する場合は、ガルバリウム鋼鉄屋根の施工実績がある業者に工事を依頼しましょう。
業者によってはガルバリウムを取り扱ったことがないという場合もあります。
やはり、工事を依頼するなら施工する屋根材の取り扱いに慣れた業者を選んだ方が安心です。
屋根リフォームを依頼する場合は、実績数だけでなく過去に行った工事の内容まで確認するようにしましょう。
希望のメーカーの商品を扱っている業者を選ぼう
ガルバリウム鋼板は製造しているメーカーが多く、種類によって特徴が異なります。
業者によって取り扱っているメーカーが違うので、事前に確認しましょう。
工事の実績についてはホームページ、または営業担当に直接確認するのがおすすめです。
複数の業者で相見積もりを取ろう
屋根リフォームを依頼する場合は、複数の業者で相見積もりを取りましょう。
複数の業者で見積もりを取ることによって、その工事の費用相場や内容が分かるようになってきます。
相場や内容が分からないままに契約すると悪徳業者に騙されてしまうかもしれません。
少なくとも3社以上の業者で見積もりを取ることをおすすめします。
仙臺屋根屋のガルバリウム鋼板屋根工事施工実績
ガルバリウム鋼板屋根工事でよくあるご質問
- ガルバリウム鋼板屋根の耐久性はどれくらいですか?
- ガルバリウム鋼板屋根は、一般的に非常に耐久性が高いとされています。適切なメンテナンスを行えば、40年から50年は持つことが期待されます。
- ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンスはどのように行うべきですか?
- 定期的な清掃と点検が推奨されています。枝や葉、その他の異物が屋根に溜まらないようにし、屋根の劣化や損傷がないか定期的にチェックしてください。
- ガルバリウム鋼板は錆びることはありますか?
- ガルバリウム鋼板は耐腐食性が非常に高い材料ですが、傷や損傷がある場合は錆の原因となる可能性があります。適切な取り扱いとメンテナンスが重要です。
- ガルバリウム鋼板屋根の設置コストはどれくらいですか?
- ガルバリウム鋼板屋根のコストは、材料の質、屋根の大きさ、形状、地域によって異なりますが、他の屋根材料と比較してコストパフォーマンスに優れています。
- ガルバリウム鋼板屋根は音がうるさいと聞きましたが、本当ですか?
- 雨音などが他の材料よりも聞こえやすいことはありますが、遮音材の使用や適切な施工によって大幅に軽減することが可能です。
- 色やスタイルのバリエーションはありますか?
- ガルバリウム鋼板は様々な色やスタイルで提供されており、建物の外観に合わせて選べるため、デザインの自由度が高いです。
- ガルバリウム鋼板屋根の重量はどの程度ですか?
- ガルバリウム鋼板は非常に軽量で、既存の屋根の強化が少なくて済むため、施工が容易になる利点があります。
- 火災に対する耐性はありますか?
- ガルバリウム鋼板は非燃性の材料であり、火災時の安全性が高いとされています。
- ガルバリウム鋼板屋根の取り付けに特別な工具が必要ですか?
- 特別な工具は必要ありませんが、正確な測定と適切な固定用具が必要です。専門の施工業者に依頼することをお勧めします。
- ガルバリウム鋼板屋根を選ぶメリットは何ですか?
- 耐久性、メンテナンスの容易さ、コストパフォーマンス、デザインの多様性、環境に優しい素材である点など、多くのメリットがあります。
その他の屋根工事メニュー
この記事の監修者
菊地正秀
株式会社菊地板金工業 代表取締役
宮城県仙台市出身、屋根・外壁板金工事歴30年
18歳から建築工事にはじまり、屋根、外壁工事や水道、基礎工事と建設業の様々な分野で、幅広い知識と現場経験を習得。
建物の主要構造物となる『屋根』において金属板金を自由自在に施工する奥深さに魅力を感じ、25歳で屋根工事を専門とする一人親方として、独立。
平成23年に株式会社菊地板金工業を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。
以上の経験をもとに、リフォームのトラブルを回避できる情報を、「失敗ゼロ!屋根・外壁工事研究会」として、皆様に発信している。